「好意はありがたく受け取らないと」でも…我慢できない【漫画・かくれ繊細さんのかくれたキモチ】

 「好意はありがたく受け取らないと」でも…我慢できない【漫画・かくれ繊細さんのかくれたキモチ】
岩田すず
岩田すず
岩田すず
2023-02-11

「こんなことを気にしてるの、私だけなのかな…?」外交的なのに実は敏感で傷つきやすい、そんな気質を持つ「かくれ繊細さん(HSS型HSP)」の心の内側を、漫画を通してのぞいてみましょう。

広告
岩田すず
(C)Suzu Iwata
岩田すず
(C)Suzu Iwata
岩田すず
(C)Suzu Iwata
岩田すず
(C)Suzu Iwata

「かくれ繊細さん(HSS型HSP)」の原則

義母からの好意や優しさ、気遣い。わかってはいる。伝わっている。「好意なんだから、喜ばないといけない」と思うのに、でもどうしても受け入れられない…。罪悪感と嫌悪感の間でぐるぐる苦悩する睦さんに、共感する方も多いのでは?

ここでは、漫画に出てくるかくれ繊細さんの「あるある」を、専門カウンセラーの時田ひさ子先生に解説していただきます。

かくれ繊細さんの原則①「痛い出来事から決めた性格を強化しながら生きている」

主人公の主婦、睦さんが、義母から送られてきた、夫が幼いころに何度も読んだであろう絵本に、モヤモヤしています。夫が幼い頃に読んだものを好意で送ってきてくれていることや、義母に悪意があるはずがないとも理解しています。

だけど、睦さんは人が読んだ本が苦手。それは、このシミや汚れにどんな経緯があってついたものなのかを想像してしまうため。

これ、普通は「HSPはきれい好き」とか「美的センスが高いから」と思われがちなところですが、ただHSPなだけならばここまで嫌いにはならないと感じます。おそらくここには、睦さん自身の経験がくっついてきているんです。睦さん自身に、本を汚した経験、本のページの間に何かをこぼした経験、そしてそれを「まずいこと」として隠そうとした経験があると考えられます。だからこそ、睦さんがそれ以降「きれい好き」であろうとしている可能性は否めません。

かくれ繊細さんって、なにかに強いショックを受けると、そのことを強く隠そうとして真逆に行くんです。たとえば、すごい嘘をついて誰かにつるし上げられて強烈に嫌な気持ちになった経験が、多感な時期にあったかくれ繊細さんの場合、「自分は嘘をつかない」「真正直な人間である」ということをことあるごとに強く表に出すようになります。

そして、普通は、その表に出した人格を信用してもらえますから、さらに「嘘のない誠実な人」としての「外側の性格」を強化します。それが、40歳ころまでは疑いなく「自分の素の性格である」と信じてもいるんです。ところが、かくれ繊細さんは、それをもともとの、自分が起こしたショックな出来事からの反動でつくられた性格だと知らずに、40歳ころになって「あれ?私の中に、すごい嘘つきなところがある。頑張って抑えないと、それが表にでてしまいそうだ」と気づくんですね。それで、あわてて「どうしよう。私、性格すごく悪い。それを変えたい」と性格改善を始めるんですね。睦さんは35歳。そろそろご自身の「強化された外側の性格」に思い当たり始めたころでしょうか。

かくれ繊細さんの原則②「すごくいい人」

とはいえ、自分の中のいきすぎたところを自分で制御しようと頑張っているところ、とても好感が持てます。お義母さまも睦さんの夫も娘さんも良い人そうで、マンガの世界観にほっとします。かくれ繊細さんは「すごくいい人」なのも間違いないですから、「今出来る歩み寄り」をしながらアルコール消毒した本を娘さんと一緒に楽しんでほしいですね。

HSS型HSP(かくれ繊細さん)について詳しく解説した記事も併せてお読みください。

広告

AUTHOR

岩田すず

岩田すず

文具デザイナー→脚本家、映画監督を経て、漫画家になる。HSS型HSP。 「ピーチクアワビ」を漫画アクションにて連載。他、短編作品「おナスにのって」「悪者のすべて」などを執筆 (旧ペンネーム/岩田ユキ) 。【脚本・監督作品】「指輪をはめたい」「8ミリメートル」「檸檬のころ」など。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

岩田すず
岩田すず
岩田すず
岩田すず