【産婦人科医が解説】私は、濃すぎ?薄すぎ?気になるアンダーヘア問題「安全な除毛&脱毛方法」とは?

 【産婦人科医が解説】私は、濃すぎ?薄すぎ?気になるアンダーヘア問題「安全な除毛&脱毛方法」とは?
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私は、濃すぎ?薄すぎ?…聞きづらいアンダーヘアのお悩み&処理方法をTikTok13万フォロワーの産婦人科医が解説!今までなかった「女性器」の本『産婦人科医が教える みんなのアソコ』(辰巳出版)より、抜粋してお届けします。

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私は、濃すぎ?薄すぎ?変わりゆくアンダーヘア観

性器周辺の毛は女性も男性も「アンダーヘア」ということが多いですが、これは和製英語で、英語圏では〝pubichair〞といいます。日本では以前は「陰毛」「恥毛」といわれることが多く口にしにくいものでしたが、1990年代ごろから「アンダーヘア」が定着し、現在に至ります。日本では、「女性の体毛は少ないほどよい、無毛はなおよい」とする空気が色濃くあり、脱毛をすすめる広告をいたるところで目にします。医療脱毛を希望する15歳以下の子どもが年々増えているとする調査結果もあります。

多くても少なくても悩む人は、悩む

体毛の量、生えている範囲は個人差が大きいのは誰もが知るところ。アンダーヘアも例外ではなく、それゆえ悩みも尽きません。範囲が狭くて毛量も少ないことで、小陰唇など外性器があらわになることをコンプレックスに感じている人もいますが、範囲が広くて毛量も多い人には外見だけでなく、さまざまな悩みが生じます。

濃い、薄いの基準は特になく、たとえば「下着を着けたときにはみ出す」など、困っていることがあるかどうかを基準に考えるといいと思います。

「毛量が多すぎる」悩みは自分だけじゃない

毛量は生まれつきの体質によるところが大きく、個人の意思によって増減できるものでもありません。減らす、なくすとしたら人工的に処理することになります。調査結果によると、現在は女性の約半数がアンダーヘアを何らかの形でケアしています。

それにともない、VIOという用語も定着しました。ヘアが生えている場所を指す言葉で、V=立って正面を向いたときに見えるところ(ビキニライン)、I=大陰唇、O=肛門周辺です。「大陰唇にびっしり生えている私は、毛が濃すぎ?」「おしりの穴周辺にまで生えているのは私だけ?」と悩んでいる人は、こうした用語があるくらいなので、そこに生えているのは〝普通〞だと思えるのではないでしょうか。また、脱毛のコースにはおへその下の脱毛もあるので、これもまためずらしいことではないとわかります。

所変われば、アンダーヘアのイメージも変わる

アンダーヘアのイメージは、時代により、国により変わります。人類が文字を持たなかった時代には、豊穣や子孫繁栄の願いを込め女性器をモチーフとした絵画や人形がたくさん作られました。なかには豊かなアンダーヘアを示すものもあります。日本では江戸時代に「春画」が流行しましたが、女性の大陰唇に細やかな線で黒ぐろとしたアンダーヘアが描きこまれている作品は多いです。中国では濃いヘアは情熱を示すとされていて「黒い薔薇」と表現されることもあったようです。ところが西洋では一転して、何世紀にもわたって裸体画が描かれてきたにもかかわらず、ヘアはほとんど描かれませんでした。ヘアが濃いのは動物的で、性的に清純でないとされていたからです。

体毛すべてを指し「ムダ毛」ということもあります。しかし近年、国内外で「体毛をどうするかは、その人次第」というムーブメントが起きています。カミソリのメーカーが「ムダかどうかは、自分で決める」というキャッチフレーズを打ち出したり、SNSで「#BodyHairPositive」というハッシュタグが広まったりしています。

多様性を重んじる時代、体毛もアンダーヘアも自分で「どうするか」を決めていいのです。そのためにも毛があること、またはないことのメリット、デメリット、そして処理の方法を知る必要があります。間違った処理はトラブルのもと。そのうえで自分の心身が快適でいられる状態を選びましょう。

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毛の量は生まれもった個性。アレンジする自由だってある!/AdobeStock

除毛&脱毛方法4選 デリケートな場所だから、安全に!

脱毛する、または毛量を調節するための方法はいくつかあります。無毛にするか、一部残すか、毛先をカットするにとどめるのか、はたまた何もしないの……。快適かどうかを第一に考えましょう。脱毛後、大陰唇が下着とこすれて不快だという人もいるので、Iラインを残す選択肢もあります。

〝好み〞も重要です。パートナーから「ヘアをこうしてほしい」とリクエストされたことのある女性は多いです。アンダーヘアにかぎったことではなく、容姿についてパートナーや身近な人から要望されることは、いまでもよくあります。けれど、自分の身体がどうあるかは、自分で決めること。脱毛して下着や水着をより楽しめるようになったという人もいて、ヘアの選択はファッションの一部であり、自己表現のひとつということもできます。

Vラインのデザインを、楽しんでもいい!

そこで、脱毛によってアンダーヘア、特にVラインのヘアを〝デザイン〞するという考えもあります。医療脱毛中の男女を対象としたアンケートで「自身のアンダーヘアの形はどんなデザインがいい?」と尋ねたところ、女性の1位は「無毛」で約6割、2位は「逆三角形」、3位は「自然に整える」でともに約2割でした。

ここからは、脱毛の方法について解説します。最初に覚えておきたいのは「カミソリは避けたほうがよい」ということです。自己処理の場合、カミソリを使う人が多いと思われます。しかしデリケートゾーンのトラブルを解消する目的が裏目に出て、さらなるトラブルの元となる可能性があります。

カミソリは、さらなるトラブルの原因になるかも

というのも女性は性器が脚のあいだにあるため目で確認しづらく、さらに毛の流れが一方向ではないため、安全に剃るのが案外むずかしい! カミソリにより細かいキズができるなど、皮膚がダメージを受けます。剃り残しがないよう刃を何度も往復させると、ダメージはさらに大きくなるでしょう。また、人によっては大陰唇のヘアが粘膜ぎりぎりの位置まで生えているため、よほど注意しないと粘膜まで傷つけかねません。デリケートゾーンは雑菌が繁殖しやすい環境にあることは先にお話したとおりですが、傷があると炎症を起こして痛みやかゆみにつながることもあり、これでは本末転倒です。

自己処理がむずかしいならプロの手で脱毛しよう

カミソリで剃ると一時的にヘアがなくなりますが、毛量が減ることはなく、また伸びてきたときにチクチクするの第2章 | アンダーヘアあるなし論争、正解はどっち!?が不快という人も少なくありません。最も安価でできる方法ではありますが、頻繁にヘアを処理する人、ヘアそのものをなくしたい人には、レーザーでの永久脱毛をおすすめします。医療レーザー経験者へのアンケート調査で、「VIO脱毛をして実感したメリットは何ですか?」という問いに対して約8割が「自己処理からの解放」と答えています。

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Vラインのデザインは、あくまで自分の好みで決めよう◎/AdobeStock

●電動トリマー

毛量が多い人は、毛の長さをカットするだけでも快適さが大幅にアップする可能性大。ハサミで切ることもできますが、均一に整えるのはむずかしいです。アンダーヘア専用の電動トリマーが市販されており、肌に負担をかけないまま短時間でカットできるので非常に便利です。脱毛を迷っている人は、まずここからはじめて快適を実感するのがいいかもしれません。

●電動カミソリ

カミソリによってもたらされるトラブルはすでにお話ししたとおりですが、電動カミソリであれば、肌への負担を極力減らしたうえで、短時間でヘアを剃れます。医療レーザーの場合も、脱毛したい箇所をいったん剃っておく必要があるので、電動シェーバーは重宝します。

●ブラジリアンワックス

あたためてとろとろになったワックスを脱毛したい箇所に塗り、その上に専用シートを敷きます。しばらくしてからシートを勢いよくはがすと、ワックスに張り付いたヘアが一緒に引き抜かれるという仕組みです。毛根ごと脱毛できることもあるため、つづけているうちに毛量が全体的に減っていくといわれています。

エステサロンで施術を受けられるほか、ワックスが市販されているため自己処理もできます。ただカミソリでの処理同様、目で確認しづらい、そして毛の流れが複雑であることから難易度が低いとはいえません。また、皮膚に塗ったワックスをはがすため、皮膚がダメージを受けます。炎症を起こして痛みやかゆみにつながることがあるほか、色素沈着になる可能性もあります。

●レーザー脱毛

エステサロンで施術されるものと、医療機関で施術されるものがあります。自己処理やワックスと比べるとコスト高ではありますが、レーザーを照射して毛根を破壊するため、何度かくり返すことで永久脱毛が可能です。レーザーは黒い毛のみに反応するため、皮膚を傷つける心配はいりません。ヘアの色が濃い人が多いアジア圏ではポピュラーな方法です。

確実な脱毛と安全のためには、医療機関での施術がおすすめです。エステでは医療行為ができないため、レーザーの出力が制限されています。また、皮膚トラブルが起きたときに対応してもらえるのも、医療機関のメリットです。

デメリットをあげるとすれば、痛みが強く出る人が多いということでしょう。クリニックによっては麻酔クリームなどを使ってくれることもあります。

自己処理を選ぶ理由として、「デリケートゾーンを見せるのは恥ずかしい」というのが多いと考えられます。しかし産婦人科医同様、施術者はプロとしてアンダーヘアと性器に向き合い、その数もおびただしいものになります。自分で見えないところだからこそ、慣れた人に任せるほうが安心ではないでしょうか。

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『産婦人科医が教える みんなのアソコ』(辰巳出版)より

著者/髙橋怜奈
女医+所属。産婦人科専門医、医学博士。東邦大学医療センター大橋病院・産婦人科助教。ベリーダンサー、元プロボクサー。メディア出演をはじめ、Twitter(@renathksh)、TikTokなどSNSでの医療情報の発信や、「産婦人科医YouTuber高橋怜奈」としてYouTube活動も積極的に行っている。『小学生だから知ってほしいSEX・避妊・ジェンダー・性暴力』『おとなも子どもも知っておきたい新常識 生理のはなし』(ともに主婦と生活社)監修。

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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