【産前ヨガの効果は8年継続する?】研究結果が示唆!マインドフルネスが新米ママのうつ病を8年間予防
マインドフルな食事、呼吸、動作は、赤ちゃんにも良い影響を与えるという研究結果も。
経験豊富な親であれば知っている。眠れない乳児期、イヤイヤ期、初めての幼稚園登園日に精神的な健康を保てたなら、次に待つのは思春期の脅威や反抗期というお楽しみだ。そう、要するに、子育ては大変なのだ。
しかし、新しい研究によると、妊娠中のマインドフルネスの実践が、産後数週間から数ヶ月だけでなく、最長で8年間、心の健康維持の手助けをすることが示唆されている。
マインドフルネスがもたらす精神的健康への長期的な恩恵
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者たちによる研究には、マインドフルネスに基づいた8週間のストレス軽減プログラムに参加した妊婦が含まれている。セッションには、毎週2時間、マインドフルな食事や呼吸、動作が含まれていた。出産後、母親たちはフォローアップの電話を2回受け、グループミーティングに参加した。
8年後、うつ病の症状を訴えた女性は、ストレス軽減プログラムに参加していないグループでは25%現れたのに対し、参加したグループにおいてはわずか12%だった。研究期間中にCOVID-19が流行し、誰もが精神衛生上の問題を抱える危険性が高い時期も含まれていたため、この結果は特に驚くべきものとなった。
マインドフルな活動が精神衛生上有益であることは、数多く立証されている。だがさらにこの研究では、マインドフルな活動が親にとってこんなにも長期的に恩恵をもたらし、その子供たちのストレス反応にも良い影響を与える、ということが示された点でとても意義があるのだ。
「この研究結果は、妊娠中の少しの投資が、二世代にわたるウェルビーイングを支える有意義なものであることを示唆している」と、研究著者であるダニエル・ルビノフ博士はScience Daily誌に述べている。
産前ヨガクラスがもたらす特別な恩恵
「産前ヨガは、ただ体を動かし、呼吸をして、瞑想をし、シャヴァーサナを楽しむだけのものではない。これらはどれも、素晴らしく重要だ。だが、産前ヨガクラスと伝統的なヨガクラスには違いがある。」と、アレクサンドラ・デシアトは話す。彼女は、ノースカロライナ州で、妊娠中の人と、親になったばかりの人のためのクラスを提供する団体、Whole Mama Yogaの共同創設者の1人だ。
産前ヨガのクラスは、女性や出産をした人が潜在的に繊細な時期に受けるものだ、と彼女は言う。そのため、妊娠中の人や親になったばかりの人たちに携わるヨガの先生に、周産期のうつ病や不安の兆候の知識があるのは重要なこととなる。周産期におけるウェルネスの専門家、ドゥーラ、ラクテーションコンサルタント(母乳育児をお手伝いする専門の知識と技術を持っていることを認定する国際資格)、その他、感情的・実用的なサポートを受けるための手段を生徒に紹介できるようになる必要があるのだ。
コミュニティがもたらす新米両親への恩恵
地域のつながりは、母親及び出産を経験した両親に多大な違いをもたらす。それは、周産期におけるウェルネスの専門家たちの間で、長く知られていることだった。UCSFの研究は、これを裏付けるものでもある、とデシアトは話す。
「産後うつは、社会的サポートの少なさと強い相関があることが、これまでの研究でもわかっている」「しかし、このような研究は、地域のつながりや社会的サポートがセラピー的であることを明らかにしている。産前ヨガクラスで生まれるつながりは、真に新米ママたちの回復力の違いとなり得るのだ。」と彼女は続ける。
産前ヨガクラスを全ての親たちにとって受けやすいものにする
この研究は、多様な人種や民族の女性を対象とした点でも意義深いものだった。周産期うつ病に関する研究のほとんどは白人女性に焦点を当てたものであると、この研究の最終著者であるニッキー・ブッシュ博士は述べている。だがこの研究には、社会経済的地位の低い女性も含まれている。
黒人とラテンアメリカ人は、他のグループよりもうつ病のリスクが高い傾向がある。また、黒人や先住民族の女性は、ハイリスク妊娠の危険性が高いため、その9カ月がさらにストレスと恐怖に満ちたものとなり、潜在的に危険なものとなる可能性がある。
「そのようなコミュニティにおいては、産前ヨガのもたらす影響は深い価値がある」とデシアトは言う。この研究結果は、妊娠前、妊娠中、出産後の女性の心の健康のサポートとして、マインドフルネスプログラムが身近で、かつ低コストの方法となり得る可能性を示唆している。ヨガなどのマインドフルネスで培われたセルフケアのスキルは、持ち運びが可能だ。医学的な介入を必要とせず、必要な時に必要な場所で実践することができる。
「時々、ヨガは出産前の人がする "素敵なこと" だと思う人がいる。しかし、このような研究は、ヨガやウェルネスクラス、そして地域社会とのつながりが、母親や出産を経験した両親がその後を生き生きと過ごしていけるかどうかの違いになり得ることを示している。」とデシアトは話す。
教えてくれたのは・・・タマラ・Y・ジェフェリーズ
ライター、エディター、リサーチャー兼ヨガの指導者というキャリアを経て現在はヨガジャーナルのシニアエディターを務める。
ヨガジャーナルアメリカ版 / 「Mindfulness Classes May Prevent Depression in New Moms for 8 Years, According to a New Study」
AUTHOR
ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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