高齢者専門の精神科医が教える【高齢者うつ】になりやすい人/なりにくい人の考え方と生活習慣

 高齢者専門の精神科医が教える【高齢者うつ】になりやすい人/なりにくい人の考え方と生活習慣
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人生100年時代、医療の進歩とともに寿命は年々延びています。その中で注目したいのはいかに健康寿命を延ばしていくかということではないでしょうか。今回は精神科医である和田秀樹先生の著書『70歳が老化の分かれ道』から学ぶ、長く元気でいられるための知恵をご紹介します。

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高齢者には、うつ病ではなくとも「セロトニン不足症候群」と言えるような人が、実はかなり多くいます。幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが足りなくなり、精神的に不安感が強まり不安定になったり、痛みに敏感になったりします。

薬の力を柔軟に取り入れる

このような「セロトニン不足症候群」の方にはカウンセリングで症状の改善を促すことは大前提ですが、薬の力も借りて柔軟に対応することも有効な一つの手段と言えます。先程の不調を持った人たちにうつ病の薬を飲んでもらい脳内のセロトニンを増やすと、痛みや不安感といった不調から解放されることがよくあります。高齢者の場合、少し薬を使うだけで元気になりますので、薬の副作用を気にし過ぎず柔軟に活用してもよいのではないでしょうか。

セロトニンを増やす生活をする

脳内のセロトニンが減少している高齢者は、うつになるリスクも高くなっています。うつを予防するためにも、セロトニンを増やす生活を心がけることをおすすめします。セロトニンを増やすのに、以下の2つは効果が期待できます。

肉を食べる

セロトニンを増やすために肉を食べることがおすすめです。実は70歳以上の日本人のうち、5人に1人がタンパク質不足だと言われています。肉にはセロトニンの材料となるアミノ酸のトリプトファンが多く含まれているのです。肉を摂ることでセロトニンの生成が促され、うつの予防に有効に働きかけてくれます。

陽の光を浴びる

陽の光を浴びる習慣もセロトニンを増やすのにおすすめです。具体的には散歩などの適度な運動をすることです。人の意欲と密接な関係にあるセロトニンは、陽の光を浴びると沢山作られます。セロトニンを増やし、うつを予防していきましょう。

完璧主義をやめておおらかに過ごす

日頃のものの考え方も、「自分はこうあるべき!」と考えずに、「もう高齢だから出来なくても当たり前」ぐらいにゆるりと構えておくことがうつ予防に繋がります。完璧主義の人は自分にも厳しいので、あるべき姿にならないと、出来ない自分に落ち込むことになります。歳をとると頑固になりがちですが、これも自分を苦しめることにつながります。自分と違った価値観や、間違っていると思う意見に触れても、おおらかに「そんな考えもあるのか」と別の視点として受け入れることが大切です。広い視野を持つことは、自分を追い詰めずうつのリスクからも遠ざけてくれます。

70歳
『70歳が老化の分かれ道』(和田秀樹 著、詩想社)

著者/和田秀樹
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって、高齢者医療の現場に携わっている。主な著書に『自分が高齢になるということ』(新講社)、『年代別医学的に正しい生き方』(講談社)、『六十代と七十代心と体の整え方』(バジリコ)、『「人生100年」老年格差』(詩想社)などがある。

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文/桑澤仁美

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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