疲れを放置すると病気やケガの原因に|疲れている時に積極的に行いたい4つの対処法|臨床心理士が解説
やるべきことに追われていると、自分自身の心や身体のケアが後回しになりがち。やっと取れた休みには動けなくなるほど疲れている……そんな人も多いかもしれません。疲れを放置したまま生活を続けていると、病気やケガの原因にも。疲れは蓄積しないうちにケアすることが大切です。今回は疲れすぎている時に積極的に行いたい4つの対処法についてご紹介します。
1.栄養のある食事を味わって食べる
疲れていると手軽に食べられるカップ麺や菓子パンなどに手が伸びてしまいますが、栄養が偏ると体調を崩しやすくなります。疲れたときこそ、栄養バランスのとれた食事がおすすめ。調理が面倒なら、コンビニやスーパーのお惣菜を活用するのも良いでしょう。
ただし、食べすぎはNG。胃腸に負担がかかり、かえって身体に疲労が溜まります。よく噛み、味わい、腹八分目を意識するよう心掛けましょう。
2.運動習慣が疲れにくい心と身体をつくる
「疲れているから運動なんて無理」と、ベッドの上でスマホを見ながらゴロゴロ、テレビを見ながらダラダラ……そんな休日を過ごしていませんか?
実は、まったく運動をする習慣のない人は、運動をしている人よりも疲れやだるさを感じやすくなります。さらに意欲や活力も低下してしまうのです。*1
疲れを解消したいなら、毎日の生活に少しでも運動を取り入れてみましょう。外に出るのが面倒な場合は、家のなかでできるヨガやストレッチなどで大丈夫。「エスカレーターではなく階段を選ぶ」など、今のライフスタイルで運動量を増やす方法を探してみるのもおすすめです。
3.ゆっくりお風呂に入る
「早く寝たいから」「面倒だから」と、シャワーを浴びるだけになりがちなバスタイム。でも、シャワーで済ませるよりも、湯船に浸かる方が心身のリラックスや睡眠の質の向上といった効果を得られる上、目覚めたときにポジティブな気分で1日を始められることが明らかになっています。*2
心と身体の元気を取り戻したいときこそ、お風呂は大事にすべきなのです。
4.睡眠時間を確保する
疲れを回復させるもっとも代表的な方法といえば睡眠ですよね。個人差はありますが6~8時間は確保したいところです。しかし、「なかなか寝付けない」「なんだか眠りが浅い」など、睡眠の問題に悩む人は多いもの。
疲れているのに眠れない場合には、次の2つを大切にしてみてください。
起きる時間を一定に!
睡眠時間を確保しようと思うと、つい「早く寝る」ことに注意が向きますが、大切なのは「早く起きる」こと。何時に寝たとしても起きる時間を常に一定に保てば、睡眠のリズムは次第に整っていきます。
早く寝ることにこだわらず、まずは「眠くなったとき」にふとんに入るようにしましょう。「夜遅かったから」と二度寝やお昼寝をすると、夜眠れなくなってしまうのでご注意を!
頭の中のモヤモヤは紙に書き出す
疲れているときやストレスが溜まっているときは、ふとんに入って目を閉じても頭のなかであれこれと考えが巡り、かえって目が冴えてしまうことも。
モヤモヤしたらふとんから出て、思考を全部紙に書き出してしまいましょう。紙に記録することで、脳が「頭のなかで考え続けなくていい」と判断し、思考が落ち着きます。
これはダメ!疲れたときのNG行動
私たちの心や身体は「活動」と「休息」を繰り返さなければ維持できません。休息が必要なのに、栄養ドリンクやお酒で疲れをごまかし、無理して活動を続けると、いずれ心や身体に限界が来ます。長い休息が必要になるだけでなく、以前と同じような活動ができないほどに心や身体がボロボロになってしまうこともあります。
終わりに
疲れを溜めたまま活動し続けるのは、自転車のパンクを直さずに走り続けるようなもの。走りにくい上に、そのまま使い続けると自転車そのものが壊れるリスクもあります。
私たちの心と身体の疲れも同じです。日々の疲れを放っておくと、取り返しがつかないほどのダメージを負うこともあります。自転車であれば買い替えることもできますが、心と身体は替えがききません。「疲れたなぁ」と感じたら、こまめなケアを心掛けてみてくださいね。
参考資料
*1 川尻達也・佐藤進・鈴木貴士・山口真史(2015.3.31)大学生の運動習慣がメンタルヘルスに与える影響 工学教育研究;KIT Progress 22 pp33-40.
*2 石澤太一(2014.3.32)入浴法および入浴習慣が心身に及ぼす影響に関する研究 金沢大学大学院自然科学研究科博士論文
AUTHOR
佐藤セイ
公認心理師・臨床心理士。小学生の頃は「学校の先生」と「小説家」になりたかったが、中学校でスクールカウンセラーと出会い、心の世界にも興味を持つ。大学・大学院では心理学を学びながら教員免許も取得。現在はスクールカウンセラーと大学非常勤講師として働きつつ、ライター業にも勤しむ。気がつけば心理の仕事も、教える仕事も、文章を書く仕事もでき、かつての夢がおおよそ叶ったため、新たな挑戦として歯列矯正を始めた。
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