コロナ禍で骨がスカスカ?小児整形外科医が教える【子どもの骨を守る方法】
新型コロナの流行から3年目に突入し、ICT教育の導入により授業のデジタル化などが進む一方で、コロナ禍における生活習慣は、子どもの身体づくりに遅れをとっています。さまざまなトラブルの中でも、特に気をつけたいのが「子どもの骨折」です。
子どもの疲労骨折患者がコロナ前に比べて3倍に増加!?
小児整形外科医の都丸先生によると、コロナ前の2019年に疲労骨折で受診した子どもの割合は、全体の0.2%でした。それに対し、コロナ禍に突入した2020年は0.67%と、子どもの疲労骨折の割合が3倍に増加してしまったのです。
骨折の増加ではなく、疲労骨折というところがポイント。
一度の大きな外傷でおこる通常の骨折とは異なり、疲労骨折は、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨にひびが入った状態や、ひびが進んで骨が折れた状態になることを指します。
コロナ禍での生活により子どもの骨がもろくなり、部活や体育の授業などの運動で骨にかかる負荷を支えられず、疲労骨折を引き起こしてしまうのです。
疲労骨折増加の原因は運動・日光不足による「骨代謝」の鈍化
骨がもろくなる理由の一つとして考えられるのが、運動不足や日光不足による「骨代謝」の鈍化です。
骨は、肌や髪の毛と同じように、常に新陳代謝を繰り返しています。
古くなった骨が壊され、その壊された部位を修復することで骨を新しくつくりかえられることを「骨代謝」といいます。
「骨代謝」は、運動などの負荷がかかることで新しい骨の形成が促されたり、日光にあたることで体内で合成されるビタミンDが骨の発育を促進したりすることで、バランスを保ちながら繰り返されていきます。
しかし、ステイホームによる運動不足や日光に当たらない生活は、骨代謝を鈍らせ、骨をもろくしてしまうのです。
気づきにくい疲労骨折には早めのケアと予防が大切!
疲労骨折は、捻挫と間違えやすいため、気付きにくいというのがやっかいなところ。
疲労骨折が起こりやすい、足の甲やすねの骨に慢性的な痛みがあれば、早めに医師に相談しましょう。
また、日頃から食事や運動により、 骨代謝を行いやすい体づくりをしておくことも大切です。骨は、重力の負荷がかかることや振動が加わることで丈夫になっていくという性質を持っているため、「なわとび」を使ってジャンプするのがオススメです!
「レモン+カルシウム」で骨を丈夫に!
骨を丈夫にする食品といったら、カルシウムが豊富な牛乳ですよね。
しかし、実はカルシウムはとても吸収しにくいミネラルで、その吸収率は牛乳で40%程度、小魚は30%程度ということをご存知でしたか?
そこでオススメしたいのが、「レモン果汁」。
レモン果汁に含まれるクエン酸は、カルシウムを溶けやすい形に変え、腸からの吸収を促すことがわかっています。(※1)
小魚料理にレモン果汁をかける、牛乳とまぜてラッシーにするなど、カルシウムを含む食品とレモン果汁を一緒に摂ることで、カルシウムの吸収率を高めましょう!
(※1) 堂本時夫「レモンの健康効果に関する研究の動向」
「レモン+カルシウム」の効果は研究で実証済!
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式と広島大学の研究によると、成長期の子どもの骨密度が「レモン+カルシウム」の継続的な摂取で高まることがわかりました。
この研究では、広島県大崎上島町在住の小学4年から中学1年生の38名を対象に、レモン果汁飲料(※2)を毎日1本摂取した場合の前腕骨密度の変化を確認しました。摂取開始前、開始1年後、2年後、3 年6ヶ月後に検査が行われ、全4回の検査に参加した16名を対象として解析しました。
その結果、摂取開始前と比較して、男女共に骨密度が年々増加した事が確認できました(図1)。さらに、摂取前は標準値よりも低い傾向にあった骨密度が、摂取開始後に標準値よりも高い傾向を示し、摂取2年以降は、高い値を示しました(図2)。
(※2) カルシウム強化したレモン果汁飲料(1本290ml当りレモン1個分の果汁 30ml、カルシウム350mg を含む)
手が回らないときはカルシウム入りレモン飲料を
毎日、レモンを使った料理を作るのは少しハードルが高いですよね。
レモンのスライスをハチミツに付けてストックしておく、レモンをジャムにするなど保存して活用するのも手。
忙しくて手が回らないときは、手軽に使えるレモン果汁をドレッシングや飲み物としてアレンジしたり、カルシウム入りのレモン飲料を積極的に利用したりと、工夫をしながら「レモン+カルシウム」を摂取して骨密度アップを目指しましょう!
教えてくれたのは…
都丸 洋平先生
小児整形外科 「千葉こどもとおとなの整形外科」勤務 平成 20 年 筑波大学 医学専門学群卒業 平成 28 年 資格・所属学会日本整形外科学会 専門医小児整形外科学会 会員
飯田忠行先生
県立広島大学保健福祉学部 理学療法学科 教授/レモン健康科学プロジェクト研究センター長。博士(医学)・県立広島大学保健福祉学部理学療法学科 教授。レモン健康科学プロジェクト研究センター長も兼任し、広島県戦略作物であるレモンの効果検証を行っている。専門は応用健康科学、地域健康疫学、公衆衛生学、老年医学。
AUTHOR
Moe Takahashi
ライター/PR/ダンス講師・振付師/ピラティスインストラクター。湘南暮らしとパラレルキャリアを楽しむフリーランス。3歳からバレエを始め、2014年に渡米しNYにてダンサーとして活動。リハーサル中の怪我をきっかけにGYROKINESIS®、Polestar Pilatesに出会い、指導資格を取得。その後、フィットネス企業のマーケティング・広報担当を経験し、現在に至る。趣味はキャンプと美味しいクッキー探し。
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