乳がん治療中のヨガ講師RIKA KELLYさんが「闘病中の人のためのヨガ」開催に込めた思い

RIKA KELLY

乳がん治療中のヨガ講師RIKA KELLYさんが「闘病中の人のためのヨガ」開催に込めた思い

ロサンゼルスを拠点に活動しているヨガインストラクター、RIKA KELLYさん。ヨガジャーナルオンライン公認インストラクターとしてもお馴染みのRIKAさんが、9月に3日間のオンラインクラス「闘病中の人のためのヨガ」を開催します。実は乳がんを患い、現在治療中のRIKAさん。「がんだけでなく闘病する全ての人に自分の経験をシェアしたい」と語ります。「闘病中の人のためのヨガ-Yoga for Chronic pain-」開催への思いを伺いました。

同じように闘病中だからこそ教えられるものがある

――「闘病中の人のためのヨガ」を開催しようと思ったきっかけを教えてください。

RIKAさん:自分が闘病中であることや「がんを患ったから」というのがまずもちろん最初のきっかけです。ですが、患者として自分のケアをしたいと思ったときに「闘病中の人に向けたヨガ」というものが無かったことも大きく影響しています。

がんサバイバーや、学問としてがん患者向けのヨガを勉強し、それを教えてくれる方のクラスはありましたが、どこかしっくりこなくて。手術後のリハビリといった身体の動かし方や高齢者向けのクラスが多かったんですね。普通のヨガクラスだとできることが限られてくるし、声がけも闘病中の人向けではないこともあって、闘病で疲弊してしまった心と身体が軽くなるセッションがあったらいいなと思ったんです。

教える側の視点からしても自分が闘病中だからこそ、伝える側の深みが出るのかなと。いい意味でも悪い意味でも、乳がんを経験したからこそ教えられるものが出てきたのかなと感じたこともきっかけの一つです。

闘病を手助けしてくれるツールのひとつが、ヨガ

――闘病中でありながら、その経験をシェアしていこうと思った理由もお聞かせいただけますか。

RIKAさん:私たち一人ひとりが唯一無二の貴重な存在です。私という一人の人間にしかできないことがあるのなら、それをシェアすることで誰かの助けにならないか?もしそうなら、私はぜひやってみたい!そう思って行動しました。

ヨガは身体と心、両方の痛みの軽減に繋がるものです。体の痛みについては、私が経験した「足の感覚を感じられる」というものや、心の面で言えば皆さんが感じる気持ちの沈みを少し軽くしてくれるでしょう。だから、このワークショップで何か違う目線からアプローチできる機会になればいいなとも思っています。

私は「がんかもしれない」と検査して結果を待っているときが一番、感情的に大きく揺れていました。自分のがんの進行具合も対処法もわからないから、幼い息子の事を残して死ぬと思うと泣けて仕方がありませんでした。でもその反面、冷静だった事も覚えています。泣いている自分をはたから見て“あー、そうか、今私は少し凹んでいるところにいるんだね”と思う存分自分に泣いていいよって言いましたし、冷静な自分がいた時は“じゃあ、今できる事のこれをやっていこう”と行動しました。

人生は上がったり下がったりの繰り返しで、上がり調子の直線や下がり調子の直線だけではないんですよね。多くの人が、元気な時や調子がいい時が「普通」と思い、その線より下回ると「落ちていて」、その線に近づくと「持ち直した」みたいに感じるのではないでしょうか?でも私は、人生や感情は決して直線じゃない、曲線だと思っています。

それは、ヨガに教えてもらったことだから、それを少しでも皆さんに伝えたいと思っています。

RIKA KELLY
RIKA KELLYさんプロフィール:ビバリーヒルズを中心にプライベートセッションを行うヨガインストラクター。クライアントの幅はハリウッドセレブからプロダンサー、妊婦からお年寄りまで多岐に渡り、クライアントの心と体に寄り添った指導に定評がある。

――未経験の方だとヨガに対して難しい、ハードルが高いという印象を持つ方も少なくないですが、そういった方にこそ今回のクラスに参加いただきたいですね。

RIKAさん:日本だと宗教とか、怪しいものというイメージを持っている人もいる一方で、ファッション感覚、素敵女子がやっているキラキラしたものだと感じている方も少なくないと思います。ですが、私が住んでいるアメリカでは「ヨガは生活の一部」です。

ヨガウェアショップの店頭には、細身を促すような細身のマネキンも取り除かれていることが多く、「ありのままの自分」を受け入れることが広く受け入れられています。本来のヨガは心と身体、魂を統一するツール。だから、そういう意味で多くの人にもヨガを受け取って試してほしいと思います。

今回のヨガクラスも、「闘病中のセルフケアツールの一つとしてやってみようと思ったのがヨガだった」みたいな感覚で参加いただきたいですね。

闘っているのは1人じゃないという思いを共有したい

――参加いただく方にどんなことを感じてもらいたいと思っていらっしゃいますか。

RIKAさん:「ひとりじゃないよ」「ひとりで抱えなくてもいいよ」ということを少しでも受け取ってもらいたいです。3日間のなかで一瞬でも痛みが無くなったり、大きな呼吸をできるようになったり、どこかギクシャクしていた家族とのコミュニケーションが変わったり。心と身体が和らぐきっかけになったらいいなと。解き放たれる感覚を得てもらいたいです。

実は今、抗がん剤の影響で片足の感覚がないんです。抗がん剤って吐き気がするとか気持ちの悪さにフォーカスされがちですけど、私はそれよりも足の痛みの方がつらくて。神経痛みたいな感じで、夜眠れないときが多いです。でも、ヨガをしているときは、その痛みがなくなる。痛みから解放される感覚が本当にありがたくて。

闘病中、心や身体にアプローチして楽にしてくれるのは薬だけじゃない。ヨガもだよということを今回のクラスで伝えたいし、同じように感じてほしいです。

また、今闘っているのはひとりじゃない、という気持ちも伝えたいので、ヨガで心と身体を解放してもらうだけでなく、参加者同士でコミュニケーション出来る時間も設けたいです。闘病されている方は、きっとどこかに孤独感を持っているのかなと。だから同じように闘っているみんなで支え合って頑張ろうと思えるコミュニティ感を作っていきたいと思っています。

――そこにはRIKAさんご自身の経験もあるのでしょうか。

RIKAさん:そうですね。私の場合は、ヨガをすること・ヨガを教えることが救いになりました。自分が外と繋がっているという感覚…ヨガを通して、人に何かを伝えたり、教えたり。それが自分のやる気や前向きな気持ち、希望に繋がっています。もし、ヨガに出会ってなかったらもっと孤独を感じていたんじゃないかな。

私は幸運にも自分なりのケア方法をヨガから学び、自分をコントロールする、導いていく方法を多少なりとも理解していました。だから、今回のクラスではそれをシェアしたいなと思っています。皆さんの気持ちも分かるし、フランス革命の絵のように、自分が旗を先に持って皆さんをガイドしたいと思います。闘っている同志が集まったコミュニティにします。

今回、参加者にはワークショップの前にオリエンテーションの時間を作ったり、クラスの後にお話しできる時間を設けたいと思っています。なかなか発言するのは恥ずかしいと思う人もいると思いますが、ぜひそこは「この場所は自分のことを話しても大丈夫なんだ」という安心感を得られる環境を提供して、仲間と一緒に頑張っていくという経験をして頂きたいです。ヨガに馴染みのない方は、ハードルが高いと思うかもしれませんが、ヨガは怪しいものでもないですし、キラキラしてなくても大丈夫。病気と向き合うなかで、思い悩んでいる心や身体が軽くなるツールの一つとして、気負わず参加してほしいです。

ヨガの哲学を学ぶなかで得た感覚を大事に

――RIKAさんの以前のインタビューで「自分が人生において大事だと思っているのは、逃げないこと。傷ついても向き合う」とお話されていたのが印象的でした。今も、その思いは変わりませんか。

RIKAさん:はい、変わりません。がんだからって、自暴自棄になって「どうせ死ぬんだし」みたいな行動をとることも可能なんですけど、それってマスキングしてるだけだと思うんですよね。実際根本的な問題に目を向けていない。逃げて残りの人生を終えるのか、向き合ってやる事をやって(いつか分からないけれど)人生を終えるのか…私は向き合っていきたいと思いました。

普段の生活でもそうです。例えば嫌いな人がいて、その人を避けたとしても同じようなタイプの人にまた会うんですよね。避ければ避けるほど、そういう人に多く出くわす。これって、現れる人が問題なのではなくて、自分の内側にある問題がその人の鏡となって表れてくるから嫌なんですよね。だから、どうして嫌いな人が嫌いなのか、自分の内側を見つめてインナーワークをする必要があると思います。

――そういった思いは、今回の「闘病中の人のためのヨガ」開催にも反映されているのかなとお話を聞きながら感じました。

RIKAさん:そうですね。病気と向き合うことの一環なのかなと思います。逃げない、と言っても、気持ちが落ちたときには子どもみたいに泣いていいんだよ、そういう日があっていいんだよ、と自分で「よしよし」ってやってあげる日もあれば、少し気持ちが上向きになってきたね、頑張ろうねって声をかける日もある。自分のなかで意識的に“急がず、焦らず”をやってきたように思います。落ち込むのも普通、気持ちが持ち直すのも普通。その繰り返しが人生なのかなと。

皆さん、元気でいるのがベストで普通だと思いがちだけど、身体も心も上がったり下がったりするのが普通なんですよね。人生には幅があるし波がある。いつもベストではないし、いつも悪いわけではない。これはヨガに出会ったことで得たものだし、そういう考え方を基本にしてみたらどうかな?ということも今回のクラスで伝えたいです。

ヨガの考え方を知ると「人生がお得になる」と思います。Knowledge is power(知識は力なり)。自分の人生の手助けをしてくれて、どんなことが起きても大丈夫だと思える心構えというか、その知識をくれているのはヨガの哲学だなと思います。

がんだけでなく闘病中の方ならどなたでも参加してほしい

――手術後のリカバリー的なヨガではなく、身体と心の解放を目指す「闘病中の人たちのヨガ」。参加を考えている方にメッセージをお願いできますか。

RIKAさん:このクラスは闘病中の人のためのものです。「闘病している自分のために存在する空間や人がある」ということをまずは皆さんに知ってほしいです。そして、一瞬でもいいから解放感を得て欲しい。私自身、ヨガをやっているときだけ抗がん剤の影響で出ている痛みから解放されるんです。抗がん剤の影響で、髪の毛が抜けたりたくさんの痛みを経験してきたけれど、ヨガをやっているときの“解放感“は、他の何ものにも代えがたい感覚です。考えるだけでありがたくて本当に涙が出てきます。

皆さんも闘病中、苦しいと感じることがたくさんあると思いますが、その手助けの一つにこのクラスがなったらいいなとも思います。負担の少ない形で自分の心と身体を解放する感覚を感じて下さい。

――がんだけでなく他の病気を患っている方、闘病中ならどなたでも参加できる内容というのも特徴ですね。

RIKAさん:そうです。抗がん剤の経験を経て、神経痛の方の痛みも痛いほど分かったし、一人で病気を抱えて孤独を感じる感覚も分かりました。だから、そういう事を常日頃から向き合っている人にもぜひ参加して欲しい。

それに加えて、若い方。現状のがんサバイバー向けのヨガは高齢者に向けたものが多いので、今回はどんな年齢の方にも向き合っていただけるものを用意しようと考えています。

クラスに関しては、3部構成でやっていきたいと思っています。心を落ち着かせるグラウンディング〜ヨガ〜誘導的な瞑想をしてクラスを終えるような内容です。3日間それぞれにテーマを決めて「heal」「rejuvenate」「reenergize」の段階を踏んでいくようなクラスにしたいなとも思っています。まずは「heal」=治癒して、次に「rejuvenate」=枯渇した土に水を入れるような感じ。そして「reenergize」=そこから芽吹く、といったイメージです。

もっと具体的にお伝えすると、1日目は寝たままで出来るヨガ、2日目は立ち膝&座り姿勢だけのヨガ、3日目は立って行うものから寝て行うもののヨガ、という形で段階を踏んでいくものにしようと考えています。全く経験がないという方や身体がつらい方は1日目だけ参加いただけたらと思いますし、少しでも動けるなという人は、ぜひ3日間参加していただきたい。より気軽に参加してほしいので、バリエーションを幅広く用意しようと思っています。がんに特化した内容ではないので糖尿病や多くの神経痛、うつ病など、闘病していらっしゃる方皆さんに参加していただきたい!と思っています。

このクラスで生み出したエネルギーを日常生活に持ち帰ってほしいですし、闘病中でも自分が主人公なんだ、というような気持ちを持ってもらえるように。オンラインですし、地域問わず気軽に受けてもらえたら嬉しいです。

「闘病中の人のためのヨガ-Yoga for Chronic pain-」開催概要

日時:2022年9月7日(水)・8日(木)・9日(金) *各日21:30から40分間

*9月6日(日)14:00からZOOMでのオリエンテーションあり(参加自由)。クラスへの申し込み後にお送りするメールに、オリエンテーションへの参加方法を記載しています。

内容:

9月7日(水)…寝たままで出来るヨガ
・レベル: 初心者から経験者まで
・スタイル: 伸ばす、ハタヨガ陰ヨガ
・心のフォーカス: Heal *ストレス、孤独感の解放

9月8日(木)…立ち膝だけのヨガ(*座り&四つ這いでできる内容)
・レベル:ヨガ初心者から経験者まで
・スタイル: ハタヨガビンヤサヨガ
・心のフォーカス: Rejuvenate *自分を取り戻す、コミュニティのサポートを感じる、元気を取り戻す

9月9日(金)…全身のヨガ
・レベル: 頭を上げ下げするので、自律神経失調症の人は医師の指示を仰ぐ&講師に先に連絡をください
・スタイル: ビンヤサヨガ
・心のフォーカス:Revive *元気を得て前を向いて進む(活力を得て前に進む)

対象:抗癌剤治療中、神経系疾患、糖尿病性神経障害(手足に痛みがある方)、うつ病、自律神経失調症など闘病中の人なら誰でも歓迎します

*このクラスは、乳がん手術後のエクササイズではありません。その点をご了承いただき、医師に相談の上、1日目・2日目のクラスにはご参加いただけます。3日目のクラスは全身を使うため、術後まもない方は参加をお控えください。 *術後の方向けのクラスに関しては、10月をめどに開催予定です。

*このレッスンは、病気の治療や改善を目的としたものではありません。

*クラスは体調に合わせて自己責任のもと、無理のない範囲で受講してください。参加にあたっての責任は一切負いかねます。お申し込みを持ってご了承いただけたものとします。

参加費:1回券1100円、3日通し券3000円(税込)*オリエンテーションの参加は無料

クラスの参加申し込みはこちらから

お申し込みにはMOSHの登録が必要です。

Text by Mitsue Yoshida

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。

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