職場のパフォーマンス向上のカギ!チームの「心理的安全性」を高める方法は|臨床心理士が解説

Adobe Stock

職場のパフォーマンス向上のカギ!チームの「心理的安全性」を高める方法は|臨床心理士が解説

石上友梨
石上友梨
2022-07-29

「心理的安全性」という言葉を聞いたことがありますか?日常生活を送る上では、ストレスと上手に付き合っていくのはもちろん、自分のいる場所や周囲の人に対して「安心」「安全」を感じられることがとても重要です。それは職場でも同様で、心理的安全性を感じられる職場は、個人にとっても会社にとっても様々なメリットがあります。今回は、この「心理的安全性」についてご紹介します。

「心理的安全性」とは?

心理的安全性とは、周囲の人の反応に恐怖や不安を感じることなく、安心して発言や行動ができる(=自分を出せる)状態のことです。例えば、職場で「私はこうしたほうがいいと思います」と異なる意見を言ったり、「すみません、もう一度教えてください」と気兼ねなく質問したりできる状態です。

心理的安全性はビジネス用語の一つで、Google 社が「パフォーマンス向上のためには、心理的安全性を高める必要がある」と発表して以来、多くの企業や組織が注目しています。Google社は「誰がチームのメンバーであるかよりも、チームがどのように協力しているかのほうが重要だ」と言います。メンバーに恵まれなかったと嘆くよりも、メンバー同士の関わりやチームの雰囲気を変えて心理的安全性を高めるほうが、チームに良い変化が生まれるかもしれませんね。

心理的安全性が高いとどうなるのか?

心理的安全性が高いチームは、仕事のパフォーマンスや創造性が向上するだけでなく、チームへの満足度も高くなることがわかっています。「チームに貢献したい」という気持ちが高まり、離職率も低くなります。率直な意見交換ができ、助け合えるチームのほうが仕事の成果が出やすいのは想像しやすいですね。しかし、誰もが率直に意見交換できるというのは、一見簡単なようで難しいことです。例えば、新入社員や自分に自信がない人などは、立場や状況によっては上司や管理職の意見に合わせてしまい、率直な意見を言いづらいことも多いのではないでしょうか。

心理的安全性の4つの因子

株式会社ZENTechの研究チームは、日本の800のチームで心理的安全性を計測しました。その結果、以下の4つの因子があるときに心理的安全性が感じられることがわかりました。

1. 話しやすさ
2. 助け合い
3. 挑戦
4. 新奇歓迎

話しやすく、助け合いやすい職場の雰囲気はイメージできますね。加えて、挑戦しやすい雰囲気作りも大切です。メンバーが業務改善のために新しいことに挑戦した時に、良くなかった点ばかり指摘したり、変化に対してネガティブな反応ばかり見せたりしていると、そのメンバーは「提案しても、どうせだめだろう…」と考え、何も発言しなくなってしまうかもしれません。善意で行動したことが周囲のネガティブな反応につながった場合、人は行動すること自体を避けるようになります。
そして、4つ目の新奇歓迎は、ダイバーシティ&インクルージョンな世界を目指す上で欠かせないものです。それぞれの個性を活かすためには、「同一性」よりも「異質性」を認めていく必要があります。

チームの心理的安全性を高める方法

チームの心理的安全性を高めるためには、これらの4つの因子をチーム全員で理解することが大切です。まずは心理的安全性についての研修を実施したり、資料を読んでもらったりして、学んでもらうのが良いでしょう。「安心」「安全」を感じられるチームこそがパフォーマンスの向上につながるのだと知れば、職場のみんなの反応も変わってくるかもしれません。

その際、可能であれば、上司や管理職がリーダーシップをとって、チームの方針を示したり、自らが率先して行動できると良いです。例えば、上司が過去の失敗や現在の困りごとなどを自己開示することで、部下との心理的距離が近づき、信頼関係を築きやすくなります。すると、みんなが意見を言ったり、質問をしたりしやすくなります。また、この時、上司はただ悩みを話すのではなく、過去の失敗が現在につながっているなど、ポジティブな側面も合わせて伝えられると良いでしょう。弱さを見せられるリーダーのほうが人間味があり、協力し合う関係性を築きやすいという研究結果もあります。

自分一人で職場やチームの心理的安全性を高めることは難しいですが、上司や管理職といった影響力がある人を巻き込みながら取り組めば、きっと働きやすい環境につながっていくでしょう。

AUTHOR

石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。

RELATED関連記事

facebook

Yoga Journal Onlineをフォロー

Facebookページでいいね!する