栄養学の専門家が解説!「有機農産物(オーガニック野菜)」を食べるメリットと注意点

 栄養学の専門家が解説!「有機農産物(オーガニック野菜)」を食べるメリットと注意点

高いお金を支払う以前に、有機野菜や果物にこだわることが、本当に高価な買い物に見合うかどうか、理解することが大切です。

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生鮮食品は、有機食品の小売りが始まって以来、最も売れているカテゴリーで、米国内で販売される果物や野菜の約半分は有機栽培のものだそうです。また、有機農産物は慣行栽培のものよりもコストがかかる傾向がありますが、その需要はとどまることを知りません。

しかし、有機農産物は本当に慣行栽培の農産物よりヘルシーなのでしょうか?それとも、有機農産物は全く取り入れず、節約を優先した方がいいのでしょうか?ここでは皆さんに知っていただきたいことをご紹介します。

有機農産物は必ずしも無農薬とは限らない

環境中に存在する化学物質にさらされる機会が増えると、パーキンソン病やアルツハイマー病の発症リスクが高まるなど、好ましくない副作用が生じることが知られているため、農薬を避けるために有機農産物に頼る人が多いようです。しかし、直感的には有機栽培の農産物を食べれば農薬を避けられるように思えますが、実はこの考え方は完全には当てはまらないのです。

有機栽培の農家は、農薬、除草剤、殺菌剤に米国農務省が承認したリストに掲載する天然物質を合成物質の替わりとして使用することができます。また、「天然」というとより安全なイメージがありますが、必ずしもそう決めつけることはできません。その一例が、特定の有機農法で使用される殺菌剤である硫酸銅の使用です。硫酸銅は天然で有機的と考えられていますが、合成の代替品と比べるとはるかに毒性が高い可能性があります。

ですから、一般に信じられているのとは異なり、有機栽培の農産物は必ずしも無農薬とは限りません。むしろ、有機食品に含まれる農薬は合成農薬ではないからと言って、自動的に安全であるとは言えません。また、有機農産物をより多く食べている人の体内の農薬代謝産物が少なく、これらの食品は全体的に残留農薬が少ないという研究結果があるのは事実ですが、この結果が人間の健康に大きな影響を与えるかどうかを示す証拠は不十分であるというのが専門家の一致した見方です。

有機農産物は栄養価がやや高い可能性がある

有機農産物と慣行農産物の間には、主要栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、食物繊維)の値ではほとんど差がないように見えますが、他の点では違いが見られます。具体的には、ある種の有機農産物は、従来型の農産物に比べて抗酸化物質(特にポリフェノール)の濃度がわずかに高いことが示されています。また、農産物を含む有機食品全般は、農法などの変動要因にもよりますが、ビタミンC、鉄、マグネシウム、リンの含有量が非有機食品より多いことが分かっています。

専門家の中には、これらの栄養の違いは非常に小さく、全体から見れば大した違いはないと主張する人もいますが、厳密に言えば、有機食品を選ぶことで、栄養面で体にわずかな優位性をもたらす可能性があります。

有機農産物は重金属の含有量が少ない可能性がある

重金属とは、鉛やカドミウムなどの化合物で、長期間にわたって大量に摂取した場合、健康を損なう恐れがあります。農作物に含まれる重金属を避ける確実な方法はありませんが、雨や風などの自然現象が作物に重金属をもたらすため(有機農法か慣行農法かにかかわらず)、有機農法の方が有害となりうる金属を含む食品をより少なく生産することができるようです。ある研究では、非常に毒性の高い金属であるカドミウムの濃度が、慣行農産物に比べると有機農産物は48%低いことが示されました。

では、有機農産物だけを選べばいいのか?

有機野菜にこだわるべきかどうか、その答えは単純なものではありません。有機農産物を選んだからといって、無農薬の食品が保証されるわけではありませんし、かなり高額な値段がつくのも事実ですが、一方で、有機栽培にこだわることで抗酸化作用の面で、若干優位に立てるかもしれません。また、重金属にさらされるリスクに関しては、有機農産物の方が低いようです。

最終的には、個人の好みの問題です。

もし、あなたが有機農産物を手に入れることができ、かつ、それを購入できるのであれば、有機農産物を選択しても害はないでしょう。しかし、90%のアメリカ人が推奨される果物や野菜の摂取量を毎日満たしておらず、コストやアクセスがその目標達成の妨げになっている場合、手に入る農産物は何でも手に入れる方が、単に慣行栽培の農産物を避けるよりも良いのです。

つまり、従来の食品を選ぶことが健康に及ぼす潜在的な悪影響を、果物や野菜の消費を減らす論拠にすべきではないのです。

教えてくれたのは・・・ローレン・マナカーさん
ローレン・マナカーさんは、認定栄養士、フリーランスライター、作家、栄養学のスポークスマンなど様々な専門分野で活動している。https://www.nutritionnowcounseling.com/

ヨガジャーナルアメリカ版/「Here’s What a Nutrition Expert Wants You to Know About Organic Produce

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By LAUREN MANAKER
Translated by Hanae Yamaguchi

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ヨガジャーナルアメリカ版

ヨガジャーナルアメリカ版

全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。



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