中年男性の心身の不調、もしかして「ミッドライフ・クライシス」かも?どんなふうに寄り添えば?
誰にでも訪れる更年期。女性ばかりがフォーカスされがちですが、実は男性にも更年期のような「ミッドライフ・クライシス」があることが知られています。パートナーにトラブルが重なって起きた時、どのように寄り添ったらベストなのでしょうか?
男性のミッドライフ・クライシスとは?
「中年期の心理的危機」と訳されるミッドライフ・クライシス。おおよそ45歳から65歳の間、家族間もしくは仕事上での変化が目まぐるしく、心理的な葛藤を抱えやすい時期だと言われています。心にぽっかり穴が開いたような気持ちになったり、過去が懐かしく思えたり、または日々の生活がつまらなく思え、急に現状を大きく変える衝動的な行動をとったり(浮気など)することがあります。九星気学で言うところの「厄年」が私たちのミッドライフ・クライシスや更年期の時期とちょうど重なるのは非常に興味深いところではあるものの、やはり体力的に衰えていくだけでなく、精神的な「気」に大きなダメージを受けやすい時期だと言わざるを得ません。順天堂大学大学院の堀江教授の研究では、これらの症状は生活習慣や社会とのかかわりが影響することがわかってきており、健やかにやり過ごすには、これらを改善することがキーとなりそうです。
男性の更年期症状にも個人差アリ
男性の気虚期は、テストステロンの低下が原因とされています。40歳代であれば誰にでも起こりうるもので、人によってはその症状も千差万別(出典:男性更年期(LOH症候群)|川崎市麻生区のもちづき泌尿器科クリニック)。私の周りの多くの知り合いは不眠で悩み、疲れが取れず、やる気が起きなくてだるさを訴えています。めまいや多汗、うつ病発症といった女性の更年期症状と同じ症状を抱える方もいます。男性側の体調が改善されたとたん、今度は女性のパートナーが寝込んでしまうことで、男性側の症状がぶり返すケースも少なくありません。悪い事の重なるタイミングというものは時に残酷で恐ろしいもの。子供が大学進学を機に家を出てしまったり、一番症状の苦しい時に親の介護が始まってしまう人もいました。自分だけで何とかしようとせず、周囲の助けと理解を求めること。手を抜くところはとことん抜き、毒を吐く場所を確保し、何でも頑張りすぎないのがコツなのです。
辛い時ほど夫婦の相互理解が必要なのはもちろんなのですが、残念ながら、一人ひとりがしてあげられる事は多くありません。せめて自分の苦しみを押し付けず、かつ相手のそれを受け止めなくてよい距離感を置くことで、心理的にも優しく寄り添うことができます。「割り切った距離感」とでもいいましょうか。自分だけの趣味や友人関係を広げ、何より「自分の世界観」を確立すること。自分という存在を最優先し、セルフケアにつとめることが先決です。睡眠障害があるなら、夫婦別々の寝室にしてみるのもアリ。旅行先でも、別々の部屋で宿泊する仲良しドイツ人カップルを大勢見ています。日々の食事も掃除も、できる事はできる人がこなす。頑張りすぎず、完璧を求めない。同じ空間に二人でいたとしても、基本一人軸を大切にして毎日を有意義に過ごすだけで、小さな幸せが心を満たし、自信となって戻ってくるようです。
危機的な状況にあっても夫婦生活を長続きさせるコツは「尊重」にあるような気がしています。相手の心地よいスペースを損害せず、また自分の世界もそれ以上に大切にする。必要のない人間関係や悪習慣を手放し、スッキリとシンプルにダウンサイズすると、自分に集中できます。ミッドライフ・クライシスを二人で乗り切る究極の方法は、一人でも生きてゆける強さを意識する「練習期間」のようなものだと思って過ごすことだと思っています。
AUTHOR
キュンメルめぐみ
外資系企業勤務を経て、ストラスクライド・ビジネススクールにて経営学修士号(MBA)を取得。1999年独渡。現在はお茶ソムリエ・栄養士・ヨガインストラクターとしてカルチャースクールで教室を開催する傍ら、個人やスポーツ選手の栄養アドバイスなども行っている。日々のつぶやきをnoteで発信中。
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