【栗尾モカの更年期大学#6】癒しを数値で検証!自律神経が整う秘密のナイトスポットに潜入

新江ノ島水族館

【栗尾モカの更年期大学#6】癒しを数値で検証!自律神経が整う秘密のナイトスポットに潜入

栗尾モカ
栗尾モカ
2022-03-14

記者・漫画家の栗尾モカが、医師や博士など様々な業界のプロフェッショナルに会い、更年期を快適に乗り越えるための知恵やメソッドをレポートする連載「更年期大学」。第6回目は、癒しを求める更年期世代の間で「ひとりで夜に通う、秘密の場所」として、静かに話題の「新江ノ島水族館」を訪ねました。

更年期症状のひとつ、イライラを鎮めたい時に必要なのは「無理をせず、1日のうちに少しでもリラックスする時間を持つこと」。更年期のイライラは女性ホルモンの乱降下による症状で、実際に女性ホルモンに対して指示をしているのは、自律神経を司っている脳の視床下部。自律神経はストレスからも影響を受けるので、日常に「ほっとする時間」を取り入れることは、更年期世代にとって、とても大事なことです。

「ほっとする時間」「ストレスリリースのための時間」は、ひとそれぞれ。ヨガ、瞑想、ティータイム、マッサージ、読書……。色々な方法がありますが、皆さんはどのような時間を過ごされていますか?

そんな折、海岸沿いにある「新江ノ島水族館」では、閉館後の夜間に「おひとりさま水族館」が開催されており、クラゲの水槽の前でひっそりと癒される大人が後を絶たないという情報を耳にしました。水中をふわふわと漂うクラゲの動きを見ているだけで、ストレス軽減効果があることが科学的な研究からわかったそうです。

おひとりさま水族館
新江ノ島水族館の人気企画「おひとりさま水族館」クラゲの動きを見ていると、血流の速さがゆっくりになり、体内が癒しの状態になることが科学的に明らかに。
日本大学
六会日大前駅にある日本大学生物資源科学部に向かう。「新江ノ島水族館」のある片瀬江ノ島駅とは小田急江ノ島線で結ばれている

お話を伺ったのは...クラゲについて長年研究されている日本大学生物資料科学部特任教授 広海十朗先生

広海先生
広海十朗先生

日本大学生物資源科学部特任教授 日本大学理工学部非常勤講師 三洋テクノマリン(株)技術顧問1952年生 

北海道大学水産学部卒業 同大学大学院水産科学研究科修士課程修了

1977年日本大学脳獣医学部(現生物資源科学部水産学科助手

1999年同大学生物資源科学部教授、2018年同大学定年退職 2018年同大学特任教授 現在に至る。農学博士

主な研究テーマは我が国の閉鎖的海湾の富栄養化機構の解明、同海域における親生元素の物質循環、天然干潟における水質浄化機構の解明、クラゲの大量発生によるプランクトン生態系へのインパクト評価。主な著書は「生物環境科学入門」(森北出版)「海の外来生物」(東海大出版会)クリスティアン・サルデ著「美しいプランクトンの世界」に日本語版の監修。日本プランクトン学会和文誌編集委員長(20018年まで)

宝物を掘り当てた気分!夜の「おひとりさま水族館」は凄かった

ーー広海先生は、海洋生物の資源科学的研究と同時に長い期間、クラゲの癒しの研究をされているそうですが、新江ノ島水族館にも協力をされているそうですね。きっかけは何だったのでしょうか?

広海先生:旧江ノ島水族館にいた知り合いの学芸員から「クラゲだけを見に来て帰る人たちがいるけれど、きっと癒されているのでは?」という話を聞き、これは面白いなと。当時、水槽の前にリクライニングチェアーがあって、そこに1時間ぐらい座っている方がいるときき、クラゲが人間の癒しに使われるというのも、資源的な利用だなと思いました。これを科学的に検証してみたい、と思ってしまったんですね(笑)。それがクラゲの癒し効果を研究し始めたきっかけです。新江ノ島水族館は元々サイエンスに注力している水族館で、私も研究結果の報告などもして協力をしていました。また、クラゲのメッカで、クラゲの飼育や展示を日本で初めて行った水族館でもあります。もう30年も前のこと。私が「クラゲの飼育について教えて欲しい」と尋ねたところ、水族館の方からは「東大の方もいらっしゃいましたが、皆さんどうしてそんなにクラゲに注目されているんですか?」と、逆に驚かれていましたね(笑)。それから私も研究室で飼育を始めました。

 

「ふわっとした拍動に癒される」と人気が高いミズクラゲ。日本では、シンプルで透明感のあるフォルムと毒性の低さでペットにする人もいるほど日本沿岸で見られ、世界中にも広い範囲で生息している。エサは主に動物プランクトン。直径が30cmほどにまで大きくなることも。

多忙な人々もクラゲに反応。惹かれる理由は「浮遊感」「透明感」そして「非日常性」

新江ノ島水族館は、「クラゲキャラバン」をしていた時期があり、新宿駅や赤羽駅などに一時的に水槽を設置していました。ラッシュのクラゲの水槽は物珍しいようで、道ゆく人が「何だろう?」と、急いでいる時間わざわざ足を止めてじーっと見ているんですね。ラッシュアワーでストレスを感じながらバタバタしている人にとって、吸引力があるようです。浮遊感や透明感が心地いいという感想がキーワードとして挙がりました。

――クラゲの存在はミステリアスで、「非日常性」はぴったりのイメージです。広海先生は、クラゲの「癒し効果」を研究する前は、海に増えすぎたクラゲの有効活用について研究されていたそうですね。

広海先生:日本の沿岸域でクラゲ(主にミズクラゲ)が大量に発生して、その原因や対策を考える必要があり、このような研究を1980年代から続けていました。クラゲにも何かしら役に立つ新たな資源的価値を発見すれば有効利用するようになり、産業的に捕獲されるので、結果、数を減らすことになるだろうと考えました。クラゲのコラーゲンは、美容目的の商品にも一部使われています。また、クラゲのムチン(糖タンパクの一種)は人の関節治療に有効である可能性を示す研究結果もあります。

――クラゲのゼリー感は、確かに美容にも良さそうですね。韓国コスメには、ナマコやカタツムリを使っているものもありますし、クラゲ美容は需要があるような気がします。

動画について▶︎「一体これは……」思わず見入ってしまうパシフィックシーネットル。世界最大級のクラゲの一種で、アメリカヤナギクラゲの別名も。

ーー広海先生は、クラゲの「癒し効果」を研究する前は、海に増えすぎたクラゲの有効活用について研究されていたそうですね。

広海先生:日本の沿岸域でクラゲ(主にミズクラゲ)が大量に発生して、その原因や対策を考える必要があり、このような研究を1980年代から続けていました。クラゲにも何かしら役に立つ新たな資源的価値を発見すれば有効利用するようになり、産業的に捕獲されるので、結果、数を減らすことになるだろうと考えました。

エミッション
「やっかいもののクラゲを有効活用する試み」を「水産資源の先進的有効利用法-ゼロエミッションをめざして(エヌ・ティー・エス2005年発行」として出版

――クラゲの生態を熟知された上で、一般の方々のクラゲのイメージをリサーチされたのですね。

広海先生 そうですね。2005年頃、新江ノ島水族館の来場者にアンケート調査を行いました。「好きな生き物は?」「苦手な生き物は?」……この中で、クラゲは刺されるなどあまり良いイメージがなく、どちらかというと苦手な生き物に入るものの、癒しは感じる、という意見が予想外に多く出てきました。しかも、ペンギンは好きだが、癒しを感じるのはペンギンよりもクラゲという結果も。学生にもアンケートをとりましたが、やはり癒される生物はクラゲだったのです。その内容に関しては、2006年に発行した「クラゲのふしぎ」(技術評論社)第8章「ひとを癒すクラゲの力」で分担執筆しました。

――「好き」と「癒される」が別カテゴリーなのですね。興味深いです。

広海先生:アンケートに答えてくれた方に写真入りのカードを渡していたのですが、魚とクラゲのカードを見せると「クラゲの方がいいです」と選ばれる女性が多かったのは面白いなと思いました。

動画について▶︎「リクノリーザ・ルサーナ」は、南米の大西洋岸で見られる根口クラゲのなかま。プリッとしたフォルムが可愛らしい。山形県の鶴岡市立加茂水族館よりポリプを譲り受け、2017年11月に新江ノ島水族館で生まれ、育てたもの。

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栗尾モカ

栗尾モカ

記者・漫画家。新卒で航空会社に就職。退社後、出版社に入り多くの企画に携わる。「ダ・ヴィンチ」で漫画家デビュー後、朝日新聞の社会見学連載、「TVタックル」モバイルサイトインタビュー、女性誌「STORY」の海外・美容取材など数多くの連載を担当。女性のウェルネスをテーマにしたコミックエッセイは、取材の経験がニュースソースになっている。シンガポールのメディアに再就職した際、締切と子育てに追われる中でインド・バンガロールにあるヨガ研究大学(Swami Vivekananda Yoga Anusandhana Samsthana / S-VYASA)により考案されたヨガインストラクター認定プログラムに出逢い、資格を取得。伝統的なヨガ哲学や、心身を癒すメソッドを学び始める。著書に「サロン・ド・勝負」「おしゃれレスキュー帳」(KADOKAWA)「女のネタ帖」(学研)などがある。

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