それ、ホントに筋力不足?【格闘技ドクターが解説】パフォーマンスが変わる「呼吸の使い方」とは

 それ、ホントに筋力不足?【格闘技ドクターが解説】パフォーマンスが変わる「呼吸の使い方」とは
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知識は可能性を拡大する

ここまで3回にわたり、「呼吸」についてスポーツ医学の視点から考察してみました。多忙を極める現代人の生活において、「呼吸とパフォーマンスの関係性」を自覚する機会はなかなかありませんが、改めて着目してみることで「何かがわかる、何かが変わる」ということもあるのではないでしょうか。

スポーツの場面でも「声を出せ」「息をはけ」「呼吸が大事」と長年言われてきましたが、「なぜ大事なのか」といった原理原則の理解は、可能性の拡大につながります。「なぜ」がわかれば、そこから方法はアイディアの数だけ生み出せるからです。声の出し方ひとつとっても、「この技の時はどんな音がいいのだろうか?」「連打と一発の時はどんな気合がフィットするのだろうか」といった新たなテーマも生まれてきますし、「オリンピックでの様々な種目でどんな発声をしているか」を研究材料として自身のパフォーマンスに生かすこともできますよね。

逆に、せっかく一生懸命積み上げてきたのに、「知らない」というだけで、結果は大きく変わってしまうのは、ちょっと勿体ない。知らないだけなのに、知ればもっと飛躍できるのに、その前に自分の才能や可能性まで否定してしまうのは、かなり勿体ない。(上手くなりたい、強くなりたい、その気持ちを持てる段階で素晴らしいです!)外来診察でスポーツで故障した選手に出逢うたびに、あるいは選手の伸び悩みの相談を受けるたびに、私はそう感じるのです。少しでもそのような知識の情報格差が減り、誰でも才能や機会に依存することなく「正しくやれば正しくできる強さの根拠」を発信・共有できたら。そしてあなたの可能性の小さなきっかけになれたら、望外の喜びです。

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取材/北林あい

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二重作拓也

二重作拓也

挌闘技ドクター/スポーツドクター リハビリテーション科医師  格闘技医学会代表 スポーツ安全指導推進機構代表 「ほぼ日の學校」講師。 1973年生まれ、福岡県北九州市出身。福岡県立東筑高校、高知医科大学医学部卒業。 8歳より空手を始め、高校で実戦空手養秀会2段位を取得、USAオープントーナメント高校生代表となる。研修医時代に極真空手城南支部大会優勝、県大会優勝、全日本ウェイト制大会出場。リングドクター、チームドクターの経験とスポーツ医学の臨床経験から「格闘技医学」を提唱。 専門誌『Fight&Life』では12年以上連載を継続、「強さの根拠」を共有する「ファイトロジーツアー」は世界各国で開催されている。 またスポーツの現場の安全性向上のため、ドクター、各医療従事者、弁護士、指導者、教育者らと連携し、スポーツ指導に必要な医学知識を発信。競技や職種のジャンルを超えた情報共有が進んでいる。『Dr.Fの挌闘技医学 第2版』『Words Of Prince Deluxe Edition(英語版)』など著作多数。



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