冬至にゆず、かぼちゃ、うどん、こんにゃくを食べると良い理由|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。
みなさん、おはようございます。師走もいよいよ後半戦。陽射しがあたたかな日がつづいています。冬至は、もうすぐそこ。もっとも日が短くなる冬至を過ぎれば、夏至に向かって少しづつ、日は伸びていきます。一年のうちでもっとも長い冬は薄暗く寒いイメージですが、ここからまた新たな一年の始まっていくのですね。冬至と湯治の語呂合わせからゆず湯に入る習慣があります。ゆずは新陳代謝を促し、万病のもととなる風邪を防ぎ、乾燥しがちな肌に潤いをもたらしてくれます。ゆずの薬効で心身健やかに新しい周期を始めていきましょう。
ゆずの他にも、冬至に食べると良いとされる風習があります。ひとつは「冬至かぼちゃ」。色味のある野菜が少なくなる冬、黄色いかぼちゃを食べれば風邪を寄せつけないとされ、昔から大切にされてきた習慣です。かぼちゃにはビタミンCやAがふんだんに含まれるほか、抗酸化物質が豊富。これは体内で発生し老化を引き起こす活性酸素の増加を抑えてくれるものです。冬至はひとつの生命が終わり、また次の命へと生まれ変わっていく時期。その時期にかぼちゃを食べることで、新しい命がフレッシュで健やかであるように願います。また黄色いことから「金運」がつく食べ物としても大事にされていたみたいですよ。金運とはすなわち、食べ物に困らないこと、とどのつまりはやはり「健康で過ごせること」なのではないでしょうか。
もうひとつは、冬至に「ん」が二つつく食べ物を食べる、というもの。「運(うん)」が二回つくということから、病気にならない、健康で幸福でいられる、という験担ぎです。「冬至七草」ともいわれるその食べ物とは、にんじん、れんこん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うんどん(うどん)、そしてここでもかぼちゃ(なんきん)。銀杏、金柑、寒天は中々食卓に並ぶことがないかもしれませんが、この機会に食べてみるのもよし。でもあまり気負いすぎず、せめて温かいおうどんに人参や蓮根、薄切りしたかぼちゃを乗せて食べられれば良しですね。冬至に限らずですが、普段から人参や蓮根のぬか漬けを常備しておくのもおすすめです。発酵のちからで免疫も高まるでしょう。
最後は「冬至の砂払い」と呼ばれる習慣。これは「こんにゃく」を食べることで一年で体内に蓄積された不要なもの(=砂)を体の外に出して健やかな年を迎える、というもの。食物繊維の豊富なこんにゃくは「胃腸の砂払い」ともいわれ、消化器官をきれいに掃除してくれるので、冬至に食べてすっきりきれいな体で新たな始まりを迎えましょう、という意味ですね。根菜類といっしょにじっくり煮込めばお腹から温まりますし、ちょっとのお醤油とからめてジュージュー焼いても最高のごはんのお供になりますね。
冬は体調を崩しやすく、病気にもなりがちな時期。そんな長くて暗い時期をどうにか乗り越え、皆で喜びの春を迎えるために、昔の人はこうして食べ物に願いを込めてきたのでしょう。その知恵を今いちど見直して、今を生きる私たちも体を労っていきたいですね。
AUTHOR
関根愛
俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。
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