一年の食を振り返る:陰陽の調和が取れた、体に優しい食事の仕方|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん

 一年の食を振り返る:陰陽の調和が取れた、体に優しい食事の仕方|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
Megumi Sekine
関根愛 
関根愛
2021-12-11

SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。

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みなさん、おはようございます。二十四節気は「大雪」を迎えました。一年でもっとも昼が短くなる冬至まで続きます。本格的に雪が降り始める頃なので、大きな雪と書いて「大雪」。さあ、いよいよ冬本番です。お正月の支度を始める頃でもありますね。今日シェアしたいのは、今年一年が終わるにあたって今いちど見直しておきたい「ふだんの食事は、なにをどう食べればいいのか?」ということ。年末年始の整理をする気持ちで、どうぞお気軽にお読みくださいね。

陰性の食べ物、陽性の食べ物

なにをどう食べるかを考えるときに私がおすすめしたい最もシンプルな方法は、陰陽五行に基づいた「食材の陰陽」を知っておくこと。ここでいう「陰性の食材」とは、カリウムが多い傾向にあり、私たちの体を冷ます(冷やす)役割を持つものです。夏の火照った体を冷まし体内の熱を外に逃してくれるトマトやナス、きゅうり、じゃがいもなどの夏野菜や、水分が多い果物などが分かりやすいですね。他には乳製品、きのこ類、大豆製品の中でも豆腐や豆乳、納豆や湯葉など。また飲み物では緑茶や麦茶、嗜好品ではコーヒーなどがあげられます。これらのものは比較的体を冷やしやすいので、寒い季節は連続して食べすぎないことや、食べるときは必ず火を通して温めて食べるなど、ひと工夫を加えることが大切になっていきます。

反対に「陽性の食材」はナトリウムが多い傾向にあり、私たちの体を温めてくれる役割をします。主食でいえばあわやひえ、きびなどの雑穀やそばなどが、この陽性よりの食材です。地中に根を張って育つ根菜類やナッツ類、海藻類も同じく陽性。寒い時期、日頃から上手に食べていれば冷えにくい体を基礎から作ることができる食材です。梅干しも、陽性食材の代表格。口に入れたとたん塩気によってきゅっと体が引き締まるあの感覚が、まさに陽性食材の象徴です。調味料でいえば醤油や味噌、自然塩などもすべて陽性食品。陰性の食材を料理するとき、陽性の調味料で調理してあげるバランス感覚を身につけていくといいでしょう。飲み物では黒炒り玄米茶やたんぽぽ茶、葛湯が体を芯から温めてくれます。この連載で何度かご紹介している梅醤番茶も、今まさにオススメです。

「中庸の食べ物」はいつ食べてもいい

そして両者の中間には「中庸」の食材が存在します。これはいつ食べても良いとされ、体の調和を保ってくれる基本の食材。中庸のものをベースに、陰陽それぞれの食材をバランスよく取り入れていくことが理想です。代表的なのは、玄米。大豆や黒豆をはじめとした豆類もここにあてはまります。野菜でいえば大根やレンコン、キャベツやネギ、小松菜やほうれん草、青菜などです。また果物は陰性のものが多いですが、中でもりんごや柿、みかんは中庸よりです。またお日さまに当てて乾燥させたドライフルーツは生よりは冷えにくいとされますので、寒い時期に食べるとするならベターといえそうです。大豆製品の中でも、乾物である高野豆腐や干した湯葉などは中庸より。中庸の食材は季節を問わず、バランスよく食卓に並べることが大事ですね。

日頃何をどう食べるかは、この〈陰陽+中庸の食材〉の組み合わせを知っておくことで、難しく考えずに実践していけるのではないでしょうか。大事なのは、冬だから陽性の食材だけ食べよう、夏だから陰性の食材だけでもいいや、というように偏ってしまうのではなく、三者の食べ合わせのバランスが常に取れていること。夏に陽性食材をまったく摂らないとなると体はどうしても冷え気味に傾いていきますし、冬に陽性のものだけ食べていれが今度は体内に熱がこもりすぎてしまい、体のバランスを崩すことにつながります。何事も行き過ぎはかえって悪影響になりかねません。

私たちの体は、またとない精密なセンサーですね。それもひとりひとり違っているため、日々の食事経験を繰り返す中で、自分自身で「ああ、調和が取れているな」「今、心地よい状態だな」という感覚を掴んでいくことが一番大切です。自分の感覚を信じられる体を焦らずに作っていきましょう。

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関根愛 

関根愛

俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。



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