寒い季節の皮膚トラブルを改善する食材|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。
みなさん、こんにちは。二十四節気は「小雪」を迎えました。雪が降り始める頃ですが、さほど積もりはしないことから「小さな雪」という名前がついたのだそう。二十四節気に次ぐ七十二候は「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」や「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」といって、陽射しが弱まるため夏空のようなくっきりした虹を見ることはなくなることや、いつのまにか吹くようになった北風が木々の葉を落としていくことを表しています。あったものがなくなっていく、姿を隠していく時期でもあるので、少しばかりもの哀しい思いが胸をよぎる季節でもありますね。心の養生も意識していきたい時です。
空気が乾いていき、皮膚トラブルが増えていく時期です。一番気になるのはやっぱり乾燥。顔や手など外に出がちな部分は特にそうですが、冬は全体的に体内の水分が飛んでいくような、体の中がカラカラっと乾いた感じになりますよね。こういう季節だから仕方ないとあきらめず、日々の食事を通して自分自身の内側から変えていくことができます。
皮膚は五臓六腑でいう「肺」と深い関係があります。「肺」が弱っていると、皮膚も弱っていくのです。潤いを取り戻すには、まず「肺」の養生になる食材をよく食べること。大根や長ネギ、山芋、れんこん、こんにゃくなどの比較的「白い食材」が肺の養生食になります。味の個性が強いものも少ないので、毎日の料理に取り入れやすいですよね。そしてここでポイントとなるのが、皮付きの食材は、皮ごと食べること。マクロビオティックでは「一物全体」といい、素材を丸ごといただくことを表します。野菜でも玄米でもそうですが、実は皮の部分には皮膚を丈夫に保つために必要なマグネシウム、亜鉛、セラミドなどの大切な成分が豊富に含まれています。皮膚の健康に有効な成分をみすみす捨ててしまうのはもったいないですね。私は大根や山芋なんかも、よく洗って皮ごとすり下ろして食べています。なんだか力がつく気がするのです。煮物を作るときも、皮ごといただいたほうが味が深くなり、食べ応えもあって美味しいですよ。
食べ方として大切にしたいのは、水分を多く含む調理法。お味噌汁やスープは想像しやすいですが、副菜におひたしや煮物、蒸し物を増やすことが手軽でオススメです。デザートも、ケーキなどの焼き菓子よりは、蒸して作るおまんじゅうや蒸しパンなど水分を含むおやつが乾燥を防ぎやすくなります。反対に、焼いたり揚げたりして水気を飛ばす調理は、皮膚から水分を奪ってしまう傾向にあります。天ぷらや唐揚げ、オーブンでじっくり焼くグラタンやピザなどを常食していて乾燥が気になる方は、試しに避けてみると良いかもしれません。小さなことにみえますが、今日いまの私たちの体は私たちがどう過ごしてきたか、何を食べてきたかの時間の積み重ねの集大成です。明日やちょっと先の未来の自分が健やかに暮らせるように、小さなことこそ大事に続けていきたいですね。
AUTHOR
関根愛
俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。
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