デンマークでの体験を通して学んだ、自分の満足感を自分で決めるということ【私のウェルビーイング】

 デンマークでの体験を通して学んだ、自分の満足感を自分で決めるということ【私のウェルビーイング】
Chiaki Okochi

デンマークのフォルケホイスコーレでは、歴史や政治からアートや工芸、アウトドアなど様々な授業科目を各校で展開しています。今回は、私が科目を選んだ理由とそこでの体験についてお話させていただきます。

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アートを選んだ理由

私はデンマークのフォルケホイスコーレに留学中、アートを中心に様々な科目の授業を受けていました。デンマークに留学しようと決めた理由はいくつかあるのですが、その中でアートの授業を受けたいと思ったのは、ただ漠然と、けれどもずっと「こどもの芸術教育」に関心があったからです。

「こどもの芸術教育」についてイメージした時、真っ先に浮かんだのが、絵を描くこと、歌うこと、踊ることの3つでした。大学時代はパフォーミングアーツ(舞台芸術)学科で舞踊専攻だったこともあり、これまで習ったことのない絵を描くことをやってみようというのが動機です。

ちなみに、私は今まで「自分は絵を描くのが下手だ」とずっと思っていました。幼少期を振り返れば、絵を描くことは純粋に好きだったように思います。けれども、小学校に入るとクラスでは人気のアニメや漫画の模写の得意な子が「絵が上手」とされ、中学校ではいつしか図工が美術という科目になり、高校ではデッサンの出来なさに恥ずかしさを感じていた記憶が浮かびます。もちろんそれ以降は、友達とふざけてイラストを描くことはあっても、自発的に本気で絵を描いたことなんてありませんでした。

しかし、社会人になって保育士免許を取得する際に、再び絵を描かざるを得ない状況になりました。私は働きながら通信講座で取得したため、2次試験では実技があったのです。ここで”造形”すなわち絵画と、”言語”の童話の読み聞かせを受験しました。これまですでに1次の筆記試験の時点で2度不合格だったこともあり、もう後がないという状況でした。独学のため、インターネットの情報を頼りに勉強し、結果はなんとか基準ギリギリの点数で合格。自分なりに絵を描く練習をしてみたけれど、ここでもやっぱり「私は絵が上手くないんだな」と現実を突きつけられたような気持ちになりました。

そんな、絵に全く自信のない私ではありましたが、「大人になってからもう一度、生徒として学んでみたい」「純粋に創る喜びを味わってみたい」そんな思いもあってアートの授業を選びました。

アートの授業での体験

たとえば色彩について学ぶクラスでは、こんな体験をしました。赤、青、黄色のたった3色の絵具があれば、どんな色も混ぜ合わせて作れることを体験する授業です。

授業を通して初めて感じた、自分の満足感を自分で決めるということ【私のウェルビーイング】
アートの授業にて

おそらく皆さんも経験があると思いますが、赤と青を混ぜれば紫になり、赤と黄を混ぜればオレンジになります。大人になると、「そんなの当たり前じゃん!」と言いたくなるような作業でも、実際に色が混ざりながら変化する様子には、まるでこどものようにワクワクしてしまいました。この絵具を混ぜるだなんていう作業にも懐かしさを感じていたのですが、完成した後に忘れられない出来事があります。課題が終わった後に私たちが話し合ったのは、正確さや出来栄えではなかったのです。

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大河内千晶

大河内千晶

1988年愛知県名古屋市生まれ。大学ではコンテンポラリーダンスを専攻。都内でファッションブランド、デザイン関連の展覧会を行う文化施設にておよそ10年勤務。のちに約1年デンマークに留学・滞在。帰国後は、子どもとアートに関わることを軸に活動中。



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