【ヴィーガン&グルテンフリー】ビジュアルの可愛さだけじゃない!とびきり美味な実力派スイーツを発見
牛乳、卵にバター、そして小麦粉、砂糖さえ使わない、徹底したベジタリアン志向のお菓子を作るのは、長野在住の飯田さおりさん。「映え」系スイーツでありながらも、しっかり「おいしい」CocoChouChou(ココシュシュ)のお菓子の実力は、長野という地方都市に拠点を置くお店にも関わらず、全国の大手デパートへの出店履歴や多数のメディアで得た高評価からも伺えます。
「ヴィーガン&グルテンフリー」って?
Cocoは「ココナッツ」。甘みや香ばしさを支えてくれるココナッツに敬意を表して。
ChouChouはフランス語で「大切な物」。ヴィーガンだけでなく、たくさんの人にとって大切なお菓子になりますように…との願いを込めて。
「ヴィーガン」とは、宗教上または健康上の理由や環境意識、動物愛護などの観点から、乳や卵などを含む動物性食品を食べない主義のことを言います。野菜や穀物を中心とした食生活で、脂質を抑制することができるため注目されています。
「グルテンフリー」とは、小麦や大麦、ライ麦などの麦類に含まれるグルテンを一切とらない食生活のこと。一般的にはパンやパスタ、ケーキなどの洋菓子類には小麦が使われていますが、最近では身体への負担やグルテンの持つ食欲増進作用を避ける意味で、米粉を代用する例も多く見られるようになりました。
カカオが響く、リッチ&スムースなチョコレート
CocoChouChouの生チョコレートは全部で7種のフレーバーが楽しめます。すべてが乳製品不使用だとは思えない、深みのある味わいとコクとなめらかさ!このまろやかなコクの正体は「カシューナッツをペースト状にした自家製植物性ミルク」とのこと。さらに、飯田さんのヴィーガンチョコレートは、通常のチョコレートよりも一層フレーバーが際立つのも特徴です。フルーツやナッツ、抹茶、紅茶、そして薔薇の華やかな香りと、この滑らかな口どけのヴィーガンチョコレートの相性は抜群。そして忘れてはならないのが、フレーバーとカカオを支え、引き立てる甘み。この甘み、実は砂糖ではなくメイプルシロップ!
「いくら健康的でも、アレルギー対応であっても、やっぱりお菓子はおいしくないと…。」CocoChouChouのチョコレートを口に入れると、飯田さんの緻密なレシピを実感できます。
卵、牛乳、小麦粉、そして火は使わない
このキュートなルックスのお菓子はVegan Raw Cake(ヴィーガンローケーキ)。ケーキと言えば、卵と砂糖、小麦粉を混ぜてオーブンで焼いたもの…と決めつけてはいけません。その全ての材料と火を使わずに作られたケーキが、こちら。想定外のレシピに「どうやって固めているんですか?」と、つい大きな声で聞いてしまいましたが、その答えもまた想定外。ココナッツオイルの温度が下がる際に固まる性質を利用して成形しているとのこと…なるほど!とか、またつい言ってしまいましたが、実は生物も化学も物理も(関係ない?)苦手だったのでよく理解できませんでした。しかし、除去食にありがちな「ケーキのようなもの」では決してなく「誰が食べてもおいしいケーキ」であることは理解できました。これは決して1つだけでは終わらない…後を引くケーキです。いや、実は終わらせなくてもいいんです!なぜなら、1番カロリーが高い抹茶でも1つで226カロリー!その上、火を通していない分、ココナッツオイルやデーツなどの栄養素がダイレクトに身体に届きます。ベジタリアン、ヴィーガンの世界にこんなにおいしいケーキがあったとは!このギャップ萌え的出会いは衝撃です。
気軽なギフトに…カラフルな焼き菓子はいかが?
優しい懐かしい味わいのボーロを飯田さんが作ると、こんなに可愛くなります。むらさきいも、かぼちゃ、そしてほうれん草の色味が鮮やかで、もちろん風味もしっかりと。ところでボーロは片栗粉で作るって、ご存知でしたか?じゃがいもが原料なので、もちろんグルテンフリー!
キュートなヴィジュアルだけでなく、嬉しい秘密がいっぱいの「3種の野菜ボーロ」は、ギフトでも人気のお菓子です。
IT系OLからヴィーガン&グルテンフリーパティシエに転身
現在、長野市在住の飯田さんですが、もとは東京生まれ。小さなころからフランス、ドイツ、オーストリアのお菓子が大好きで、レシピを集めては家族の誕生日に腕を振るい、学校ではお友だちに焼き菓子を配る女の子だったそう。学生時代はアルバイトで洋菓子に携わったことはあるものの、敢えてお菓子の道へは進まず、日本文学を専攻した大学を卒業した後は、10年ほどIT企業に勤務。退職後は、フリーの立場で麻布十番にオープンする店舗のデザートメニュー開発を引き受けたのがきっかけで、本格的に「お菓子を仕事にする」生活をスタートさせました。パティシエとしての修業経験は無いものの、アルバイトでケーキやクレープを作ったり、お菓子教室の助手としての経験もあり、学生時代から会社員時代に食べ歩きをして鍛えたセンスに磨きをかけ、パティシエの著書やレシピ本を子どものころから読み込んできたため、その知識とキャリアは充分!自身のパティシエとしてのキャリアを「幅広いジャンルのお菓子を子どものころから長く作り続けてきたので、たくさんのレシピを試して知識を増やしてきました。ヨーロッパの国々の伝統的なレシピ、好きなパティシエの作品、そしてヴィーガン&グルテンフリーの知識を盛り込んで今は作っています」と笑顔で話します。ヴィーガン&グルテンフリーというジャンルとの出会いは、最初の仕事であるカフェの利用者に外国人が多かったことがきっかけだったとか。修業経験が無いのによくぞ…と言いかけて、その笑顔を見ながら「いつもフリーの立場でお菓子と向き合ってきた飯田さんだからこそ、この高いハードルも乗り越えられたに違いない」と気づきました。
修業を経験すると、そのお店やシェフの考える「正解」を教えられ、継承することが必要になります。そして、ひとたび「正解」をめざし始めると、人はそれ以外のセオリーを受け付けにくくなってしまいます。
その点、飯田さんは自分で実際に味わって「おいしい」と感じるもの全てを「正解」として受け止め、独自のレシピを生み出してきました。Cocochouchouのお菓子には、飯田さんが小さなころから作り続けた家族が大好きなケーキから、遠い異国に伝わる焼き菓子まで、全てが盛り込まれて進化を続けています。
飯田さんの今までのチャレンジを聞いていると「自由こそが創造力の1番のエネルギー」なのだと気づくことができました。
ショップ情報:CocoChouChou
長野県長野市北石堂町1211-1 グランドハイツ21 1F
Web Shopはこちら
AUTHOR
みやむらけいこ
ライター歴20年。「取材ではなく出会い、インタビューではなく会話」をモットーに、わかりやすい言葉で丁寧に「ひと」を伝える。好きなものは、サーフィンと歌舞伎、主食はチョコレート。
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