乳がん患者とサバイバーにヨガがもたらす4つの効果【ウェルネスコンサルタントが解説】
乳がん患者が診断や治療に伴う肉体的・精神的な困難に立ち向かう上で、ヨガや呼吸法は役立ちます。今回はその内容をご紹介しましょう。
ヨガインストラクターのアンジャリ・ラオさんは、37歳のときに乳がんと診断されたときのことを鮮明に覚えています。「初めてのマンモグラフィ検査の後、医師から電話がかかってきたのを覚えています。検査の結果、微小石灰化が見られ、早期乳がんだと言われました」とアンジャリさんは述べます。
アンジャリは、家族歴があるため、医師の勧めで早期検査をすることにしました。何人かの医師に相談した結果、彼女は再建を伴う両側の乳房切除術を選択しました。「かなり衝撃的な選択でしたが、私の若さと家族のことを考えて決断しました」。
アンジャリさんは、手術後の回復期に初めてヨガのクラスに参加しました。そのクラスに参加した後、彼女は何かが変わったと感じました。「私は、がんの診断や治療を受けている人たちとヨガをシェアしたいと思ったのです」。初めてのヨガクラスから1年後、彼女は初めてヨガのティーチャートレーニング(以下YTT)を受講しました。
2018年、アンジャリさんは500時間のYTTと、彼女のメンターであり今では友人でもある、がん患者へのヨガ指導を専門とするロリアン・ニアガーダーさんのもとでの実習を終えました。間も無く、アンジャリさんは、がん治療プログラムで患者やサバイバーにやさしいヨガを教え始めました。
「私は生徒たちから同じくらい、いやそれ以上に学びました。例えば、人生や生き方、哀しみと感謝、小さな喜びと大きな勝利について、また、化学療法の終了や仕事復帰、家族休暇の取得を共に祝ったりもしました」。
身体的・精神的苦痛を和らげるヨガの効果
私はホアグ病院のウェルネスコンサルタントとして、患者、サバイバー、スライバーと接する中で、多くのがん患者が治療中や治療後に自分の体との断絶感を経験していることを目の当たりにしてきました。また、ヨガがいかに助けになるのかも目の当たりにしてきました:
1.痛みの軽くする
トラウマに配慮した思いやりのあるティーチャーが教えるアーサナは、術後の生活や継続的な治療の質に違いをもたらします。「アーサナとプラナヤマは、私たちが自分の体や心、神経系とつながることを助けてくれます」とアンジャリさんは言います。アーサナとプラナヤマは、体と心と神経系を結びつけるのに役立ちます。穏やかな動きは、可動域を広げ、血行を良くし、浮腫みを減らし、痛みを和らげ、"休息と消化"をつかさどる副交感神経系を調整してくれます。
2.孤独感を和らげる
グループで行う場合、ヨガはがん治療中に多くの人が経験する孤独感や寂しさを和らげるのにも役立ちます。「ヨガクラスの友達を治療に連れて行くボランティアをしたり、ヨガクラスを超えて連絡を取り合う人を見たりしたことがありますが、これは患者さんの生活の質を大きく向上させるものです」とアンジャリさんは言います。
3.罪悪感を軽くする
ヨガの哲学は、治療を受けている最中の人にも役立ちます。アヒムサ(人を傷つけないこと)は、患者さんが他人のスケジュールに合わせて治癒しなければならないと感じるのではなく、自分自身を慈しむことに役立ちます。現代社会では生産性が重視されているため、患者さんの中には回復に時間をかけることに恥じらいや罪悪感を感じる人もいます。スバディヤ(自己認識)は、いつ、どのように一歩下がって自分をケアすべきかを患者さんに教えてくれます。サティヤ(真実を伝える)は、自分のニーズを友人や恋人、同僚に正直に伝えることの重要性を認識させてくれます。
4.コミュニティの構築
「愛情のこもったサンガ(繋がり)・コミュニティを持つことは、乳がんの診断、治療、サバイバーシップを経験している人たちに力を与えることができます」とアンジャリさんは言います。
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ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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