複数のパートナーを愛するポリアモリー向けサービスの台頭からわかること
ポリアモリー向けのサービス
OkCupid
マッチングアプリのOkCupidは、2021年夏の「Every Single Person」キャンペーンで、あらゆる人々の出会いを祝福し応援するメッセージを打ち出し、その中でポリアモラスな関係を表現した非一夫一婦的(ノンモノガミスト)のイメージを発表しました。
近年、ユーザーが自分の属性を開示して価値観の合う人を探す傾向が強まっていることを表しています。他にも「ノンバイナリー」「パンセクシュアル」「ベジタリアン」など登録しているなユーザーからの意見を参考にさまざまなバージョンが作られています。
Feeld
ロンドンで作られたFeeldは、パートナーシップや性的指向、性的嗜好に対してオープンマインドなサービスで、プロフィールでポリアモリーな関係を希望することを明記できます。
#open
#openは、ポリアモリー、ENM(Ethical non-monogamy=倫理的に一夫一婦制ではない)、オープン・リレーションシップ、オープン・マリッジの人向けに作られたサービスです。
2021年に#openが、アプリストア「Google Play」から突然アプリ提供を停止される騒動がありました。ポリアモリーな出会いを提供する紹介文を、Googleのガイドラインが「ポルノを含む性的な内容」と判断したことが原因でした。
ポリアモリーに関するサービスは「セックス・ポジティブ」といわれる性に対し肯定的・積極的な表現をすることが多いため、キーワードが検閲に引っかかってしまったことと、非一夫一婦的(ノンモノガミー)価値観に対しての偏見も要因とひとつとして考えられます。
これからの愛のかたち
ウィル・スミスの娘で、現在歌手として活躍するウィロー・スミスは、母ジェイダと祖母エイドリアンの3世代で出演したトーク番組「Red Table Talk」で、ポリアモリーであることをカミングアウトしました。一夫一婦制を絶対とする欧米の結婚の歴史が、女性を抑圧してきたことに疑問を投げかけ、自分に合ったパートナーとの関係性を持つことが重要だと語りました。
日本では「3組に1組が離婚している」という説がありますが、正確な数はわかっていません。でも、ひとりの人と添いとげることが珍しい時代になってきました。ポリアモリーはライフスタイルのひとつで、人生の選択肢のひとつになり得ます。
ポリアモリーのコミュニティでは、カップルでヨガをしたり性のエネルギーを重視するタントラの考えとも共鳴していて、ヨガのワークショップが開催されているそうです。
ポリアモリーな関係性は、快楽主義的なだけではなく複数パートナーと良好な関係を結ぶため自律してこそ成立するため、他者に執着せず複数の人々との調和を重んじる価値観がヨガの価値観と親和性が高いかもしれません。
参考書籍:「ポリアモリー 複数の愛を生きる (平凡社新書) 」深海菊絵
AUTHOR
中間じゅん
イベントプロデュースや映像制作を経て、ITベンチャーに。新規事業のコンセプト策定から担当。テクノロジーとクリエイティブをかけ合わせた多様なプロジェクトの設計に参画。社会課題やジェンダーの執筆活動を行う。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く