男と女、既存の性別の枠組みにとらわれない|流動的なジェンダー「ジェンダーフルイド」とは

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流動なジェンダー「ジェンダーフルイド」について知っていますか?

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男性でも女性でもないノンバイナリー

男性、女性以外の性別を表す「ノンバイナリー」という言葉が聞かれるようになってきました。

「ノンバイナリー」は、男性と女性の性別に縛られない、男性と女性の間、男性と女性以外、2つの性を行き来する、第3の性別など様々な意味が含まれます。ノンバイナリーのアイデンティティは個人的なもので、人によって意味が異なることがあります。

英語圏でプロフィールやメールの署名に「She/Her」「He/Him」「They/Them」というものを書く人が増えています。これは、他人から呼ばれる際の代名詞である「彼女(She/Her)」「彼(He/Him)」を自分自身が呼んで欲しい表現を伝えているものです。

「They/Them」は日本語でいうと「彼ら」に訳されますが、これは主に「ノンバイナリー」の人が使うもので、ジェンダーニュートラルな性自認を持ったり、表現する人が使うものです。プロフィールなどにどう呼ばれたいか書くことで、わざわざカミングアウトすることなく自分自身の在り方を伝えられるメリットがあります。

歌手のサム・スミスがノンバイナリーであることを公言して話題になりましたが、最近では女優で歌手のデミ・ロヴァートもノンバイナリーであることをTwitterでカミングアウトしました。

 

男らしさと女らしさを揺れ動くジェンダー・フルイド

ジェンダー・フルイド」とは、男らしさと女らしさの間で性別が流動的(Fluid)に揺れ動く人のことを表します。男女に縛られない「ノンバイナリー」や「ジェンダー・クィア」のカテゴリに包括される概念です。

「ジェンダー・フルイド」の人々は一定期間に渡って自分の性別のアイデンティティが変動します。例えば、ある時期は自分を男性だと認識し、別の時期には女性として自分を認識したりします。

ジェンダー規範に縛られず、流動的に表現する動きはエンターテインメント業界で活発です。男性がメイクをしたり、着飾る姿は珍しいものではなくなりました。軽やかに男女二元論に縛られないファッションを楽しみ、美容ブランドも立ち上げるハリー・スタイルズは象徴的な例です。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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「性別は2つしかない」という考え方は、窮屈に感じられる時代になりました。2020年代において「女の子の物はピンクで、男の子の物は青」という固定概念は歓迎されない空気になりつつあります。

男らしさと女らしさを行き来する「ジェンダーフルイド」は、人生のどの時点でも発生する可能性があります。ジェンダーはとても個人的なものなので、「ノンバイナリー」の人が流動的なアイデンティティを持っているわけでもなく、「ジェンダーフルイド」の当事者の在り方も人それぞれです。わかりやすく外見が変化する人もいれば、内面の変化が起こる人もいます。

LGBTQコミュニティは虹色のレインボーフラッグが有名ですが、さまざまなジェンダーやアイデンティティを人を表すプライドフラッグがあります。

 

様々なプライドフラッグの中で「ジェンダーフルイド」の旗も存在します。色に込められた意味は、ピンクは女性性、青は男性性、紫は男性性と女性性の両方、黒は性別がないことを、そして白はすべての性別を表しています。

 

自分が何者であるか、自分で定義すること

「ノンバイナリー」や「ジェンダーフルイド」といった概念はジェンダーの境界を再検討することになります。それは、社会で割り当てられたものではなく、自分自身で定義していることが特徴的です。

人生の中で男らしさと女らしさの間を行き来して、好きなように装い、役割に固定されない生き方が可能な時代になったことは、選択肢が増えるだけではなく、トランスジェンダーとノンバイナリーの子どもたちへの抑圧せず尊重することにつながります。アメリカの10代の若者3,168人に行った調査では9.2%が生まれたときに割り当てられた性別と完全に一致しない性自認を持っていると答えています。

時代の変化で現れた新しい概念ですが、決して一過性の流行ではなく、これまで存在していた人たちが「ノンバイナリー」や「ジェンダーフルイド」という言葉ができたことで自分たちが何者かを表明しやすくなったのだと思います。

自分自身を表現するのに、間違った方法、正しい方法はありません。服装、話し方、ライフスタイルなど、どんなふうに自己表現するかは、すべて個人の自由な選択です。

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AUTHOR

中間じゅん

中間じゅん

イベントプロデュースや映像制作を経て、ITベンチャーに。新規事業のコンセプト策定から担当。テクノロジーとクリエイティブをかけ合わせた多様なプロジェクトの設計に参画。社会課題やジェンダーの執筆活動を行う。



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