「月曜瞑想」の提唱者・伊藤東凌さんが考える「今、瞑想が必要な人」とは
安心は周りが与えてくれるものではなく自分の軸で生きること
――価値観が激動したコロナ禍では、言いようのない不安に駆られてしまう人も多く見られます。不安とうまく付き合うために必要な心の在り方も瞑想で作られていくのかなと思いますが、伊藤さんはどうお考えになりますか。
伊藤さん:本当の意味での自立が必要なのかなと思いますね。条件が整えば安心できるはずだという幻想からの脱却。安心というのは、周りが与えてくれるものではなく、自分の軸で生きること。人のせいにしたり、時代のせいにしたりすると、たとえ安心したとしても周りの状況が変わったら、またすぐ不安になってしまう。時代が自分にとってどれだけ不利に働こうと、自分の持っている価値はゆるぎないのだと思えるようになることが大事なのではないでしょうか。
そういうとらえ方を、仏教では「安心」と書いて、「あんじん」というんです。ある意味、他責から自責へということなのですが、自責といっても何でも自分の責任だという意味ではなく、自分が選んだ道を自分で歩いていく。くじ引きが外れても愚痴らず、明るく進めるかどうかという意味ですね。
――これからの社会に、もっとも必要とされる考えとはどういったものでしょうか。
伊藤さん:自分の人生は自分が選んでいるんだ、ということを思い出すことではないでしょうか。生まれてきたことは選べない、という意味では運命、出会い、時代とのマッチという偶然性があります。ですから、人生の中で運命や偶然の要素もありますが、多くの事は自分が選んできていると捉えることから始める。
今日、誰と会って、何を食べて、何時に寝るか。全部、選んできているはずなんです。でも、私はそれしか選択肢がない。選べる方法すらないんだと思うようになってしまう状況は、どんどん不安を引き起こしてしまう。逆に考えると、選ぶチャンス、権利があるとポジティブに理解すると、明日は自分で作っていけるし、少なくても自分の機嫌は自分が作れるはずなんですよね。
寝る前に楽しかったこと、美しかったことを思い返すか、不満を思い返すかは自分の選択。それをしっかり理解していれば、機嫌は自分で作れるし、安心も周りの条件からではなく自分の価値が決めるものだと選ぶことができるはずなんです。
自分の機嫌が変われば能力が変わりますし、周りに集まる人も変わる。それだけで人生が変わります。そういった心を作るトレーニングとして、瞑想を利用してもらいたいなというのが私の考えでもありますね。
お話を伺ったのは…伊藤東凌さん
臨済宗建仁寺派 両足院副住職。 両足院で生まれ育ち、建仁寺境内にある専門道場にて3年間の修業を経て僧侶となる。 瞑想の魅力を世の中に広めるべく、企業でのセミナー実施、禅・瞑想アプリ「InTrip」の開発・制作、海外での瞑想指導などにも力を入れており、米国Facebook本社へ招かれるなど数多くの実績を持つ。著書に『心と頭が軽くなる 週はじめの新習慣 月曜瞑想』(アスコム)がある。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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