真っ赤でジューシーな旬のトマトをシンプルに味わう副菜|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。
みなさん、こんにちは。七十二候では「寒蝉鳴(ひぐらし、なく)」という時期です。みなさんの周りでは、ひぐらしの声が届き始めましたか?日の入りに鳴くことから、日を暮れさせる生きものとして「ひぐらし」という名前がついたのだとか。「カナカナカナ…」と小ぶりの鈴の音のようなきれいな声を聞くと、この暑さの中ではありますがしだいに近づいてくる秋の足音を感じますね。
さて、今日はまだまだ暑い夏を涼しく過ごすためのレシピをひとつシェアしたいと思います。使うのは夏野菜の王様ともいえるようなナス科の野菜(植物学的な分類としては果実ですが)、真っ赤でジューシーなまん丸のトマト。味付けをいっさいしなくてもたっぷり甘みがあり酸味とのバランスも良いためたまらなく美味しいのが、旬のトマトの特徴ですね。
ちょっと面白いことに、ヨーロッパではスペイン人によってトマトが初めて持ち込まれたときから、トマトのことを「愛のリンゴ」と呼んできたのだそう。イギリスでは”Love apple”、フランスでは”pomme d'amour(ポム・ダムール)”というふうに。なんだか甘酸っぱくてむずむずするような明るい呼び方ですね。日本には江戸時代に入ってきたそうで「唐柿(とうし)」「赤茄子(あかなす)」などと呼ばれ親しまれてきました。
そのままガブリ、といっていただくのがこの時期の一番のオススメの食べ方ではありますが、今日はフレッシュトマトそのものの美味しさを充分に味わえる夏らしい副菜メニューをご紹介します。
まず大きめのトマトを輪切り、もしくはくし切りにします。食べやすさで言えばくし切りですが、大輪の花がパアッと開いた瞬間のような華やかな見た目に元気をもらえるので、ざっくりな輪切りも捨てがたいところ。切ったトマトをお皿に並べたら、今度はシンプルなソースを作ります。
用意するのは、さっと火を通してみじん切りにした玉ねぎ。量はお好みでOKですが、たっぷりのソースで味わいたい方は、大玉の玉ねぎを半個まるまる使っても良いでしょう。みじん切りにしたら、硫黄成分のおかげで卵のような風味を感じさせてくれるヒマラヤ黒岩塩、どろっとした濃縮タイプの甘酒、バルサミコ酢(おうちにある米酢でもOK)、レモン汁、白ごまを用意し、お好みの量をたっぷりかけて、よく混ぜ合わせます。お皿に並べたトマトにそろっとお布団をかけてあげる感じで、出来上がったソースを優しく広げてあげれば完成。
とてもビビッドな見た目で、食べる前から夏らしいエネルギッシュさに溢れた一品。ひとくち食べればフレッシュなトマトの果汁がたちまち広がって、発酵した甘酒の味わいも相まってまるで贅沢なデザートを食べているような感覚です。
旬の野菜をいただくということは、季節が育んだ自然の恵みを体に取り込ませてもらうということ。そうやって私たちの体は季節から季節へと見えないバトンを渡していくのです。地球が何でできているかと、私たちが何でできているかは、こう考えると実は同じですね。自然の営みに感謝して、今日もみずみずしい夏野菜を美味しくいただき、命にしていきましょう!
AUTHOR
関根愛
俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。
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