私たち人間は二足歩行で生活をしています。実はこの姿勢、四足歩行に比べて、首や背中、腰にとても負担がかかりやすい姿勢。
上半身を起こしている間は、首から肩の筋肉が姿勢を保つために常に緊張している状態。腹筋などの背骨を支える筋肉がきちんと働いていれば負担は軽減しますが、不良姿勢(巻き肩・猫背姿勢など)が続くと首や背中の筋肉はガチガチになってしまいます。硬くなった筋肉は血管を圧迫するので血行が悪くなります。そうなると疲労物質が溜まり、だるさや重さといった症状を引き起こします。これが肩こりのメカニズムです。
肩こりが慢性化するとだるさや重さは痛みに変わります。日常生活の動作もつらくなり、肩周りを動かさなくなることで余計に血行は悪くなります。
軽減させるために注目したい筋肉は、首の後ろ側の筋肉や、肩から背中にかけて広がる僧帽筋、肩の動きに関係するインナーマッスルなどです。これらの肩こりの症状に関係する筋肉を無理なくストレッチして症状をやわらげていきましょう。
筋肉の硬さから起こる肩こり以外にも原因はいくつかあります。下記に当てはまる場合は、運動以外の解消法も試してみましょう。
・眼精疲労…細かい文字を見続けると目やその周囲の筋肉が緊張し、首や肩の筋肉の緊張にも繋がります。パソコンやスマホを長時間使用する際は、定期的に目を休ませましょう。
・ストレス…気持ちの緊張状態が長期間続くと、自律神経のバランスが崩れます。交感神経を優位に反応させてしまった結果、首・肩周辺の筋肉の血管が収縮して筋肉の血流が悪くなります。休養をとったり、自分に合ったストレス解消法を見つけて実践しましょう。
・血圧に起因するもの…低血圧や高血圧になると肩こりの症状が出やすくなるといわれています。(肩こりだから高血圧、低血圧だというわけではありません)急に肩こりに悩まされるようになったり、運動をしても改善されない場合は、血圧を測定してみてください。
ヨガポーズのひとつ「鷲(わし)のポーズ」の腕の形を応用して、肩こりを撃退しましょう。
① 椅子や床に座り、両腕を前に出して手の平を上に向けます。
② 左腕の上に右腕を置き、両腕が深くからんだ状態でひじを曲げます。
③ 右手を奥・左手を手前に動かし、腕同士を絡ませながら両手の平を合わせます。正面から見たときに両手の親指が顔側に来るようにセットします。(この動作がつらい場合は、③は省いても大丈夫です)
③の体勢から、息を吸いながら背筋を伸ばして、両腕を真上に引き上げます。息を吐きながら背中を丸めて、両腕を体に引き寄せます。この動作を5〜10回繰り返しましょう。
【ポイント】
・背中を丸めた時に肩甲骨が引き離されて背中が伸び、絡めた腕を上下する際に肩のインナーマッスルが刺激されます。
・ストレッチ後はゆっくり腕をほどき、首肩〜背中がじんわりと温まってくる心地よさを感じてください。
【チャレンジと軽減法】
【チャレンジ】
体をかがめた時に余裕がある場合は、腕を少し前に出してみましょう。より背中の伸びが深まります。
【軽減法】
両腕をからませるのが難しい場合は腕の内側を合わせるだけでも大丈夫です。体の状態に合わせて無理のない方法で動きましょう。
ストレッチの詳細は以下動画からも確認できます