梅雨はこんにゃくで上手に「お腹の砂はらい」|せきねめぐみの、肩の力を抜くごはん
SNSで見かける、彩り豊かな食事の写真。見るからに栄養がありそうで、こんな食生活を送ってみたいと思う人は多いでしょう。でも「そんなに頑張れない…」という人も少なくないはずです。時間もない、料理が得意じゃない、不器用なあなたに伝えたい「頑張らないごはん」。意識すべきポイントは、とってもシンプルです。今日からできる「簡単な食養生」、教えてくれるのはマクロビオティックマイスターの関根愛さんです。
皆さん、こんにちは。8日間ほどじめじめした雨が続き晴れ間がなかった東京ですが、久しぶりに太陽が顔をのぞかせましたね。これは嬉しかった。ただでさえウイルスによる見えない檻の中で先が見えにくい暮らしですので、晴れ間がなかった期間はいつも以上に鬱屈としてしまう人も多かったのではないでしょうか。やはり太陽光のエネルギーは偉大です。お布団を干して、野菜も干して、私たち生き物も光を浴びて。力がみなぎる感じがしますね。
5月29日は「こんにゃくの日」
さて「今年は長梅雨になりそうなので災害対策を」とニュースでも言っていますが、食生活も梅雨に備えてしっかりマネージメントしていくことが大切です。梅雨のあいだはどうしても体内に毒素が溜まりがち。そんな体のお掃除をしてくれる食材としておすすめしたいのが「こんにゃく」です。ちょうど5月29日は「こんにゃくの日」なんですね。うまい語呂合わせです。こんにゃくの種芋の植え付けが行われるのも5月なんだそう。
日本のこんにゃくは97%が北関東で作られているのをご存知でしたか。圧倒的生産第一位は群馬、ついで栃木と茨城です。もともとインドシナ半島が原産といわれるこんにゃく芋がいつ日本に伝来してきたかははっきりと分かっていないそうですが、江戸時代には味噌や酢味噌をつけて食べる田楽が、手軽に食べられるスナック菓子として町の人たちに大人気だったのだそうですよ。
ぷるぷるの弾力を持つふしぎなこんにゃくの原材料は、こんにゃく芋。その見た目から英語ではdevil’s tongue(悪魔の舌)なんて呼ばれますね。成分のほとんどが水分ですが、残りは水溶性のグルコマンナン(コンニャクマンナン)という食物繊維です。このグルコマンナンという整腸作用のある食物繊維が、腸に溜まった老廃物を排出します。そのため昔からこんにゃくは別名「お腹の砂はらい」とか「お腹の砂おろし」ともいわれています。「砂」=体内のいらないものをどんどん出してくれるんですね。
それだけでなく消化期間の働きを良くしたり、糖質やコレステロールの吸収を抑える働きもあるので、こんにゃくは生活習慣病の予防にもぴったりです。さらに水溶性なので水を吸収しやすく胃の中で膨張するため、食べすぎずに満腹感が得られるというのも嬉しいところ。
こんにゃくの形は板状のものの他に、玉、糸などバリエーションが豊富。さしみこんにゃくも様々な種類が出ています。色は白と黒だけでなく緑、赤、黄色などもあって鮮やかですので、料理が単調にならずに楽しめます。
こんにゃくの照り焼きは、お米が美味しく食べられる王道の一品。味を染み込ませやすくするため大玉のこんにゃくを手でちぎり、醤油やみりん、甘酒をからめた甘辛ソースで煮詰めていくと満足感のあるおかずになります。またこれから来る暑い時期には、そうめんのように細い糸こんにゃくもありますから、これを使ったさっぱりヘルシーな一品もいいでしょう。冷たすぎるのも体に負担なので、私はよく、出汁で軽く茹でたそうめんこんにゃくに野菜や海藻や豆を入れて温かいこんにゃくサラダを作ります。あおさやクロレラ粉末などが練り込まれた緑(青)のこんにゃくそうめんは、栄養価の良さだけでなく見た目にも涼やかです。
こんにゃくは使い方次第でおかずにもメインにもなる優れた食材ですので、ぜひ上手く「お腹の砂払い」をして梅雨を乗り切っていきましょう。
AUTHOR
関根愛
俳優を始めた十数年前よりアトピーなどさまざまな心身の不調を感じてきたことで、薬に頼るのをやめて自分の体の声を聴きながら養生していくために自然食を始める。「じぶんらしく生きるための食養生」をテーマにInstagramやnote、Youtubeで日々発信をつづける。マクロビオティックマイスター。映画制作者、ライター、翻訳者としても活動。座右の銘は「山動く」。
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