【意外と知らない豆知識】オーガニックコスメでよく聞く「バイオダイナミック農法」って何のこと?
オーガニックコスメの説明で「バイオダイナミック農法」を採用しているという表記を見たことはありませんか? 「なんとなく良さそう」と思ったものの、なんだかよく分からないという方も多いのでは。今回は、この「バイオダイナミック農法」が一体どんな農法なのかをご紹介していきます。
コスメと宇宙は語源が一緒
私たちが毎日のように使うコスメ。その「コスメ」の語源が「宇宙」と一緒だと言われたら、少し驚きませんか?
cosmetics(コスメ)はギリシャ語のkosmetikos(装飾)に由来します。そしてこのkosmetikosはkosmos(秩序)から派生したものと言われており、英語のcosmos(宇宙)の語源でもあります。「乱れた状態を化粧によってもとの秩序に戻す」という意味合いがあるのだそう。
一見遠そうな二つですが、語源以外にも繋がりがありました。それが、オーガニックコスメで聞くことのある「バイオダイナミック農法」です。
バイオダイナミック農法とは?
ドイツの哲学博士であり教育者のルドフル・シュタイナーが提唱した有機農法・自然農法のひとつで、循環型の農業形態をしています。
循環型農業では、農業や畜産といった活動の中で出される廃棄物やゴミを肥料にしており、できあがった生産物が有機であると同時に、その生産のシステム自体が循環し、持続可能な仕組みになっています。ひとつの農業のサイクルが外のものを取り込まずに完結している状態です。
農薬や化学肥料を使わないことは一般的な有機農法・自然農法と同様ですが、他にも興味深い特徴があります。
- 月や天体の動きに基づいた農業暦と呼ばれる特殊なカレンダーを用いて栽培する
- 動物との共生を重視する
- 鉱物や動植物など天然成分から作られた「調合剤」を使用する
バイオダイナミック農法では、種を蒔く日も収穫する日も、天体の動きとの調和に基づいて決まります。面白いですね。また、農地の中で人間は構成要素のひとつに過ぎないという考えのもと、既存の「人間中心主義」である農業と一線を画している点も特徴的です。調合材には牛の糞、水晶、ノコギリソウ、カモミール、イラクサ、樫の木の皮、タンポポ、カノコソウ、スギナ等があり、一般的にイメージする農業で使われる素材とも異なります。
バイオダイナミック農法を採用しているオーガニックコスメブランド
ヴェレダ
2021年に創設100年を迎えたオーガニックコスメのパイオニア的存在。
マルティナ
自然保護区域や修道院で作られる、「自らの力で再生する」ためのこだわり原料が人気。
Dr.ハウシュカ
バイオダイナミック農法に加え、独自のリズム製法で手をかけて製造。
ジュリーク
オーガニック認証自社農園で化粧品の原料となる植物を栽培している数少ないブランド。
アルジタル
海泥(グリーンクレイ)とバイオダイナミック農法で作られたハーブで「まるごと自然」が楽しめる。
「誰から」「何を」買うか、選択基準が重要な時代に
SDGsの流れから、ここ数年、有機農法は注目をされています。しかし、社会の目のためではなく長きに渡って貫いてきたブランドの哲学を知ることは消費を超えた学びにつながります。使うものがその人を表す今の時代に、「何を選ぶか」「誰から買うか」はより重要になってくるでしょう。
バイオダイナミック農法に関しては、「科学的に証明されない」という論があります。一方で、長きに渡ってバイオダイナミック農法を採用し、多くの支持を得ているブランドも多くあるのも事実です。「正しい」かどうかは、その人の置かれた立場や環境によって変わりますし、何が優れているかというのはいつだって相対的なもの(完璧なものなどない)。しかし、まずは知らないことには「選ぶ」も「選ばない」もできません。
今回はひとつの例としてバイオダイナミック農法についてご紹介しましたが、自分にとって何が大事かを知るために、口コミだけでなく、様々なブランドの哲学や活動、こだわりを調べてみると気づきがあるかもしれません。
AUTHOR
Akane
「ゆるいオーガニック」を提案するライフスタイルブランド「HEY!LUCY」の裏方。IT企業の会社員から一冊の本を読んでオーガニックに興味を持ち、ブランドを立ち上げることに。フリーランスエンジニアとして独立し、ブランド運営とのパラレルワークを開始。本とパンと睡眠が好きな、少々面倒くさがりの30代。 Instagram: @atou.organic / ブランド https://www.heylucy.life/
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