柔軟性よりもポーズの完成度よりも。ヨガする上で大切なこととは
「体が硬いからヨガはちょっと…」と敬遠する人も多い。柔軟性はヨガをするうえで重要なことなのだろうか? ここで改めてヨガの目的から「体が硬いとはどういうことか」まで、日本を代表するヨガ指導者、綿本先生に聞いてみた。
体が硬いってどういうこと?
体が硬いというのは、主に関節周辺の筋肉が硬いということ。この筋肉が硬い原因にはいくつかあり、意外と無意識の心の緊張が体の緊張をつくり出していることが多い。緊張が続いた後に、気づけば肩に力が入っていたというように、実は脳の興奮が原因であることが多く、ヨガで快適な状態をつくることですぐに解消したりする。また、体が緊張した状態が慢性化すると、筋肉の繊維そのものが萎縮したり、筋肉を包む筋膜という膜が癒着したりしてしまう。こういった場合には、少しずつストレッチをするなどして、ゆっくりと時間をかけてほぐしていくことが大切。急激にほぐそうとすると、筋肉を傷めて逆に体を硬くする場合があるので気をつけよう。
体が硬くて得することもある
ヨガのポーズにとって大切なのは、柔軟性ではなく「安定」と「快適」。こういった意味で、体が硬いということは、無理さえしなければそれだけ体の安定感を築きやすく、また、お酒の弱い人が少しのお酒でいい気分になれるように、少しの負荷で心地よさを味わえるので、効率がよいといえる。
ヨガの目的とは
ヨガのポーズは、柔軟体操、身体強化、健康法、美容法などさまざまな捉えられ方をする。インドではこれらポーズのことをアーサナといい、瞑想を行う姿勢という意味を持つ。瞑想というのは、心がベストな状態になっていること。集中していて、余計な波音が立っておらず、落ち着いていて平安な状態。アーサナ本来の目的は、体を使ってこういった精神状態をつくり出すことだ。
一番大切なことは「安定」と「快適」
心をベストな状態に保つために、すべてのアーサナに共通の最重要ポイントがある。それは、一つひとつのアーサナを「安定」させること、そして「快適」に保つこと。これは、心を瞑想状態へと導く手段だが、アーサナを練習する上では、この2点を目標にすると、結果として体が楽になったり、柔らかくなったりして、ポーズの完成度が高まる。
安定させるために
例えば目を閉じて片脚立ちになると、体が不安定になって余計な力がいっぱい入り、とても快適な状態はつくれない。ポーズ中に息が止まってしまったり、首や肩の力が抜けないときは、姿勢に安定感がない場合が多い。例えば大揺れする電車の中でポーズをとっていると想像し、それでも揺るがないように特に骨盤まわりをどっしりと構えることが「安定」の秘訣。
快適を保つために
快適ではない状況で、気分のいい状態を保つことは難しい。また、ついつい身構えてしまい、体に余分な力が入って柔軟性も高まらないことが多い。この「快適」を保つために大切なのは、首や肩の力を抜いて、呼吸をゆったりと保つこと。だから、ヨガの先生は、常に呼吸をあれこれと誘導する場合が多い。
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