仕事、恋愛、子育て…人生の困難を乗り越えるメソッド「RAIN」とは

 仕事、恋愛、子育て…人生の困難を乗り越えるプロセス「RAIN」とは
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STEP3:Investigate…思いやりの心をもって探求しよう

最初の2つのステップだけで心が安らぎ、再び内面の静けさとつながることができる場合もあるが、認識し、受け入れようとするだけでは十分ではないこともある。
たとえば、離婚協議の真っ最中だったり、仕事を失いそうだったり、命を脅かすような病気と闘っているようなときには、すぐに激しい感情に飲み込まれてしまうだろう。そのような感情は、元夫となる人から電話がかかってきたり、銀行から明細書が送られてきたり、朝痛みで目が覚めたりするときなどに、何度も繰り返し生まれてきてしまうため、それに対する反応も凝り固まってしまう。このような場合は、この3つ目のステップで、自分の心の中で起こっていることへさらにしっかりと意識を向けていくことが必要になるだろう。
「探求」とは、自分が自然に興味を引かれるもの、つまり、真実を知りたいという願望を呼び起こし、そのときの経験への注意力を高めるという意味だ。ひと呼吸おいて、「自分の中では何が起きているのだろうか?」とただ問いかけることは、認識を授けてはくれるが、そこに探求する心をもたらすことで、問いかけがもっと積極的で焦点の定まったものになる。
まず、「一番気にかけなくてはいけないものは何?」「それは体の中でどんな風に感じられる?」「この気持ちは私に何を求めているの?」と自分自身に問いかけてみよう。むなしさや心もとなさといった気持ちに触れたときには、そこに隠されている、自分は価値のない存在だという思いや、羞恥心に気づくこともあるだろう。このような思いや感情を意識的に見つめない限り、自分の体験はそのような感情にコントロールされ、自分自身を不完全で限定された存在としてとらえ続けてしまう。
探求を癒しと自由をもたらすものにするためには、親しみを持って自分の体験に意識を向ける必要がある。たとえどのような感情が現れようと、穏やかな気持ちで迎え入れなくてはいけないのだ。私が「思いやりの心を持って探求しよう」というフレーズを使う理由はここにある。
たとえば、子どもが学校でいじめられたと泣きながら帰ってきたときのことを想像してみよう。子どもが学校でどのような目に遭って、どんな気持ちでいるのかを知るためには、思いやりと包容力のある、穏やかな態度で子どもに注意を払い、接することが大切だ。このような性質の思いやりを自分の内側に対しても持つようにすると、探求することが可能になり、最終的には癒しがもたらされるのだ。

STEP4:Non identification…思い込みに振り回されず、偽りの何かと自己を同一視しない

これまでの3つのステップで導かれた、自分の内側に起こっていることに対する、明確な意識と思いやりのある態度は、この最後のステップへと通じている。
このステップでは、自己を何かと同一視することから解放し、私が「自然な気づき」と呼んでいる状態を目指していく。
「同一視しない」とは、「自分は何者か」について考えるとき、思い込みや、自分のなかでつくり上げたストーリーによって定義しない、ということだ。自分をそのような小さな自己と同一視しなくなると、開かれた心と愛を持って、直感的に理解し、生きることができるようになる。
この、RAINの最後のステップで行うべきことは何もない。なぜなら、自然な気づきはひとりでに実現するからだ。その中で、ただ安らぎを感じよう。
 

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Text by TARA BRACH
Translated by Yuko Altwasser
yoga Journal日本版Vol.35掲載