子宮頸部異形成って?子宮頸がんとの違いは?気づくサインは|医師が解説


子宮頸部異形成の原因、検査方法やがんとの違いについて、医師が解説します。
子宮頸部異形成とは?
子宮頸部異形成は、子宮頸がんの前段階と認識されています。
近年では、子宮頸部異形成は、20~30歳代の若年の女性に急速に増加しているといわれています。
子宮頸部異形成は、病変の程度によって、軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成・上皮内がん(CIN3)の3種類があります。
子宮頸部異形成を発症する主要な原因は、ヒトパピローマウイルス(以下、略称HPV)による感染であると認知されています。
HPVには、100種類以上の種類があり、特に子宮頸部異形成を発生させやすい高リスク型のHPVに感染することで、正常な細胞が変化して、子宮頸部異形成を引き起こします。
HPVの代表的な感染経路は性交渉であり、高リスク型のHPVに感染し、自然治癒せずに感染が持続した場合、あるいは再感染を繰り返した場合などにおいては、子宮頸部異形成から子宮がんへと進行してしまうリスクがあります。
子宮頸部異形成に気づくサインは?
子宮頸部異形成は、有意な自覚症状がないことが多いとされているため、ほとんどの方が子宮頸がん検診で発見されるといわれています。
がん検診では、問診、視診、内診のほかに、細胞診が行われます。
細胞診は子宮頸部をブラシでこすって採取した細胞を顕微鏡で観察し、異常な細胞がないか確認する検査方法であり、子宮頸がん検診で実施される検査のひとつです。
また、細胞診で異常が見つかった場合には、コルポスコピーという拡大鏡を使用して、子宮頸部を観察します。

さらに、コルポスコピーで子宮頸部を観察する際に、採取した組織を顕微鏡で精密に検査するのが組織診であり、組織診は細胞診よりも子宮頸部異形成の診断率が高いと認識されています。
また、実際に子宮頸部に「高リスク型HPV」が存在しているかどうかを調べる検査方法も存在し、細胞診よりも早い段階で前がん病変を発見できると期待されています。
一般的に、自治体や市町村で実施している子宮頸がん検診は、20歳以上の方を対象としていて、問診、視診、細胞診、内診などを含めて、2年に1回の頻度で受けることができます。
2023年の時点において、20〜69歳の子宮頸がん検診受診率は40%程度と低く、他の年齢層から比べて、特に20〜25歳の若年者における受診率は15%前後とかなり低値です。
子宮頸部異形成は、顕著な自覚症状がほとんどなく、病変が進行していく疾患ですので、定期的に検査を受けることが病変部を早期に発見できるきっかけになります。
子宮頸部異形成とがんとの違いは?
子宮頸部異形成は、主に軽度異形成(CIN1)、中等度異形成(CIN2)、高度異形成(CIN3)に分類されていて、軽度異形成、中等度異形成ではほとんどが自然治癒をします。
ところが、高度異形成の場合と長期にわたって慢性的に感染が持続している中等度異形成は、子宮頸がんに移行する可能性が高いと危険視されています。
これらの場合でも、子宮頸部異形成から子宮頸がんへ移行するスピードは決して速くはなく、数年から10年程度の期間をかけて移行するといわれていますので、心配であれば、積極的に子宮頸がん検診を受けましょう。
まとめ
子宮頸部異形成とは子宮頸がんの前段階であり、子宮頸がんになる可能性のある病変ではありますが、それ自体ががんというわけではありません。
子宮頚部異形成が子宮頸がんに移行するまで、数年以上のある程度長い期間があるといわれていますので、病変部を早期発見することで早い段階で治療を実施することができます。
子宮頸がんの前段階である子宮頸部異形成は、子宮頸がん検診で早期発見することができる病気ですので、嫌がらずに定期的に検診を受けるようにしましょう。
心配であれば、産婦人科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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