かぶは「調理の工夫」でもっと甘くなる?美味しさ&栄養を逃さない調理の仕方を管理栄養士が解説


かぶは生のままでも食べられますが、加熱することでより甘味が増します。また、調理法を工夫すれば甘味をグッと高めることができ、生で食べるよりも美味しく味わえるでしょう。今回は、かぶの甘味について解説します。かぶをより美味しく食べたい方はぜひ参考にしてください。
カブは蒸すと甘みが増す

かぶの調理にはさまざまな方法がありますが、茹でる・蒸す・電子レンジで加熱のなかで1番甘味が増して満足感が高く得られるのは「蒸す」調理法といわれています。かぶを加熱した際の糖量を多い順で並べると、電子レンジで調理・蒸し器で調理・生の状態・茹で調理となります。また、加熱後のかぶを加圧した際に出る糖量は、電子レンジや蒸し調理で高い数値が確認されているのがポイントです。糖量の結果から考えると、電子レンジで調理した方がよいのではと感じますが、かぶを食べたときの満足度はかぶの糖量だけでなく、口に入れ圧力を加えた際に感じるジューシーさも関与するとされています。電子レンジ調理では、かぶの水分は蒸発するため、蒸し調理に比べてジューシーさが減少します。ほかの調理に比べて蒸し調理のかぶは内部に保たれる糖度が高く軟らかさも合わさるため、甘く美味しいといった総合評価の高さにつながると考えられるでしょう。
調理法による甘味の違いはなぜ起きる?
茹でる調理法ではかぶの水分は保持されますが、かぶに含まれる糖量の減少が起こります。対して蒸し調理では加熱によって組織が軟らかくなりますが、糖の溶出は見られません。蒸し調理ではかぶ内部の糖が保持されるため、噛んだ際に甘味を強く感じられるでしょう。ちなみに電子レンジ調理のかぶが甘く感じられるのは、かぶの水分が蒸発して、糖濃度が上昇することが関与すると考えらえてます。
かぶは蒸すことで水溶性ビタミンの損失を防げる

蒸し調理は、ほかの調理法に比べて水溶性ビタミンの損失が少ないのが特徴です。ビタミンCなどの水溶性ビタミンは水に溶け出る性質を持っています。そのため、かぶを茹でると、かぶの水溶性ビタミンは減少します。対して、蒸し調理は野菜を水に浸さずに熱を加えることができるため、栄養の損失を防ぐことができます。ちなみに、かぶ100gに含まれる水溶性ビタミンは、以下のとおりです。
- ビタミンB1 0.03mg
- ビタミンB2 0.03mg
- ビタミンB6 0.07mg
- ナイアシン 0.6mg
- パントテン酸 0.23mg
- 葉酸 49µg
- ビタミンC 18mg
なお、電子レンジで加熱する方法でも水溶性ビタミンの損失を少なくすることができます。
蒸し調理でかぶの甘味を引き出そう

かぶは蒸すことで糖度と水分を保つことができるため、ほかの調理法に比べて甘さやジューシーさを感じられます。さらに、蒸し調理はビタミンCなどの水溶性ビタミンの損失も防ぐことができ、効率的に栄養を摂取できるのもメリットといえるでしょう。かぶの甘味を引き出して美味しく食べたい方は、ぜひ蒸し調理を活用してみてください!
【参考文献】
山本真子 井奥加奈 岸田恵津 蒸し調理におけるカブの甘味と嗜好特性
山本真子 岸田恵津 井奥加奈 野菜の蒸し調理における嗜好特性-カブとキャベツの甘味について-
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 野菜類/かぶ/根/皮なし/生 - 01.一般成分表-無機質-ビタミン類
ライター/菅理栄養士 山田佳奈子
約8年間保育園で献立作成や給食づくり、栄養相談に携わる。出産を機に「食に興味をもつ子を育てる」ことをより意識し、さらに食育活動に力を入れる。アトピーや運動誘発性小麦アレルギーの発症、2年間のイギリス生活などでからだと食の関わりに関心をもつ。現在は、子育てをしながら執筆活動をメインに食と健康に関する情報を発信している。
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