サバは完全栄養食?管理栄養士が教える、美味しく栄養を効率的に摂れるサバ缶の食べ方
「サバ缶は体にいいの?」「サバ缶にはどんな栄養素が入っているの?」と気になる方も多いでしょう。本記事では、サバ缶の栄養効果とサバ缶の美味しい食べ方を、管理栄養士が解説します。
サバ缶の栄養効果6選
サバ缶は生鯖より、栄養が豊富に含まれています。サバ缶は骨までやわらかく調理されているので、骨を食べられ、カルシウムを多く摂取することが可能です。
サバ缶の栄養には、以下の5つの栄養効果があります。
●認知機能維持に期待できる「DHA」
●血栓予防に期待できる「EPA」
●筋肉を作るもとになる「たんぱく質」
●貧血予防に期待できる「鉄」
●骨粗鬆症予防になる「カルシウム」
●カルシウムの吸収を促進させる「ビタミンD」
それぞれ詳しく解説します。
認知機能維持に期待できる「DHA」
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、不飽和脂肪酸の一つであり、魚油に含まれるn-3系の脂肪酸です。脳神経や視神経に作用し、記憶力維持や認知機能維持に期待できます。また、中性脂肪やLDLコレステロールを減らし、動脈硬化を防ぐ働きがあります。
血栓予防に期待できる「EPA」
EPA(エイコサペンタエン酸)も、不飽和脂肪酸の一つであり、魚油に含まれるn-3系の脂肪酸です。DHAが脳神経や視神経に作用するのに対し、EPAは主に血栓予防や高血圧予防などの心臓疾患系の予防に効果が期待できます。HDL-コレステロールを増やし、LDL-コレステロールや中性脂肪を減らし、動脈硬化の予防に働きます。
体を作る材料になる「たんぱく質」
たんぱく質は人が生きていく上で必ず必要な三大栄養素の一つです。主に筋肉や髪の毛、皮膚などの体の材料となる栄養素です。特に、鯖の水煮缶(約200g/缶)に含まれるたんぱく質は、約42gと、1日に必要なたんぱく質摂取量の1/3〜1/2ほど含まれています。
貧血予防に期待できる「鉄」
鉄は赤血球を作るために欠かせないと同時に貧血予防に期待できる栄養素です。不足すると、鉄欠乏性貧血を引き起こしたり、筋力低下や疲労につながったりすることもあります。鯖は他の魚と比較すると、鉄が豊富に含まれています。
鉄は体内に吸収されにくい栄養素なので、ビタミンCと一緒に摂取することで、鉄を効率的に吸収することが可能です。
骨粗鬆症予防になる「カルシウム」
骨粗鬆症を予防するには、カルシウムの摂取が重要です。カルシウムが不足すると、骨折や骨粗鬆症のリスクが高くなります。特に高齢になると骨粗鬆症が原因で骨折し、寝たきりになる可能性が高くなります。
生サバの骨は食べずに捨ててしまいますが、サバ缶の骨はやわらかく調理されているので、骨丸ごと食べることが可能です。生サバのカルシウムよりも、サバ缶のカルシウムの方がしっかり摂取できます。
カルシウムの吸収を促進させる「ビタミンD」
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける栄養素です。ビタミンDは日光浴によって体内で合成できます。しかし紫外線対策を行うことが多くなったため、日光を避けてしまい、ビタミンDは不足しやすい栄養素です。
ビタミンDは、生サバよりサバ缶の方に多く含まれ、効率的に吸収できます。生サバを食べるときに、骨や内臓を捨ててしまいますが、サバ缶は骨や内臓を丸ごと食べられるため、ビタミンDを多く摂取できます。
サバ缶の栄養を効率的に摂取できる美味しい食べ方
サバ缶の栄養をさらに効率的に摂取するために食べ方に工夫すると、美味しく食べることが可能です。栄養を効率的に摂取できる美味しい食べ方は、以下のとおりです。
●開けたらすぐに食べる
●缶の汁まで食べる
●緑黄色野菜や海藻類と組み合わせて食べる
それぞれ詳しく解説します。
開けたらすぐに食べる
サバ缶を開封したら、すぐに食べましょう。DHAやEPAは、時間が経つと酸化する栄養素です。新鮮なうちに食べることで栄養素を効率的に吸収させ、美味しく食べることが可能です。
缶の汁まで食べる
サバ缶の栄養素は缶の汁にもたっぷり溶け込んでいます。調理の際は煮汁は捨てずに使うことがポイントです。
緑黄色野菜や海藻類と組み合わせて食べる
サバ缶は、ビタミンCや食物繊維がほとんど含まれていません。ビタミンCや食物繊維が多く含まれる、ブロッコリーやほうれん草、海藻類、きのこ類と調理することで、ビタミンCや食物繊維も一緒に摂取できます。
まとめ
サバ缶は、認知機能を維持したり動脈硬化を予防したりするDHA・EPAや、骨粗鬆症を予防するカルシウム・ビタミンDなどが多く含まれる、完全栄養食だと言えます。ただしサバ缶は塩分も多く含まれていますので、毎日摂取するよりは2〜3日に1回ペースで1缶食べるのがいいでしょう。サバ缶を取り入れた食生活で、健康的な毎日を送ってくださいね。
参考文献
AUTHOR
たかぎみなこ
食事栄養分野を中心に記事執筆を行うフリーランスライター。前職は介護施設の管理栄養士として勤務。高齢者の食事栄養管理を行い、最期まで食の楽しみを提案する。管理栄養士の知識と経験を活かし、活動している。
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