サバ缶VSイワシ缶、栄養価が高いのはどっち?管理栄養士が回答
健康志向が高まる中、手軽に栄養補給できる缶詰は、料理初心者から熟練者まで幅広い世代に人気です。この記事では、メインから副菜までさまざまな料理に利用しやすいうえ、栄養価の高さが魅力の「サバ缶」と「イワシ缶」の栄養価を比較していきます。 2つの食材に含まれる栄養素や健康効果について解説しますので、栄養バランスのよい食事に役立ててください。
サバ缶とイワシ缶の栄養価の比較
サバ缶とイワシ缶は、どちらも健康に欠かせない栄養素を豊富に含む食材です。ここでは、特に注目すべき栄養素の含有量を比較していきます。
たんぱく質
たんぱく質は炭水化物、脂質とともにエネルギー源となるほか、筋肉の材料となる栄養素です。筋肉以外にもホルモンや酵素、抗体など生理活性物質の構成成分となっています。
100gあたりのサバ缶とイワシ缶のたんぱく質含有量に大きな違いはありません。どちらも良質なたんぱく質を含んでいます。
●サバ缶(水煮):20.9g
●イワシ缶(水煮):20.7g
ビタミンD
骨の健康維持にはカルシウムが必要であることはよく知られていますが、骨の健康維持のためにはカルシウムの吸収を高めるビタミンDの摂取も重要です。
どちらもビタミンDが豊富であるといえますが、含有量はサバ缶のほうが多くなっています。100gあたりでの比較では、イワシ缶の約2倍のビタミンDが含まれています。
●サバ缶(水煮):11.0μg
●イワシ缶(水煮):6.0μg
カルシウム
人の体内に最も多く含まれるミネラルがカルシウムです。カルシウムは、骨や歯の健康維持に欠かせません。
100gあたりの含有量の比較は、イワシ缶のほうがやや多くなっています。
●サバ缶(水煮):260mg
●イワシ缶(水煮):320mg
鉄
身体中に酸素を運搬する赤血球中のヘモグロビンの生成に欠かせないミネラルが鉄です。鉄不足は、鉄欠乏性貧血の原因となります。
100gあたりの鉄の含有量は、サバ缶よりもイワシ缶のほうが多くなっています。
●サバ缶(水煮):1.6mg
●イワシ缶(水煮):2.6mg
DHA・EPA
「体によい脂質」として知られているのが、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(イコサペンタエン酸)です。n-3系の不飽和脂肪酸であるDHAとEPAは、サバ缶とイワシ缶どちらにも豊富に含まれていますが、100gあたりで比較するとEPAはイワシ缶、DHAはサバ缶に軍配が上がります。
【EPA含有量】
●サバ缶(水煮):930mg
●イワシ缶(水煮):1200mg
【DHA含有量】
●サバ缶(水煮):1300mg
●イワシ缶(水煮):1200mg
サバ缶・イワシ缶の摂取で期待できる健康効果
サバ缶とイワシ缶は含まれる栄養素の含有量に多少の差はあれど、どちらも栄養豊富な食材であることに変わりはありません。
ビタミンDやカルシウム、鉄、DHA、EPAといった成分を含むサバ缶やイワシ缶を摂取することで、生活習慣病および貧血や骨粗しょう症の予防、認知機能改善など、さまざまな効果が期待できます。
これらの効果を得るためには、どちらもバランスよく活用することを意識するとよいでしょう。
まとめ
サバ缶とイワシ缶はどちらも優れた栄養価の食材です。含有する栄養成分のバランスや量に多少の差はありますが、優劣はつけられません。好みや料理によって使い分けるとよいでしょう。どちらもバランスよく摂取することで、より効果的に健康に役立てられる可能性が高まります。
【参考文献】
AUTHOR
鈴木亜子
管理栄養士/ライター。大学卒業後、主に医療機関に勤務。チーム医療の一端を担い、生活習慣病などさまざまな疾患の栄養管理に取り組む。得意分野は糖尿病で、療養指導や透析予防、重症化予防などを担当した経験も。現在は豊富な栄養相談経験を活かし、ウェルネス関連の記事執筆および監修に携わる。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く