あなたの眠りは大丈夫?睡眠をしっかりとるコツと快眠をサポートする医薬品&サプリは|薬剤師が解説

 あなたの眠りは大丈夫?睡眠をしっかりとるコツと快眠をサポートする医薬品&サプリは|薬剤師が解説
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残暑が続くこの季節。暑さで寝苦しかったり、夜間冷房の使いすぎで体調を崩したりと、睡眠不足や睡眠に関するトラブルに悩まされる人は多いはず。睡眠中は、体や脳を休ませるだけでなく、健康を維持するさまざまなホルモンが分泌される大切な時間。睡眠のメカニズムを知り、自分に適した睡眠のとり方を見つけることは健康を維持するために欠かせません。この記事では、睡眠をしっかりとるコツや快眠をサポートする医薬品・サプリメントなどを紹介します。

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睡眠中は体と脳のメンテナンスタイム

睡眠の最大の目的は、体と脳に休息を与えてメンテナンスをすること。睡眠中に脳の疲れをとったり、前の日の記憶を整理して定着させたり、内臓や筋肉の調子を整えたりしています。そのメンテナンスをスムーズに行うために、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2種類の睡眠をひと晩のうちに繰り返しています。

レム睡眠では、眠っている間にも脳は記憶の整理や定着などの活動をしています。夢を見るのはこの時です。筋肉は緩んでいるので、夢の内容通りに体が動くことはありません。一方、ノンレム睡眠では、脳や神経は休んでいる状態です。睡眠の前半では、深いノンレム睡眠が多く、後半になると浅い眠りが増えてきます。ノンレム睡眠とレム睡眠の1セットはだいたい90分~120分です。

なお、必要な睡眠時間は個人差がありますが、多くの人で7~7.5時間は必要とされ、6時間未満の睡眠が続くと、正しい判断を瞬時に行う力が最大限に発揮できず、日中の仕事などでミスが増える傾向にあります。睡眠は、量も質も削らないことで生活の質も向上します。

よい睡眠はホルモン分泌を良好に保つ

睡眠中には、さまざまなホルモンが生みだされています。成長期の子供の筋肉や骨をつくり、大人の疲労回復、肌の健康にも重要な役割を担う「成長ホルモン」や、ストレスに負けない状態をつくる「コルチゾール」、体内時計を正常に保つ作用がある「メラトニン」など多くのホルモンが睡眠中に分泌されています。

傷ついた細胞を修復して新しい細胞をつくる成長ホルモンは、疲労回復と若さの維持に関わるホルモンとして知られていますが、その分泌量は年々減っていきます。睡眠不足だと肌が荒れるのは、成長ホルモンが分泌されず、肌の新陳代謝がスムーズに行われないためです。

また、コルチゾールの分泌が低下すればストレスを感じやすくなります。ほかにも新陳代謝や免疫に関わる重要なホルモンが睡眠中に分泌されていて、1つとして欠かすことができません。

ちなみに睡眠不足だと食欲が増して太りやすくなるのは、食欲抑制ホルモン「レプチン」の分泌が低下するため、過食傾向になるのです。「寝ないと太る」というのはこうした理由があるからです。

よい睡眠をとるためのコツとは?

よい睡眠をとるためには、適度な運動や規則正しい食生活を心がけ、眠りと目覚めのメリハリをつけることが大切です。よい眠りを得るために、次のようなライフスタイルを心がけましょう。

適度な運動習慣

適度な運動で体をほどよく疲労させておくと、眠りにつきやすくなり熟睡感も高まります。おすすめは夕方の30分程度のウォーキングやストレッチ。運動時との体温の落差で、スムーズに深い睡眠に入れます。

規則正しい食生活

朝食の摂取量が少なく、昼食や夕食の摂取量が多いと睡眠のリズムが不規則になる傾向があります。朝食をしっかり摂ることで体も心も目覚め、元気に一日を過ごすことができ、睡眠の質も高まります。

就寝前に湯船に浸かる

就寝の1~2時間前に、40度程度のぬるめのお湯に浸かり体を温めましょう。入浴後、放熱が活発になって体の深部体温が下がり、スムーズな入眠につながります。

睡眠に適した環境づくりを意識する

睡眠は、さまざまな外的要因の影響を受けるため、寝室の環境も大事です。静かで暗く、快適な室温・湿度を保ちましょう。もちろん、ベッドや寝具、枕は自分に合うものを。寝室にパソコンやスマホなどを持ち込むと眠りに集中できない要因になるため、なるべく避けましょう。

眠くなってから寝床に入る

「眠らなきゃ」と焦るほど眠れなくなるもの。誰にでも眠れない夜もあります。眠れないときは、無理に眠ろうと布団でがんばらずに、眠気が起こってから寝床に入る習慣をつけるとよいでしょう。

起きる時間を一定にする

もともと25時間周期で刻まれている体内時計をリセットするのが朝の光。毎朝、同じ時間に光を浴びることで睡眠のリズムが整います。朝は、窓辺でなるべく光を浴びましょう。

快眠をサポートする医薬品・サプリメントの利用も

最近では、睡眠の質を高め、快眠をサポートする医薬品やサプリメントが市販されています。次のような成分が配合されているので、利用するのもよいでしょう。

●グリシン …… グリシンはタンパク質を構成するアミノ酸の一種で、入眠する際に身体の深部温度を下げ、心地よい眠りに導く働きがあります。

トリプトファン …… 肉や魚などに多く含まれ、眠りを誘うホルモンであるメラトニンの生成に欠かせない成分です。精神を安定させる効果もあります。トリプトファンは乳製品や大豆製品、ナッツ、カツオ、バナナなどにも含まれています。

GABA(ギャバ)…… GABAはアミノ酸の一種で、ストレスを軽減させる効果があり、神経の興奮状態を抑え、心身をリラックスさせるため、不眠の改善に効果が高いといわれています。

テアニン …… テアニンとはお茶のうま味・甘味に関与する成分で、玉露や抹茶等に多く含まれています。興奮を鎮めて緊張を和らげる働きや心身をリラックスさせる効果があります。リラックス作用を増強し、睡眠の質を改善。起床時の疲労感を軽減する働きもあります。

まとめ

「人生の3分の1は睡眠」という通り、私たちの活動を支えているのが睡眠です。近年では、一時的な睡眠障害だけでなく、ライフスタイルの変化などで生活スケジュールの昼夜逆転や睡眠時間の短縮などにより、満足な睡眠を得られていない人が増えています。

眠りは脳や体に休息を与えるだけでなく、体を健康に保つホルモンの分泌にも関わっています。質の高い睡眠を得るライフスタイルを心がけたり、快眠をサポートする医薬品・サプリメントを利用したりすることは、心身共に快適で幸せな人生を送ることにつながるはずです。

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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