GABAの摂取で睡眠の質がUPするって本当?管理栄養士が解説

 GABAの摂取で睡眠の質がUPするって本当?管理栄養士が解説
Adobe Stock

睡眠の質を高めたいと思っている方も多いのではないでしょうか。この記事では、巷で話題のGABAについて、また良質な睡眠をとるための食事法について解説します。

広告

そもそもGABAってなに?

GABAは、お茶やトマト、大豆、発芽米、一部の発酵食品など、さまざまな食品に含まれているアミノ酸の一種です[1]。睡眠の質UPやストレス低減、血圧低下などさまざまな機能が報告されていることから、機能性表示食品への応用が広がっています[2]。果たして実際のところ、GABAの摂取で睡眠の質は高まるのでしょうか。

GABAの摂取で睡眠の質がUPするって本当?

GABAの摂取と睡眠の質の関係を調べた研究は、世界に数件しかありません。GABAの摂取といっても、摂取方法はさまざまです。これまでの研究では、食品に自然に含まれるGABAを摂取した方法、GABAを添加した食品やサプリメントなどを摂取した方法があります。また、睡眠の質とひとことでいっても、どのように評価するとよいのでしょうか。これまでの研究では、主観的指標と客観的指標(※)で評価しています。

※主観的指標と客観的指標とは?

主観的指標とは、睡眠の満足感など対象者自身で評価する指標のこと。客観的指標とは、ノンレム睡眠時間や覚醒頻度など客観的に評価される指標のこと。

実は、客観的指標の評価によると、GABAを添加した食品やサプリメントなどの摂取には、寝つきのよさを高める効果があることが示唆されましたが、睡眠全体の質を高める効果があるとはいいきれないという結果でした。また、研究参加者数が少ないことや、そもそもGABAの摂取と睡眠の質の関係を調べたエビデンスレベルの高い研究が少ないことなどから、はっきりとしたことは分かっていません[1]。つまり、GABAを添加した食品やサプリメントなどを摂取することで、睡眠の質が総じて高まるとはいいきれないようです。睡眠の質を総じて高めるためには、GABAの機能性表示食品ばかりに頼らず、生活習慣を見直すことが大切になります。

良質な睡眠をとるための食事法とは

良質な睡眠をとるためには、適度な運動や規則正しい生活、ストレスケアなどが大切ですが、今回は食事法について解説します[3]。

朝食をとる

朝食をとることは、体内時計の調整に役立ちます。朝食を欠食すると、体内時計が後退して、寝つきの悪化を招き、睡眠不足を引き起こすといわれているのです。良質な睡眠のために、朝食をとって体内時計を整えましょう。

夜食や間食を控える

就寝前の夜食や間食は、朝食の欠食と同様に体内時計を後退させ、睡眠の質を低下させることが報告されています。そのため、夜食や間食はできるかぎり控えましょう。

食塩の摂取を控える

過剰に食塩を摂取することで、夜間の排尿回数が増えることがあります。日ごろから減塩を心がけることで、夜間頻尿が軽減し、夜中に目覚める頻度が減少することが期待できるのです。

カフェインを含む食品を控える

カフェインは覚醒作用を有するため、寝つきの悪化や中途覚醒の増加、眠りの質を低下させる可能性があります。そのため、カフェインの摂取総量を減らすとともに、夕方以降はカフェインを含む食品・飲料の摂取は控えるとよいでしょう。

食生活をはじめとした生活リズムを整えよう

睡眠の質を改善するためには、GABAのサプリメントなどに頼りすぎず、日ごろの生活リズムを整えることが大切です。食生活をはじめとした生活リズムを整えて、睡眠全体の質を高めましょう。

【参考文献】(すべて2024年7月16日閲覧)

[1] Hepsomali P, Groeger JA, Nishihira J, Scholey A. Effects of Oral Gamma-Aminobutyric Acid (GABA) Administration on Stress and Sleep in Humans: A Systematic Review. Front Neurosci. 2020 Sep 17;14:923

[2] 消費者庁, 機能性表示食品の届出情報検索

[3] 厚生労働省, 健康づくりのための睡眠ガイド2023

広告

AUTHOR

なかでかおる

なかでかおる

一人でも多くの方の心身の調子を整えるため、食と心の領域で活動中。学術修士では、食行動と動機づけに関する研究を実施。栄養疫学と健康心理学を軸に、食の領域では、特定保健指導やジムでの栄養指導、コラム執筆、研究補助等、心の領域では、コーチングセッションやコラム執筆、研究補助等を行う。



RELATED関連記事