管理栄養士が考える〈一番太りにくい揚げ物メニュー〉は何か?油と衣の量で比較してみたところ…


飲み会などが続くと、疲労感とともに体の重さが気になってきます。カロリー、脂質、糖質が多い料理は控えたいものの、揚げ物が食べたい人も多いはず? 今回は、年末年始太りたくない人のための「揚げ物攻略テクニック」を解説します。何を注文し、どうやって食べるか…太りやすい年末年始を賢くおいしく乗り越えるテクを教えます。自宅で作る場合のカロリーオフにもなりますので、ぜひご覧ください。
揚げ物には、素揚げ、から揚げ、天ぷら、フライなど、揚げ方や食材も様々です。揚げるという調理法は、食品表面の水分が高温の油と入れ替わり、内部まで熱が伝わるものです。食品への油の吸収が少ない方が、カロリーを抑えられ、ヘルシーな揚げ物といえます。また、衣が少ない方が、糖質量を抑えられます。
そこで、それぞれの揚げ物の衣と吸収する油の量を比較して、太りにくい揚げ物を探してみましょう。
フライドポテト
衣はないものの、じゃがいも自体が糖質を多く含むため、糖質量の少ない揚げ物とはいえません。糖質量だけでいうと、タンパク質食材を揚げる方が、糖質量は抑えられます。
油の吸収率は、じゃがいもの切り方によっても異なります。一般的な太さのフライドポテトであれば5%程度の吸油率ですが、細くなればなるほど、それは高くなります。薄くスライスしたポテトチップスになると、吸油率は15%にもなります。
※吸油率は、衣をつける前の素材gに対して、吸収した油gの割合で表示しています。
また、新しい油は酸化が進んでいないため、油切れが良く、油の摂取量を抑えることができます。揚げ油を使い回すのはおすすめできません。時間の経過した揚げ物は、油の酸化が進んでいます。酸化油を摂取すると、下痢、嘔吐、腹痛などの症状を引き起こす可能性があります。酸化油は、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳梗塞などの生活習慣病のリスクを高める要因の一つと考えられています。酸化油は、体内の細胞を傷つけ、老化を促進すると言われています。一部の研究では、酸化油が特定の種類のがんの発症リスクを高める可能性が指摘されています。
鶏肉のから揚げ
唐揚げは、素材に小麦粉や片栗粉をまぶして揚げた料理です。天ぷらやフライに比べると、衣が少ないため、糖質を抑えたい方におすすめです。小麦粉の割合を増やすことで、唐揚げはふっくら食感に、片栗粉を増やすことで、サクサクとした軽い食感になります。また、片栗粉は小麦粉に比べて油を吸いにくいため、油切れが良く、カロリーを抑えることができます。
鶏肉の唐揚げは、糖質を抑えやすいだけでなく、手軽にタンパク質が摂取できる点も魅力です。鶏肉は部位によって、栄養価や食感が異なります。軟骨の唐揚げは、コラーゲンが豊富で美容に良いとされていますが、消化しにくい部分もあります。モモ肉は、脂肪分が多く、ビタミンAやビタミンB2、鉄分などの脂溶性ビタミンやミネラルが豊富です。味にコクがあり、様々な料理に利用できますが、高カロリーであるため、食べ過ぎには注意が必要です。ムネ肉は、脂肪分が少なく、高たんぱく質であるため、ダイエット中の人や筋肉をつけたい人におすすめです。イミダゾールジペプチドという疲労回復効果が期待できる成分も豊富に含まれています。さらに脂質が少なくタンパク質が多く含まれている部位がササミです。
カキフライ
フライには、トンカツやアジフライ、コロッケ、カキフライなど様々な種類があります。いずれも、素材に小麦粉、卵、パン粉の順で衣をつけて揚げた料理です。衣の量は素材によっても異なりますが、全体の1/4ぐらいを占めています。例えば130gのトンカツの場合、豚肉が約100g、衣が約30gというイメージです。また、衣には乾燥パン粉よりも生パン粉を使った方が、油を多く吸ってカロリーが高くなる傾向にあります。
おすすめは、カキフライです。一方で、糖質と脂質過多で、タンパク質不足になりやすい、じゃがいものコロッケなどは、控えましょう。カキには、現代人に不足しがちな亜鉛が豊富です。亜鉛は様々な酵素の材料として、炭水化物、脂質、タンパク質の代謝に関わっており、不足すると代謝が遅くなってしまいます。筋肉量も低下し、基礎代謝がどんどん落ちていってしまうという悪循環を招く可能性があるでしょう。
また、ここでは触れませんでしたが、天ぷらは衣が1/3を超えるものが多くあります。かき揚げについては、半分以上が衣です。衣の量が多いほど、糖質量が高くなるだけでなく、油を吸いやすく、カロリーも高くなってしまうので、注意が必要です。天ぷらでカロリーを抑えたいときは、衣が薄い天ぷらを選びましょう。
まとめ
揚げ物の種類によって、カロリーや栄養価は大きく異なります。 衣の量が少ない素揚げが最もカロリーを抑えられ、天ぷらやフライに比べて唐揚げは衣の量も少なく、タンパク質摂取にもつながります。ただし、揚げ物の調理法や使用する油の状態によって、カロリーや栄養価は変化します。ダイエット中の方におすすめなのは、衣が薄く、新しい油で揚げられた鶏肉の唐揚げです。
また揚げ物は、キャベツのせん切りや、旬の野菜サラダ、海藻などと一緒に食べましょう。野菜に豊富な食物繊維には、糖の吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を防ぐ働きがあります。これにより、インスリンの過剰分泌を抑え、脂肪の蓄積を防ぐ効果が期待できます。また食物繊維には、油を吸着して体への吸収を抑える働きもあります。さらに、野菜に豊富なビタミンCは、コレステロールの酸化を抑え、動脈硬化を予防する効果が期待できます。
ただし、揚げ物は基本的に高カロリーであるため、頻繁に食べることは避け、焼き鳥など、よりヘルシーな調理法のものを選ぶ方が良いでしょう。年末年始は美味しいものがたくさんありますが、自分に合ったヘルシーな食生活を心がけ、健康的なお正月を過ごしましょう。
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