夏に気をつけたい感染症「ヘルパンギーナ」は大人もかかる?症状と子供からうつさない対策
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ヘルパンギーナは子供の間で夏に流行しやすい感染症です。その代表的な症状と子供からうつさない対策などについて、医師が解説します。
ヘルパンギーナとは?
ヘルパンギーナは、コクサッキーウイルスやエコーウイルスなどに感染することによって、発熱やのどの痛み、あるいは口腔粘膜の水ぶくれなどを認める病気です。
主に、小児の間で流行しやすい急性のウイルス性咽頭炎であり、乳幼児を中心に夏季に流行する疾患です。
その大多数はエンテロウイルス属に属するウイルスに起因し、主にコクサッキーウイルスA群である場合が多いといわれています。
ヘルパンギーナは小児の間では比較的よく見られる感染症であり、口の中にできた水疱が唾液などの刺激で破れて強い痛みを引き起こすため、十分な飲食ができなくなる場合もあります。
ヘルパンギーナの原因ウイルスに対する抗ウイルス薬は現在のところ開発されていませんので、治療は発熱やのどの痛みなどの症状を緩和させる対症療法が行われます。
ヘルパンギーナの流行時期には、適切な感染予防対策を実施することが重要です。
ヘルパンギーナの代表的な症状と子供からうつさない対策とは?
ヘルパンギーナは、原因となるウイルスに感染した後、2~4日ほどの潜伏期間を経て発熱を伴うのどの痛みが現れるとともに、口の中の粘膜には直径1~5mm程の水ぶくれが形成されることがあります。
発熱症状などは発症後数日程度で自然に改善していきますが、口の中にできた水ぶくれは飲食や歯磨きなどの行為で口を動かすことが刺激となって破れて、非常に強い痛みを伴います。
口腔内のなかでも、軟口蓋から口蓋弓にかけての部位に直径1~2mm程度の紅暈(こううん、皮膚が部分的に充血して赤く見えること)で囲まれた小水疱が出現するといわれています。
そのため、十分な水分や食事を摂ることができず、脱水状態に陥ることも少なくなく、特に水分保持能力の低い乳幼児が罹患した場合には、注意が必要です。
ヘルパンギーナは、急性期には強い症状が現れますが、自然に回復することがほとんどです。
しかし、稀に重症化した場合は、髄膜炎や心筋炎などの合併症を引き起こして、生命に直結する可能性もあります。
時に、発熱にともなって熱性けいれんを合併することや、口腔内の疼痛のため乳幼児が不機嫌になる場合がありますが、ほとんどは予後良好と認識されています。
特異的な治療法はなく通常は対症療法で対応し、発熱や頭痛などの症状に対してはアセトアミノフェンなど市販薬を用いることもあります。
特別な予防方法はありませんが、子供から大人にうつさないためにも、感染者との密接な接触を避けて、流行時にはうがいや手指消毒を励行することなどを徹底することが重要です。
まとめ
これまで、夏に気をつけたい感染症「ヘルパンギーナ」は大人もかかるのか、その代表的な症状と子供からうつさない対策などを中心に解説してきました。
ヘルパンギーナは子供の間で流行しやすい感染症です。
しかしながら、特異的なワクチンは開発されておらず、感染や重症化を高い確率で予防できる方法は現実的にはありません。
ヘルパンギーナの原因となるウイルスは、主に接触感染と飛沫感染を引き起こすため、5~8月頃の夏の流行時期には手洗いや消毒、マスク着用など基本的な感染対策を講じることが重要です。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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