〈夏の食事の落とし穴〉陥りがちなことと気をつけるべきポイント|管理栄養士がアドバイス

 〈夏の食事の落とし穴〉陥りがちなことと気をつけるべきポイント|管理栄養士がアドバイス
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栗城智子
栗城智子
2024-07-17

全国的に気温が上がり、お天気コーナーにおいても「熱中症に注意」と呼びかける日が続いています。筆者も暑い日の炭酸飲料やアイスが大好物で、つい冷たいものをたくさん摂りがちになりますが、自戒も込めて夏の食事でやりがちなことや気を付けるポイントをまとめました。ぜひ参考にしてみてください。

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冷たいものばかりで胃腸が弱る

暑い日は水分をこまめに摂取することが重要ですが、キンキンに冷えた飲み物や食べ物ばかりを摂取していませんか?冷たいものは胃のはたらきを弱めるため、ますます食欲不振に陥ってしまいます。食事も冷たいものばかりでなく、できれば1品は温かいお味噌汁やスープなどを食べるのがおすすめですが「暑い中で温かいものはどうしても無理」という方は、体を温める作用のあるシソやミョウガ、ショウガなどの薬味をプラスしてみてください。また、腸内環境を守ってくれる発酵食品を摂るのもおすすめです。

麺類ばかりでたんぱく質不足

暑い夏はつるっとのどごしの良いうどんやそうめんが食べやすく重宝しますが、麺類のみでおかずなしの食事では、炭水化物に偏り、たんぱく質と脂質が不足してしまいます。とくにたんぱく質不足では筋肉が落ちて基礎代謝が低下し、太りやすくなるほか、貧血や冷え症にもつながりやすくなります。

夏場の食事において、疲労回復の作用をもつビタミンB1が豊富な豚肉が推奨されます。しかし「暑さと疲れで冷しゃぶを作ることすらつらい…」という場合もあると思います。そんなときは麺類に納豆やいわし・さば缶、サラダチキンなどのたんぱく質食材を乗せて召し上がってみてください。そこに野菜や海藻をプラスできれば、ワンプレートで食事が完成します。トマトやきゅうりなどはカットして乗せ、オクラやとうもろこしはレンジ調理を活用して、火を使わない調理を試すのもよいでしょう。ポン酢や青じそドレッシングなどの酸味を生かした調味は食欲増進につながるため、おすすめです。

発汗&糖質過剰摂取によるビタミン・ミネラル不足

暑い日は、炭酸飲料やスポーツドリンクをゴクゴク飲みたくなります。また、冷たいアイスを食べるのが習慣になっている方もいるでしょう。汗をたくさんかくと、体内のビタミンやミネラルが流れ出てしまうため、栄養が欠乏しやすくなります。さらに甘い飲料やアイスなどによる糖質の摂り過ぎは、糖質を体内でエネルギーに変換するビタミンB1を多く消費してしまいます。よって、夏場の日常的な水分補給は麦茶や水にし、スポーツや外での活動の際にはスポーツドリンクを上手に活用して塩分を補給しましょう。「のどが乾いた」と感じる前にこまめに水分を摂ることも大事です。

まとめ

本記事では、夏の食事で陥りやすいことや注意点について解説しました。夏バテ気味の日は食事作りが億劫になるほどの日もありますが、既製品も上手に取り入れながら栄養補給をしましょう。また、朝食の欠食は夏バテを悪化させてしまいます。ぜひ朝ごはんはしっかり食べてから一日のスタートを切りましょう。

〈参考文献〉

文部科学省 | 日本食品標準成分表2020年版(八訂)

・正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学|吉田企世子,松田早苗|高橋書店

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栗城智子

栗城智子

大学卒業後、食品メーカーにて商品開発や品質保証の業務に従事し、管理栄養士を取得。特定保健指導やドラッグストア勤務において、人々の食事や健康、サプリメントに関する悩みに寄り添う。上記資格のほかフードスペシャリスト、離乳食・妊産婦食アドバイザー、日本化粧品検定1級、アロマテラピーアドバイザーなどの資格を保有。食と健康について学びを続けている。現在は子育てをしながら管理栄養士ライターとして執筆や商品監修に携わる。



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