冷房だけに頼らない!夏の不快指数を下げる3つのポイント|薬剤師が解説

 冷房だけに頼らない!夏の不快指数を下げる3つのポイント|薬剤師が解説
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記録的な暑さが続くこの夏。舗装道路の照り返し、エアコンの室外機からの放射熱などで蒸し風呂状態。不快指数もうなぎのぼりです。だからといって冷房頼みはNG。室外との極端な温度差が、自律神経の調整機能を狂わせます。冷房に頼り過ぎず、上手に体感温度を下げることが、元気に夏を乗り切るコツ。この記事では、夏の不快指数を下げる3つのポイントを解説します。

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不快指数とは?

不快指数とは、気温と湿度から導き出された「日中の蒸し暑さ」を表す指数です。「70未満・70~74・75~79・80~84・85以上」の5段階があり、数字が大きいほど蒸し暑く不快であるといえます。一般的に70未満で快適、70を超えると不快感を持つ人が出始め、75で半数以上の人が不快と感じ、80を超えるとほとんどの人が不快と感じます。

なお、不快指数の情報は、日本気象協会のホームページ「不快指数」で確認できます。

不快指数を下げる3つのポイント

不快指数を下げるには、冷房だけに頼らず、上手に体感温度を下げることがポイント。ここでは不快指数を下げる3つのポイントを解説します。

1. 衣服内気候

衣服内気候とは、「肌と衣服の間の温度・湿度・風通し」のことです。衣服内の温度が28~33℃、湿度40~60%だと快適に感じるといわれています。

衣服で日射の侵入を防ぎ、ゆったりした服装で、衣服の中や体の表面に風を通し、体から出る熱と汗をできるだけ早く逃がしましょう。ポイントは次の通りです。

  1. ゆったりした衣服にする。
  2. 襟元をゆるめて通気する。
  3. 吸汗・速乾素材や軽・涼スーツなどを活用する。
  4. 炎天下では、熱を吸収する黒色系の素材を避ける。
  5. 日傘や帽子を使う(帽子は時々はずして、汗の蒸発を促しましょう)。

涼しい装いのポイントは、衣服内の温度と湿度を上げないこと。麻や綿のほか、通気性や吸水性、速乾性に秀でた冷感、ドライ感に考慮されたものなど、今ではさまざまな繊維が開発されています。こうした繊維素材を使った衣服を利用することでも、衣服内の温度や湿度を下げることができます。ちなみに、裸でいるより衣服を着ているほうが涼しく感じるのは、肌と服の間を風が通り抜けるからです。

2.除湿

不快指数は気温だけでなく、湿度に大きく影響されます。気温が高くても湿度が低ければ、カラッとした暑さであまり不快さを感じない、という経験をしたことがあると思います。同じ温度なら湿度が低い方が快適。湿度が60%以下だと暑さを感じにくくなります。

そのためには、「冷房」と「除湿」をうまく使い分けること。その名の通り、エアコンの冷房機能は気温を下げる効果、除湿機能は湿度を下げる効果があります。冷房は気温を下げることで相対的に湿度も下がる、除湿はエアコン内で気温を下げた空気を作り湿気を取り除いたあと温度を戻した空気を出す、という仕組みになっています。

不快指数は、温度だけでなく湿度が大きく関係しているため、湿度を積極的に下げることが不快指数を下げることにつながります。扇風機やサーキュレーターで空気を循環させることも除湿効果を高める効果があります。

また、これだけ暑い夏ですが、エアコンを使用していない場合、部屋の中の湿度と外の湿度を比べると、室内より室外のほうが湿度が低いことがほとんどです。窓を開け、部屋にこもった湿気を外に逃がすことも湿度を下げる効果があります。最低でも1日に1~2回は換気をして、新鮮な空気に入れ替えましょう。

間取りによっては難しいかもしれませんが、部屋の対角線上にある窓を2か所以上開けると効果が高いです。もしくは、扇風機を「窓の外に」向かって回すことで室内の湿度が高い空気を追い出すことができます。

除湿
不快指数は、温度だけでなく湿度が大きく関係しているため、湿度を積極的に下げることが不快指数を下げることにつながる。エアコンの「冷房」と「除湿」をうまく使い分けよう。photo by Adobe Stock

3.安眠の工夫

夏になると、暑くて眠れないという経験をするように、暑さは睡眠を妨げます。とくに重要なのが、眠りにつく最初の90分。睡眠がもっとも深くなる時間帯です。そのため、エアコンを使用する場合は、タイマーを睡眠後1~2時間を目安に設定しましょう。

夏用の寝具や枕を利用するのもよい方法です。寝具は、麻の敷パッド、冷感素材を使ったタオルケットなどがおすすめです。枕の素材としては、通気性がよいパイプやビーンズ、い草、籐の枕などのほか、保冷素材を使用したジェル枕、クールピローなども販売されているので利用するのもよいでしょう。小さな保冷剤を利用するのもアイデアです。

睡眠不足は、翌日の眠気や疲労の増加など、日中の活動にも影響します。睡眠時間が普段より1.5時間程度短い場合でも、翌日に活動すると体温が高く、汗の量も多くなり、体温調節機能が低下します。日中の環境や行動だけでなく、夜間の睡眠環境を整え、しっかり眠ることが大切です。

まとめ

熱中症対策は大事ですが、エアコンばかりに頼り過ぎると自律神経の調整機能が乱れます。そこで注目したいのが「不快指数」。不快指数とは気温だけでなく湿度や風通しなどを含めた体感温度を表す指標です。

夏の蒸し暑さを上手にしのぐには、「衣服」「湿度」「睡眠」の3つをキーワードに「不快指数」を下げることがポイント。“衣服内気候”を意識した服装、湿度を下げる工夫、通気性のよい枕や安眠グッズの利用など、できる限り不快指数を下げることが健康で快適に夏を乗り越えるコツといえるでしょう。

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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