〈食中毒対策クイズ〉電子レンジで加熱すれば食中毒は防げる?防げない?管理栄養士が回答
梅雨から夏にかけて注意したい食中毒。しっかり加熱すれば問題ないイメージがありますが、電子レンジで加熱したら食中毒は防げるのでしょうか?この記事ではクイズ形式で答えを発表します。
電子レンジで加熱すれば食中毒は防げる?「〇」or「×」のどっち?
正解は…「×」です!
電子レンジで加熱することは有効な手段のひとつですが、必ず予防できるというわけではありません。食中毒を防ぐポイントは、「中心がアツアツになるまでしっかり温めること」です。
電子レンジの加熱はマイクロ波が当たったところの水分を加熱して温めるので、もともと加熱ムラが生じやすいという特徴があります。特に四角いものはマイクロ波が角に集中するので中心部分が温まりにくく、塊のまま肉や魚を電子レンジ調理する場合は食中毒が起こる可能性が高くなります。
加熱ムラをなくすには?
では、食中毒の原因ともなる加熱ムラはどうすればなくすことができるのでしょうか?
加熱ムラをなくすには、食品を小分けにして温めたり加熱の途中でひっくり返す、または全体を混ぜながら加熱することが大切です。食べる前にアツアツになっているか確認しましょう。
また、電子レンジの庫内が汚れていると汚れた部分にマイクロ波が集中してしまい、温まり方にムラができることもあります。電子レンジは中が黒い機種が多いため、一見汚れはわかりにくいですが、電子レンジを使用した後は固く絞ったふきんなどで拭くとよいでしょう。
電子レンジで加熱しても死なない菌がいる⁉
多くの食中毒菌は電子レンジでしっかり加熱すると死滅しますが、中には加熱に強い菌も存在します。それが、「セレウス菌」と「ウェルシュ菌」のふたつ。
セレウス菌は、発育の条件が自分にとって不利になると芽胞(がほう)という殻のような特殊な細胞を作り出します。一度芽胞を作ってしまった場合、通常の加熱では死滅せず乾燥している状態でも生き延びます。さらに食品が発育の条件を満たすと、芽胞から菌が再び出てきて増殖してしまいます。
セレウス菌は自然界に広く存在し、米や小麦などの農産品に多く付着しています。チャーハンやパスタなどの料理が代表的な原因食品と言われているので、調理した後はすみやかに食べきるようにするとある程度予防できますよ。
ウェルシュ菌もセレウス菌と同じく芽胞を作りますが、食中毒の直接の原因は菌が産生する毒素によるものです。酸素を嫌う性質があり通常よりも高い温度帯で増殖するため、温度が下がりにくいカレーやシチューなどの煮込み料理が原因となることが多いです。調理した食品はなるべく当日中に食べるようにしましょう。
まとめ
電子レンジで食中毒は防げるのかをクイズ形式で解説しました。電子レンジでの加熱は食中毒予防に有効ですが、中までアツアツになるまで加熱しないとしっかり予防することが難しいです。小分けにして温めたり加熱の途中でかき混ぜるなどして、加熱ムラをなくし食中毒を予防しましょう。
加熱では死滅しない菌もあるため、梅雨から夏にかけての気温が高い時期には作ったものをなるべく早く食べきるようにしてくださいね。
AUTHOR
野口久美子
管理栄養士/調理師。大学卒業後、保育園栄養士と食品開発の仕事を経てフリーに転身。現在は子育てをしながらライターとしてレシピ紹介や栄養に関する分野でコラムを執筆している。
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