「更年期にホルモン補充療法はキケン」と思い込んでいる人に知ってほしいこと

 「更年期にホルモン補充療法はキケン」と思い込んでいる人に知ってほしいこと
Adobe Stock
高本玲代
高本玲代
2024-06-29

更年期には様々な治療法があるのですが、その中でも北欧や欧米を中心に普及しているのがホルモン補充療法、いわゆる「HRT」と呼ばれるものです。欧米での普及率は約40%とされていますが、日本ではまだまだ普及していません。

広告

ホルモン補充療法は乳がんになりやすい?

ホルモン補充療法は乳がんになりやすいからしたくない、という方は多くおられます。もちろん、婦人系のがんになった経験がある方や、婦人系のがんの治療中の方は無理など既往症による制約はあるものの、健康に過ごされている方に関してはあまり過度に心配する必要はないかと感じています。

理由は、日本乳がん学会のホームページで以下のように公開されているからです。

ホルモン補充療法の中でも,エストロゲンとプロゲスチン(プロゲステロンなど)を併用する方法では,乳がん発症リスクは,わずかながら高くなることが確実です。エストロゲンだけを補充する方法では,乳がん発症リスクはわずかながら高くなる可能性があり,子宮内膜がんが増える可能性も示されています。ただし,ホルモン補充療法が乳がん発症リスクを高める程度はわずかなので,行うことによる利益とのバランスを考え併せて,行うかどうかを決める必要があります。

ここにも書かれているとおり、全ての治療はメリットとデメリットの比較によって医師と共に最終的に自分で決めることになります。しかし、「思い込み」や「先入観」だけで過剰に不安になったり、可能性のある治療法を排除する必要はないかと思います(ましてや他人のSNSに不安をあおるコメントをするなどはもっての他です)。

もちろん、HRTにまったく副作用がないわけではありません。ただ、副作用が出る・出ないも個人差があるため、一度使ってみないとわからないということです。また、副作用でも使っていく中で収まっていくものもありますから、その点についても主治医に相談していきましょう。

既往症などをきちんと医師に話したうえで、一つの選択肢としてHRTを考えるのは全然アリだと思います。

母親のヘルスリテラシーが子供の健康にも大きく影響する可能性がある

私の娘はPMSがひどいので、中学生ですがピルを飲んでいます。試験や遠足で不調になるよりは健やかに過ごしてほしいという思いから、子どもや医師と話し合って決めました。中学生であればピルに関しては内診は行われず、腹部エコーだけで済みましたし、投与一か月後に血液検査で血栓がないかの確認をすれば、今はWEB診療で定期的にピルを処方してもらっています。また、子宮頸がんの予防ワクチンも全て済ませています。

しかし、中には「子供にピルを飲ませるなんて」という方や、「子宮頸がんワクチンの副反応が怖くて受けさせたくない」という母親もいます。子宮頸がん(HPV)ワクチンは、世界的には一般的なワクチンですが、日本では2024年の発表では接種率が14.4%と世界の水準よりはまだまだ低いとされています。HPVワクチンは子宮頸がんにつながるHPVの感染を防ぐことができ、それにより子宮頸がんの原因の50~70%を防げます。

また、最近では男性でも咽頭がんとの関連も指摘されており、有名なホリエモンこと堀江貴文さんもHPVワクチンを接種したと公言しています。更に、厚生労働省のホームページなどからHPVワクチンの副反応の情報は公開されているので、怖いと感じたらそちらを調べられると良いでしょう。

海外の研究では、全身の副反応はプラセボ(いわゆる薬剤がはいっているものを投与した場合)と、実際のワクチンではその確率の差がなかったことがわかっており、まさに「恐怖心を持てばもつほど副反応が出やすい」といったことも考えられるのではないかと思います。

SNSなどの情報に踊らされることなく、厚生労働省やWHOなどの情報を一度見てみるという習慣を身につけていく事も、自身とお子さんの健康を支える上で大事な行動だと思います。

広告

AUTHOR

高本玲代

高本玲代

フェムテック起業家・社会活動家。自身のウツや更年期の経験から更年期女性のケアプロ グラム「よりそる」を立ち上げる。東京都をはじめとする自治体やポーラをはじめとする 企業向けに研修を実施。NHKをはじめメディア掲載50社以上。「がんばらない更年期」 についてYoutube「更年期アカデミー よりそる」で発信中。



RELATED関連記事