お米に不足する栄養素を補う〈海藻おにぎり〉1週間カレンダー|管理栄養士が教えます

 お米に不足する栄養素を補う〈海藻おにぎり〉1週間カレンダー|管理栄養士が教えます
絵・いしまつゆり
石松佑梨
石松佑梨
2024-09-04

主に炭水化物からできているおにぎりは、私たちの体にとって重要なエネルギー源となります。しかし、白米は精製過程で、ビタミンB1やマグネシウム、鉄分などの栄養素が失われてしまうという側面もあります。また、お米にはビタミンA・B12・C・D・Kは含まれていません。 そこで注目したいのが、海藻です。実はお米に不足しがちな食物繊維、マグネシウム、ビタミンA・K・B12は、海藻類で補うことができます。特に、カルシウムは骨を強くする働きがあり、鉄分は貧血予防に効果が期待できます。海藻を使ったおにぎりは、栄養バランスが良く、手軽に食べられることから、健康志向の人にもおすすめです。

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おにぎりに不足する栄養素を補うのは〝海藻〟だった

お米は、日本人の主食として、古くから食卓に欠かせない存在です。特に、おにぎりは手軽に食べられることから、忙しい現代人にも人気の高い食品です。梅干しや鮭など、さまざまな具材と組み合わせることで、飽きずに楽しむことができます。

栄養面から見ると、お米は主に炭水化物からできており、私たちの体にとって重要なエネルギー源となります。しかし、白米は精製過程で、ビタミンB1やマグネシウム、鉄分などの栄養素が失われてしまうという側面もあります。また、お米にはビタミンA・B12・C・D・Kは含まれていません。

そこで注目したいのが、海藻です。実はお米に不足しがちな食物繊維、マグネシウム、ビタミンA・K・B12は、海藻類で補うことができます。特に、カルシウムは骨を強くする働きがあり、鉄分は貧血予防に効果が期待できます。海藻を使ったおにぎりは、栄養バランスが良く、手軽に食べられることから、健康志向の人にもおすすめです。

代謝アップを目指したい人の海藻おにぎり

代表的な海藻類には、海苔、昆布、わかめ、ひじき、寒天などがあります。それぞれ海藻を使ったおにぎりと詳しい栄養メリットについて解説します。

海苔おにぎり

海苔は、食物繊維が豊富で、胃の中で水分を吸収して膨らむため、満腹感が得られやすく、食べ過ぎを防ぎます。また、善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きもあります。さらに、カルシウム、鉄、ヨウ素、ビタミンA・B群などの栄養素も豊富に含まれており、基礎代謝を上げるなど、体の働きを活発にする効果が期待できます。

おにぎりに合わせやすい海苔には、焼き海苔、味付け海苔、韓国海苔、あおさ海苔、青海苔、海苔の佃煮などがあります。ご飯に海苔を巻くだけで、手軽におにぎりに取り入れられます。定番の海苔巻きおにぎりは、しんなりした海苔も、パリパリの海苔も、一般的には栄養成分に大きな差はありませんので、ご自身の好みで選んでください。

韓国海苔を選ぶ際は、ごま油の酸化に注意しましょう。 ごま油は酸化すると風味が落ちたり、栄養価も低下したり、有害物質が生成されたりする可能性があります。開封後はなるべく早く使い切るようにしましょう。

昆布おにぎり

昆布のぬるぬるとした食感のもととなる主な成分は、アルギン酸という水溶性の食物繊維です。アルギン酸は、腸内で水分を吸収してゲル状になり、腸の動きを促すことで、便通をスムーズにする働きがあります。また、血液中のコレステロールを吸着して体外へ排出するため、高コレステロール血症の予防に役立つ可能性が期待されています。さらに、体内に吸収された重金属を吸着し、体外へ排出するデトックス作用も注目されています。

おにぎりで昆布を楽しむなら、とろろ昆布がおすすめです。薄く削られているので、口当たりが良く、消化もスムーズです。おにぎりを包むようにして食べると、昆布の風味をたっぷり味わえます。定番の昆布佃煮を具材にするのもおすすめです。また、塩の代わりに昆布茶をまぶせば、昆布の旨みがぎゅっと凝縮されていて、風味豊かなおにぎりが楽しめます。

ワカメおにぎり

ワカメを細かく刻んでご飯に混ぜ込んだワカメご飯は、給食の定番メニューです。ワカメは、昆布に次いで、フコキサンチンやフコイダンといった栄養成分を豊富に含んでいます。

フコキサンチンは、一部の研究で褐色脂肪細胞の活性化を促し、脂肪燃焼を促進する可能性が示唆されています。また、脂肪酸の合成を抑制し、体脂肪の蓄積を抑える効果があるとも考えられています。
フコイダンは、腸での脂肪の吸収を抑え、血糖値の上昇を穏やかにする働きがあり、肥満や糖尿病の予防に役立つ可能性が期待されています。さらに、抗酸化作用も強く、体の老化を遅らせる効果も期待されています。

ひじきおにぎり

ひじきの煮物を炊き込んだ、ひじきの炊き込みご飯は、家庭でも人気のメニューですね。ひじきは、他の海藻類と比べて、鉄分を豊富に含んでいることで知られています。鉄分は、私たちの体の中で酸素を運ぶ役割を担っている大切な栄養素です。

昔は、ひじきの加工に鉄製の釜が使われることが一般的でした。これによってひじきに鉄分が移り、ひじきと言えば鉄分というイメージが定着しました。しかし、近年では衛生面や耐久性の観点から、ステンレス製の釜が使われるようになり、ひじきに含まれる鉄分量が減少しました。とはいえ、現代のひじきも、他の海藻類と比較すると鉄分は豊富です。また、ひじきに含まれる鉄分は、ビタミンCと一緒に摂ることで、より体内に吸収されやすくなります。ひじきにはビタミンCも含まれているため、ひじきを食べるだけで、鉄分の吸収を効率的に行うことができるのです。

寒天おにぎり

お米と水に、粉寒天を加えて炊飯したご飯は、手軽に食物繊維を補うことができるメニューです。炊き上がりのご飯は、味も香りも通常のご飯と変わりありません。また冷凍ご飯を温め直しても、寒天の保水効果でもっちりとし、パサつきにくいです。

寒天の最大の特徴は、豊富な食物繊維にあります。寒天の主成分は、海藻から抽出した天然の食物繊維で、水に溶けるとゲル状になる性質があります。このゲル状の物質は、スポンジのように大量の水を吸収するため、私たちの体の中では、腸内で膨らみ、満腹感を与えてくれます。低カロリーでありながら、食物繊維が豊富なので、ダイエット食品としても人気です。また、腸内環境を整え、便秘解消や腸の働きを活発にする効果が期待できます。さらに、食事と一緒に摂ることで、血糖値の上昇を緩やかにし、糖尿病などの生活習慣病予防にも役立つと言われています。

このおにぎりカレンダーは、あくまでも一例です。 自分の体調や気分に合わせて、お好みの具材でアレンジしてください。

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石松佑梨

石松佑梨

サッカー日本代表選手をはじめ、世界で活躍するトップアスリートたちの専属管理栄養士として従事。のべ2万人以上に提供してきた「頑張らない食トレ」を武器に、近年は企業の健康経営や地域創生も展開する。幼い頃から「おいしい」への執着心が人一倍強く、おいしく健康に食べるための「ずるい栄養学」で、誰もがおいしく食べて健康になれる社会を目指している。著書に『過去最高のコンディションが続く 最強のパーソナルカレー』(かんき出版)がある。



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