いつまで経っても治らないできもの…粉瘤って何?吹き出物とは何が違う?医師が解説
粉瘤の特徴や治療法について、医師が解説します。
粉瘤とは
粉瘤は、垢成分や皮膚の皮脂成分などを始めとする老廃物が皮膚に溜まって形成される良性腫瘍であり、皮膚腫瘍の中で最も高頻度にみられると言われています。
粉瘤は皮膚の表面にできやすく、脂肪腫よりも弾力性を有して、しこりのような感触であり、腫瘍の内容物(中身は)皮脂や老廃物です。
粉瘤自体は、本来であれば自然と剥脱する皮膚の垢成分である角質や皮脂が、皮膚の下部にある袋状の内部に貯留して形成された出来物です。
基本的には、皮膚に袋状の構造物が形成されて、その袋の内部に脱落した皮膚の角質や皮脂が貯留して徐々に拡大した病変を指しており、細菌が侵入して患部が化膿すると赤く腫れあがって、痛み症状を伴うこともあります。
粉瘤の治療について
粉瘤は皮膚の下にできる良性の腫瘍で、皮脂腺の詰まりが原因で発生します。
痛みを伴わないといわれていて、皮膚の上からでも硬いしこりとして触れられますし、粉瘤の中には角質や皮脂が溜まり、時には炎症を起こす可能性もあります。
粉瘤は、大きさや炎症の有無によって治療法が異なり、小さなものであれば経過観察が選択されることもありますが、見た目の問題や痛み、炎症を繰り返す場合には手術による除去が推奨されます。
手術そのものは局所麻酔のもと、粉瘤の袋ごと取り除き、粉瘤の手術後は、傷口のケアが重要となります。
専門医師の指示に従い、清潔を保ち、感染予防に努めることが大切ですし、再発を防ぐためにも、定期的な皮膚のチェックが推奨されます。
粉瘤を根治的に治癒するためには、患部の摘出処置など何らかの治療が必要ですので、心配であれば速やかに皮膚科を受診して、専門医に相談することが重要なポイントとなります。
粉瘤は、疲労、ストレス、睡眠不足、偏った食生活など生活習慣の乱れなどが原因となって毛穴の一部である表皮が内側にめくれて袋状の病変ができ、基本的には有意な痛み症状が乏しいことから放置する場合も多いですが、自然に治癒することはほとんどありません。
基本的な治療は、手術による腫瘍の切除であり、手術処置によって形成されている腫瘤を取り除くことが重要であり、症状を放置したままで自然に治癒することはほぼ無いため、腫瘤が小さい段階で耳鼻咽喉科など専門医療機関を受診することが肝要です。
まとめ
これまで、粉瘤とはどのような病気か、粉瘤の特徴やその治療法などを中心に解説してきました。
粉瘤は、脂肪の塊ではなく、皮膚の内側に袋状の構造物ができて、本来であれば皮膚から剥げ落ちるはずの垢成分や皮脂が、袋の中にたまってできた腫瘍の総称を意味しています。
本当に脂肪細胞が増殖してできた良性腫瘍の脂肪腫とは全く異なるものです。
粉瘤は皮膚科領域で最も診察する機会の多い良性の腫瘍ですが、稀に炎症を起こして腫れることがありますし、似て非なる腫瘍もたくさんありますので一定の注意が必要です。
心配であれば、皮膚科や形成外科など専門医療機関を受診しましょう。
AUTHOR
甲斐沼 孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
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