健康診断の前日にしてはいけないNG行為とは?食事やお酒は何時まで?薬の服用は?薬剤師が解説

 健康診断の前日にしてはいけないNG行為とは?食事やお酒は何時まで?薬の服用は?薬剤師が解説
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定期的な健康チェックで大きな病気を未然に防ぐ意義が再認識されています。しかし、健康診断の前日にしてはいけないことがあることは、意外と知られていないかもしれません。この記事では、健康診断の前日にしてはいけないNG行為や薬の服用の可否などについて解説します。

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健康診断の前日にしてはいけないこと

午後9時以降は食事を摂らない、おやつや糖質入りの飲み物もNG

健康診断では、「前日の午後9時以降は食事を摂らない」という注意事項があります。厳密に言うと、検査時間の12時間前以降は食事を控える必要があります。

その理由は、お腹に飲食物がある状態で健康診断を受けると、血液検査の数値が乱れることがあるからです。とくに食事の影響により、血糖値や中性脂肪の値が変化しやすくなり、検査結果を正確に把握できなくなる可能性があります。

また、胃部X検査(胃バリウム検査)の場合、胃の中に食べ物が残っていると、X線画像が鮮明に映らなくなったり、バリウムが見えない部分が増えたりして、正確な診断ができなくなる場合もあります。

なお、食事ではないからといって、おやつやゼリー、ガムのようなものを食べることや、牛乳や砂糖を入れた紅茶などを飲むことも、血液検査の数値に影響を及ぼす可能性があるため、控えた方がよいでしょう。

お酒は午後9時以降は飲まない、9時前でも大量の飲酒は控える

食事と同様に、前日の午後9時以降の飲酒は控えましょう。血中のアルコールは、血糖値、中性脂肪、肝機能、尿酸値などの検査数値に影響を与え、正しい検査結果が出なくなる可能性があります。

また、午後9時までならよいと考え、9時以前にアルコールを大量に飲むこともいけません。アルコールには利尿作用があるため、体内の水分が排泄され、尿酸値が高めになったり、腎機能の数値に影響が出ることも考えられます。とくに毎日飲酒の習慣がある人は、前日の飲酒は控えたほうがよいでしょう。

糖質・脂質の多い食べ物を食べ過ぎない

前日の夜から健康診断が終わるまで食事が摂れないからといって、糖質や脂質の多い食事を食べ過ぎてはいけません。血糖値や中性脂肪など血液検査の数値に影響が出るだけでなく、消化に時間がかかるため、胃部X線検査(バリウム検査)で、脂肪の影響でバリウムが胃にしっかりつかず、正しい検査結果が得られなくなる場合があります。検査前日は糖質や脂質を控えめにしたメニューで腹八分目を心がけましょう。

持病の薬の服用は中断しない

持病の薬を服用している場合、健康診断の前日は、いつも通り薬を服用しても良いでしょう。ただし、服用している薬があることは医師に伝える必要があります。薬を飲んだ状態で血液検査を行うことで治療の状況や薬の効果などを把握することが必要だからです。

ただし、不整脈や脳卒中、精神疾患などの重篤な病気の薬の場合は、当日でも起きてすぐに少量の水で飲むようにしてください。念のために、常用している薬やサプリメントがある場合には、事前に服用して良いかどうか、医師に相談しておきましょう。

激しい運動はしない

健康診断の前日と当日の検査前は、激しい運動は控えましょう。激しい運動は傷ついた筋繊維を修復する働きにより、血液検査の肝機能の数値に悪影響を与えかねません。普段から運動する習慣は良いのですが、健康診断の前日と当日はランニングや筋トレなどの激しい運動は控えたほうが良いでしょう。また、健康診断があるからといって、健診の前日(もしくは数日前)に急に運動するのは、血液検査の数値に悪影響を及ぼす恐れがあり、逆効果になります。

前日は夜ふかししない

寝不足の状態で健康診断を受けると、血液検査や尿検査の結果が乱れることがあります。いつもと変わらない睡眠時間であれば構いませんが、できれば健診の前日は早寝をしてしっかり睡眠をとるようにしてください。夜ふかしは控えましょう。

タバコは吸わない

タバコは、健康診断に関係なく吸わないほうが良いのですが、どうしてもやめられない人は、せめて健康診断当日は朝から吸わないようにしましょう。タバコを吸うと胃が活発に働いてしまい、胃部X線撮影時に飲んだバリウムが通常より速く胃から腸に押し出されてしまうことがあります。

また、タバコの刺激で胃液がたくさん分泌されてしまうと、バリウムが胃の表面に張りつかなくなり、X線の画像が鮮明に撮れなくなることがあります。健康診断当日のタバコは厳禁です。

まとめ

健康診断や人間ドックの意義は、病気の早期発見・早期治療に役立てることや、生活習慣病の兆候を見つけ発症を予防することにあります。健康診断や人間ドックの前に、してはいけない行為をすると正確な診断ができず、健診の意義が損なわれることになります。また、検査結果に一喜一憂するのではなく、定期的に検査を受け、日ごろの健康管理に役立てることが大切といえるでしょう。

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AUTHOR

小笠原まさひろ 薬剤師

小笠原まさひろ

東京薬科大学大学院 博士課程修了(薬剤師・薬学博士) 理化学研究所、城西大学薬学部、大手製薬会社、朝日カルチャーセンターなどで勤務した後、医療分野専門の「医療ライター」として活動。ライター歴9年。病気や疾患の解説、予防・治療法、健康の維持増進、医薬品(医療用・OTC、栄養、漢方(中医学)、薬機法関連、先端医療など幅広く記事を執筆。専門的な内容でも一般の人に分かりやすく、役に立つ医療情報を生活者目線で提供することをモットーにしており、“いつもあなたの健康のそばにいる” そんな薬剤師でありたいと考えている。



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