メンタルヘルスを高める『ソーシャルサポート』を得るためのコツとは?臨床心理士が解説
ソーシャル・サポートとは、コミュニティ心理学者のG.キャプラン氏やJ.キャッセル氏によって提唱された概念で、家族や友人、職場の人や近所の人など、自分の周りを取り巻く様々な人たちから、物理的、あるいは精神的に援助を受けることです。ソーシャル・サポートを受けられると、心身ともに良い影響があると言われます。ソーシャル・サポートは私たちにどんなメリットをもたらすのか、ソーシャル・サポートを受けやすくするコツを臨床心理士が解説します。
ソーシャル・サポートがもたらすメリットは?
『ソーシャル・サポートの有無が、心身の健康に影響を及ぼす』と言われているくらい、ソーシャル・サポートは心の支援の中でも重要視されている存在です。ソーシャル・サポートがもたらすメリットには、以下のようなものが挙げられます。
(1) 自尊感情が高まる
ソーシャル・サポートを受けることによって『困った時に周囲の人から助けてもらえる』と思えると、自分を肯定的な存在として受け止めることができます。また、サポートを受けることで、大きな失敗や挫折を防ぐことができるという点でも、自尊感情に影響を与えるのでしょう。
(2)孤独感が弱まる
ソーシャル・サポートを受けることによって、孤独感が弱まると言われています。孤独感が弱くなると、その結果としてQOL(生活の質)が高まり心の健康にも影響するのです。特に高齢者にその傾向が強いと言われています。
(3)長生きする可能性が高まる
周囲からのサポートやつながりが少ない人は、免疫機能の低下や病気の発見が遅れるなどで、死亡率が高まると言われています。これは、1人でいることによってストレスの発散がうまくできなかったり、ストレスを解消するために偏食、飲酒、喫煙などの不健康な行動を行っていても、それを止めてくれる人がいないことによるものなのでしょう。
実はたくさんある、ソーシャル・サポートの受け方
ソーシャルサポートの受け方はひとつではなく、4つの種類があると言われています。
情緒的サポート
傾聴や励まし、慰めなどによって、気分を安定させ、やる気を引き出すサポートのこと。
道具的サポート
作業の協力、金銭的な支援など、抱えている問題を解決するために、具体的な手助けをするサポートのこと。
情報的サポート
アドバイスや知識の提供、支援機関の紹介など、抱えている問題を解決するために、情報を提供するサポートのこと。
評価的サポート
褒める、肯定的なフィードバックなど、仕事や業績に対して客観的な評価を提示するサポートのこと。
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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