胃のポリープはなぜできる?胃がんに進行する?胃ポリープができやすい人の特徴とは|医師が解説

 胃のポリープはなぜできる?胃がんに進行する?胃ポリープができやすい人の特徴とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2023-12-15

胃ポリープができやすい人の特徴について医師が解説します。

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胃ポリープとはどのような病気か

胃ポリープとは、胃に発生する上皮由来で良性の胃の内腔に突出した(隆起性)病変のことであり、過形成性ポリープ胃底腺ポリープがありますし、特殊なタイプとして胃腺腫などがあります。また、広義の意味では、粘膜下腫瘍(胃の粘膜の表面でなく、壁の中にある腫瘍)や胃がんなど胃のなかの隆起した病変の総称としても使用されることがあります。

胃ポリープとは、胃の粘膜表面がいぼのように盛り上がる病変であり、胃ポリープでは自覚症状が出ることはなく、基本的には無症状です。ただし、慢性胃炎を合併することが多く、その場合は胃もたれや胃痛、食欲低下などの症状が出現することもあります。

胃のポリープには、良性のポリープと悪性のポリープ(いわゆる癌)があり、前者の良性のポリープには、胃底腺ポリープと過形成ポリープがあります。過形成性ポリープは、胃ポリープでもっとも多くみられるものであり、病変部の大きさは10ミリ以下のものが多く、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染した胃で認められる萎縮性胃炎を背景として発症することが多いポリープです。

胃底腺ポリープは、周囲粘膜と同様の色調を示すポリープであり、その大きさは5ミリ前後で多発することが多く、がん化の可能性のないポリープですし、胃腺腫は少し白っぽい色調の平坦な隆起を示すポリープです。

胃ポリープ
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胃ポリープができやすい人とは

胃ポリープのなかには、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した胃で認められる萎縮性胃炎を背景としているものや、胃がんなど胃のなかの隆起した病変であるものなど、ポリープの種類ごとにさまざまな原因や発症様式があります。

胃のポリープには2種類あって、一つが胃底腺ポリープ、もう一つが過形成ポリープですが、胃底腺ポリープについては発症する明確な原因は分かっていません。主に、を長期服用制酸剤などの胃粘膜保護薬している人ピロリ菌除菌後の人に胃ポリープが多く見受けられる傾向があります。基本的にポリープが自然に消失することはありませんが、過形成ポリープの場合は、ピロリ菌を除菌する治療を実施すれば病変が消失することがあります。

 胃ポリープの治療予防策は?

過形成性ポリープの場合には、基本的には経過観察でよい病変ですが、大きさが2センチ以上である、あるいは出血しやすい状態である、経過中に病変部のサイズが大きくなってくる傾向があるタイプについては、がん化が疑われるため、積極的に切除治療を行います。

胃底腺ポリープの治療は原則的には不要ですし、胃腺腫は基本的には良性の腫瘍であるため、経過観察中に大きさ、形態、色調などに変化を認めない場合には、前向きに切除治療を検討する必要はありません。いずれにしても、1年に1回程度の内視鏡検査を定期的に実施して、病変部に明らかな変化がないかを評価することが重要です。

まとめ

これまで、胃ポリープとはどのような病気か、胃ポリープができやすい人の特徴やその治療予防策などを中心に解説してきました。

胃ポリープとは、胃の粘膜上皮に局所的に隆起(りゅうき)した病変であり、ポリープには最も多い過形成(かけいせい)性ポリープをはじめとして、胃底腺ポリープ、特殊なポリープとして胃腺腫などが挙げられます。一般的に、胃ポリープは無症状ですが、時に胃もたれや腹部不快感、食欲不振などの症状がみられることがあり、その多くはポリープと同時に慢性胃炎を合併している可能性が高いと考えられます。

基本的には、ポリープのなかでも、小さな病変のタイプは経過観察可能レベルであり、年1回の定期チェックをする、そして病変部が2センチ以上の大きいタイプのものは積極的に内視鏡的治療を実施して病変部を切除するように推奨されています。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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