乳がん治療がセクシャルウェルネスにもたらす、知られざる影響|ウーマナイザーと独大学が研究を開始
乳がんで失うものは、体の機能だけではありません。乳がんサバイバーの女性が、医師にも親しい人にも言えず密かに悩んでいること、それがセクシャルウェルネス(性の健康)です。乳がんの治療後、性的興奮やオーガズム障害などの、性機能障害を抱え、パートナーにどう思われるか不安、それによる変化など、身体的・精神的に負担を抱えている人は、少なくなくありません。
軽視されてきた女性の健康問題
女性の健康問題は、残念ながらこれまでに、医学や研究の面で軽視されてきた傾向にありました。その結果、女性のプレジャー、セクシャルウェルネス、セクシャルウェルビーイングなど、女性の健康問題への理解が乏しく、「ジェンダーヘルスギャップ(男女の健康格差)」が生じています。乳がん患者のケアを例にあげても、抗がん剤の副作用による脱毛のためのウィッグ、失った乳房のための補正下着などが代表的なもので、それ以外の部分、主にセクシャルウェルネスの領域まではカバーし切れていないのが現状です。
でも、多くの乳がんサバイバーは、女性の象徴とも言える乳房を切除、変形せざるえず、心理的に性的自尊心の低下を経験しています。治療によって肉体的にも、早期の閉経の可能性、膣乾燥、性交中の痛み、性欲低下が起こるため、性的自尊心は、ますます落ちるばかり。
今までは、この心理状態をケアする発想自体起こりませんでした。
乳がんサバイバーのセクシャルケア研究がついに始まった
そんな、乳がんサバイバーのセクシャルウェルネスを取り戻すために立ち上がったのが、あの「Womanizer(ウーマナイザー)」でした。
「Womanizer(ウーマナイザー)」といえば、世界中に700万人以上の愛用者がいる、信頼あるセルフプレジャーブランド。そんな企業がなぜ乳がんケアへの研究を始めたのかと言うと、まさにセルフプレジャー(快楽、快感、悦び等)が乳がん患者のセクシャルウェルネスを向上、治癒させる可能性があると確信しているからです。
その研究パートナーは、ヨーロッパ最大の大学病院があるドイツのシャリテ・ベルリン医科大学。セクソロジーの最先端であり、女性やの女性の生殖機能を所持するすべての人の健康問題に着目し、治療法の研究開発に取り組んでいます。
研究はまだ始まったばかりですが、昨年の実績では、今後期待が持てるデータが取れたようです。
セルフプレジャーで性的自尊心を取り戻す
実際に、ホルモン療法を受けている更年期前の乳がん患者40人と対照群20人を対象にした予備研究の結果では、クリトリス向けのバイブレーダーを使用した際に、性反応を確認。これは、性機能障害の治療におけるセルフプレジャーグッズの有用性を裏付ける情報となる可能性があるということ。
今後さらに研究を進めていくことで、乳がん患者の性的自尊心の低下に対応した治療法の開発につながることが期待されています。
<研究詳細>2022年10月欧州性医学会(ESSM)で発表
ホルモン療法を受けている更年期前の乳がん患者 40 人と対照群 20 人を対象に、ウーマナイザーのプレジャーグッズを使用した際の性的刺激への身体的・精神的(主観的) な性反応の研究。抗ホルモン療法を受けている乳がん患者がクリトリス(外陰部の陰核と呼ばれる部分)向けのバイブレーターを使用した際に、興奮反応を示し、性反応が確認。
乳がんサバイバーの偽らざる本音とは
最後に、乳がんサバイバーでセクシュアリティ・エデュケーターである、エリカ・ハートさんの実体験をご紹介します。
「がん治療となると、性機能障害で悩む患者のセクシャルウェルビーイングに対するケアが無視されがちです。これによって患者は『私がおかしいの?』と病気の影響ではなく、自分自身に問題があると思ってしまいます」
そんな彼女が、自分の身体とセクシュアリティを取り戻すために行ったのが、グッズや潤滑剤を使用したセルフプレジャーでした。
「性的快楽を感じることで、解放された気持ちになり、自分の身体と再びつながることができました」(エリカ・ハートさん)
セルフプレジャーで取り戻す、自分だけの悦び
日本はまだ、性機能障害やセルフプレジャーをオープンに話せる風潮ではありません。でも、それでもいいじゃないかと思うのです。だって、セルフプレジャーは自分のために、自分で行う行為だから。ただ一つ言えることは……たとえ体の一部を失っても、若さを失っても、私たちはいつまでも、自分の性の欲求を諦めなくていいのです。
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ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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