ふにゃふにゃの湿布とテープ状の湿布。効果は同じ?違う?使い分けたほうがいい?薬剤師が解説
湿布の種類について、薬剤師が解説します。
腰痛や首の痛み、筋肉痛、ねんざなど、幅広い痛みに対して使用されている湿布。市販でも販売されており、馴染み深い薬かと思います。
種類によってふにゃふにゃの湿布とテープ状の湿布があるため「どちらがいいんだろう?」と疑問に感じたことはありませんか?
この記事では、湿布の種類、剤型による違い、温感・冷感の違い、共通の注意事項について解説します。
湿布の種類
まず、湿布の種類について説明します。
湿布の剤型はふにゃふにゃの「パップ剤」テープ状の「テープ剤」の2種類に大きく分けられます。
粘着力や使用感の違いはありますが、成分が同じであれば効果は同じで差はないといえます。
パップ剤とテープ剤の違い
パップ剤とテープ剤の違いについて以下にまとめています。
パップ剤
・水分が多く含まれている
・厚みがあり、白い
・水分が気化することによる冷却効果があり、患部に熱や炎症があるときに適する
・貼った時に冷感がある
・テープ剤よりも粘着力が弱いため、かぶれにくい
・背中や腰といった、広くて動きが少ない部位に適する
・清涼感やにおいを感じやすい
テープ剤
・水分が含まれない
・薄く、肌色で目立ちにくい
・貼った時に冷感がない
・パップ剤よりも伸縮性、粘着力が高く、はがれにくい
・パップ剤よりもかぶれやすい
・肘や膝、指、手首などの関節部分に使いやすい
・においが少ない
臨床の場ではパップ剤、テープ剤のどちらを使用しても問題ないケースが多々あります。
「腰にはパップ剤、手首にはテープ剤と使い分けたい」
「パップ剤はにおいが気になるのでテープ剤がいい」
「冷感があるので夏はパップ剤、冬はテープ剤にしたい」
など、患者さんの好みやライフスタイルに合わせた薬剤が処方されることが一般的です。
また、処方薬ではテープ剤とパップ剤の中間の製剤もあります。(モーラス®パップXR)
こちらは従来のパップ剤よりも薄く、はがれにくい特徴があります。
温感タイプ?冷感タイプ?
湿布には温感タイプの温湿布、冷感(非温感)タイプの冷湿布があり、いずれもパップ剤とテープ剤の両方があります。
温湿布は貼った後に温かく感じ、冷湿布は冷たく感じる違いがありますが、痛み止めの成分が同じであれば同じ効果が期待できます。
温湿布には「カプサイシン(トウガラシエキス)」などの温感成分、冷湿布には「メントール」などの冷感成分が含まれ、成分によって皮膚が温かさや冷たさを感じます。
また、温湿布であってもパップ剤は貼ってすぐは冷たく感じるためびっくりされる方もいるかもしれません。湿布自体が温かいわけではありません。
カプサイシンは皮膚への刺激があり、冷湿布よりもかぶれやすいため注意が必要です。
炎症がなく温めると気持ちいい場合には温湿布、冷やしたほうがいい場合には冷湿布といった使い分けがされることが一般的です。
注意事項
剤型によらず、湿布に関する注意事項について説明します。
光線過敏症
「ケトプロフェン」を含む製品では「光線過敏症」に注意が必要です。
湿布を貼ったところを日光にあてると発疹、発赤、かゆみ、はれなどの過敏症が起こる可能性があります。
貼っているときだけではなく、湿布をはがしてからも4週間は注意が必要なので、衣類やサポーターなどで日光をさえぎるようにしましょう。
かぶれ
かぶれや赤みなどの症状が現れた場合は、はがして肌を休めるようにしましょう。
症状が改善しない場合は医師や薬剤師に相談してください。
また、同じ場所にずっと貼り続けているとかぶれてしまうリスクも上がります。
はがしたあとは肌を休め、次に貼るときには場所を少しずらすこともポイントです。
はがすときにも、勢いよくはがしてしまうと肌に負担がかかるので注意が必要です。
ゆっくりとはがすことを意識し、はがれにくいときは水やぬるま湯で湿らせるようにしましょう。
まとめ
この記事では、湿布の種類と違い、注意事項について解説しました。
湿布は使用感の違いや好みによって使い分けることが一般的です。
使用部位にかぶれや赤みといった違和感がでた場合は中止して肌を休め、改善しない場合は医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
<参考資料>
第一三共ヘルスケア くすりと健康の情報局
帝国製薬株式会社 消炎鎮痛.com
テイコクファルマケア しっぷのおはなし
グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社 ボルタレン®EX/AC
Hisamitsuサポートウェブ 製品患者指導箋 モーラステープ・モーラスパップ・モーラスパップXR
AUTHOR
桜井あかね
調剤薬局で働く薬剤師。大手調剤薬局で管理薬剤師として勤務した経験を活かし、スキルアップのために中小調剤薬局に転職。 転職後は処方箋調剤のみならず在宅医療、漢方相談、市販薬を用いたセルフケア支援など、薬剤師として幅広く活躍。 薬剤師ライターとして知識と経験を活かして専門的かつ分かりやすい医療情報を提供している。
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