【9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方】たんぱく質は1日何g摂ればよい?管理栄養士が解説

 【9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方】たんぱく質は1日何g摂ればよい?管理栄養士が解説
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「たんぱく質が大切」という考え方が浸透し、意識して肉を多めに食べる人が増えているけど…いったい何をどれくらい食べるのが正解なの? という疑問を持つ人も多いのでは。たんぱく質の正しい摂り方について、管理栄養士・金津里佳さん著書「9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方」 (青春出版社)より一部抜粋してお届けします。

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たんぱく質は1日何g摂ればよいのか?

私たちは、いったいどれくらいのたんぱく質を食べればよいのでしょう。患者様からも、「たんぱく質は1日何g摂ればよいのか」という質問をたびたび頂戴します。厚生労働省が「日本人の食事摂取基準2020年度版」で推奨しているたんぱく質量は、年代によって多少違いはありますが、体重1kgあたり、およそ1~1.5g/日。例として、体重60㎏の人だと、1日60~90gのたんぱく質を摂ることを推奨していることになります。

では、60gのたんぱく質をたとえば肉で摂ろうとしたら、どれくらいの量になるでしょうか。食品中のたんぱく質量はその食品重量の20%程度とされています。しかし、肉のたんぱく質は加熱すると5~10%程度減少するため、肉100gに対してたんぱく質は10~15gという計算になります。肉100gで得られるたんぱく質を10gとすると、体重60㎏の人の場合、1日におよそ600gの肉を食べましょう、というお話になります。実際には、調理による損失分は無視されることがほとんどですので、一般的な栄養指導では1日に300~450gといわれることが多いと思います。

たんぱく質
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ここまで読んで、どうでしょうか。とても面倒ですし、そんなには食べられないと感じた人が多いのではないでしょうか。上記の計算式が、厚生労働省でも推奨している〝必要なたんぱく質の算出方法〟です。一般的な病院の栄養士はこれをもとに電卓を叩いて栄養価を計算しています。しかしこれは、非現実的です。私がこの本でお伝えしたいのは、こうした数字や具体的な量の話ではありません。先にもふれた通り、その人のたんぱく質の消化吸収力を無視しての数字は、あまり参考にはならないということを覚えておいていただきたいのです。摂取量の数字はうっすら頭の片隅に置いておいて(忘れてしまってもまったく問題ありません)、自分がいま、消化吸収できる量はどのくらいかを把握することがとても大事になってきます。

それでは結局、毎日、どれくらいのたんぱく質を食べればよいのでしょう。私がおすすめしているのは、肉や魚を中心に、卵、大豆製品などのたんぱく質が豊富な食品を食べて、気持ちよくお腹いっぱいになれるマックスの量です。ちょっとでも辛くなったら、すぐに箸をおいてください。この量は、年齢や体重によっても変わってきますし、同じ人でも日によって違うでしょう。つまり、必要なたんぱく質量は、最終的には自分で試行錯誤して見つけていくしかないのです。そうしない限り、自分のたんぱく質の適正量はわからないと思います。

お腹
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計算で出した量を無理に食べようとすると、その人の消化吸収能力を無視していることになってしまい、非常に良くありません。ですから、私が栄養カウンセリングでたんぱく質不足を解消してもらうときは、まず、「絶対にたんぱく質を無理して摂ろうとしないでください」とお話ししています。その上で、たんぱく質を食べていて気持ちがいい量を、ジリジリと少しずつ増やしていってほしいのです。無理してたんぱく質の量を増やそうとすれば、体調も悪くなりますし、いつまでたってもたんぱく質を効率的に吸収できる身体になりません。何より、不快なので続けられないでしょう。食べられないからといってプロテインに頼ったりするのはもっといけません。決して無理せず、少しずつたんぱく質を消化吸収できる能力を上げていきましょう。

たんぱく質
「9割が間違っている「たんぱく質」の摂り方」 (青春出版社) 

この本の著者/金津里佳

1970年沖縄県生まれ。北陸学院大学短期大学部食物栄養学科卒業。医療法人美健会ルネスクリニック東京・管理栄養士。産科婦人科、人工透析科、栄養療法を主とする自由診療クリニックでの勤務を経て、2019年より現職。「人の身体はみな同じではない」ことを常に意識して、日々の栄養カウンセリングに臨んでいる。

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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