「夜、眠るのが怖い…」実はうつのサイン?うつと気が付きにくい症状|精神科医が解説

 「夜、眠るのが怖い…」実はうつのサイン?うつと気が付きにくい症状|精神科医が解説
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豊田早苗
豊田早苗
2023-07-22

夜眠るのが怖いと思ったことありませんか?実は、この感情、単に、睡眠不安によるものではなく、うつ病やうつ状態が隠れている場合があります。何故、うつ病やうつ状態で、このような感情が生じるのか?その理由を説明していきます。

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眠れない日が続くと眠るのが怖くなる

夜なかなか寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりと、夜思うように眠れない日が何日か続くと、誰でも「今日は眠れるのだろうか?また眠れなかったらどうしよう」と睡眠への不安を抱くようになります。

そして、その不安が的中し、夜眠れなかった場合、翌日以降は、さらに不安が強まると同時に、交感神経の働きが強まり、脳が覚醒状態となるため、眠りたくても眠れない事態に陥ってしまいます。

「眠りたいのに眠れない」
「眠ろうとすると目が覚めてしまう」

こんな毎日が繰り返されるうちに、不安は恐怖へと代わり、夜が来るのが、眠ることが怖くなってしまいます。

うつ病やうつ状態では、夜なかなか寝付けなかったり、何度も目が覚めてしまったり、朝予定した時間よりも1時間以上も早くに目が覚めてしまうなどの不眠症状が起こりやすいです。

こうした不眠症状を放置したり、改善しないまま生活することで、眠ること自体が怖くなってしまう睡眠恐怖が生じる場合があります。

不眠
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翌日の不安が睡眠恐怖に変わる

日曜日や連休最終日、「明日から仕事かぁ。」と気が重くなったことありませんか?

「あるある」という方も多いはず。

もし、明日のことを考えると、気が重く、気乗りしない気分、明日が来るのが嫌な気分が毎晩続いたら、どうでしょうか?

夜、眠るのが憂鬱になり、「明日が来なければいいのに。」と思ってしまうはずです。

でも、眠って目が覚めれば、朝になっています。

朝になって、仕方なく仕事や学校に行く。

そして、夜、明日のことを考えて、また憂鬱になる。

そんな日がくる日もくる日も続くと、眠るのが怖くなってしまいます。

うつ病やうつ状態では、今まで楽しめた趣味や友達との会話も楽しいと感じなくなります。

仕事や学校でも失敗することが増えたり、自分の存在が迷惑に思えたりして、行くのが億劫になったりします。

起きている時間が苦痛でしかなくなります。

だから、朝が来るのが怖くなります。

眠るのが怖くなってしまい、「夜眠るのが怖い」という感情が生じてしまいます。

まとめ

うつ病は、出口の見えない真っ暗な洞窟の中にたった一人でいる状態です。

真っ暗な洞窟の中で、たった一人、不安に怯えている。

声を出したくても出ないから、誰も気が付かない。

いや、たとえ出したとしても、たぶん届かない。

出口も全く見当たらない。

真っ暗で、何も見えない。

どう進めば良いのか分からない。

そんな状況に陥ってしまった時、もし、ほんの僅かでも明かりが見えたら、どうなりますか?

たとえ、わずかな明かりであったとしても、不安は和らぐのではないでしょうか。

出口はない?

声を出しても誰にも届かない?

本当にそうでしょうか?

声を出せば、誰かに届くかもしれません。

探せば、明かりがみつかるかもしれません。

もし、一人で、悩んでいるなら、こころに抱え込んでいることがあるのなら、言葉にしてみませんか?助けを求めてみませんか?

真っ暗な洞窟の中から抜け出す明かりが見つかるかもしれませんよ。

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豊田早苗

豊田早苗

鳥取大学医学部医学科卒業後、総合診療医としての研修及び実地勤務を経て、2006年に「とよだクリニック」を開業。2014年には「とよだクリニック認知症予防・リハビリセンター」を開設。「病気を診るのではなく、人を診る」を診療理念に、インフォームド・コンセントのスペシャリストと言われる総合診療医として勤務した経験を活かした問診技術で、患者さん1人1人の特性、症状を把握し、大学病院教授から絶妙と評される薬の選択、投与量の調節で、マニュアル通りではないオーダーメイド医療を行う。精神療法、とくに認知行動療法を得意とし、薬を使わない治療も行っている。



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