睡眠薬は怖い?怖くない?知っているようで知らない市販の睡眠薬の選び方|薬剤師が解説

 睡眠薬は怖い?怖くない?知っているようで知らない市販の睡眠薬の選び方|薬剤師が解説
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竹田由子
竹田由子
2023-07-05

睡眠薬と聞くと「二度と後戻りできない、癖になる」など怖いイメージがありませんか?そのために、「ストレスで眠れないが睡眠薬は飲みたくない」という人も多いのではないでしょうか? 睡眠薬は使用方法や特徴を理解すれば、決して怖いものではありません。ここでは睡眠薬について、市販の睡眠薬の選び方と注意点について解説いたします。

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睡眠薬とは

厚生労働省によると、睡眠薬は「睡眠を誘発し、持続させるための薬物。症状に合った薬剤を医師の処方によって服用する。」とあります。

睡眠導入剤ともいわれており、ベンゾジアゼピン系、バルビツール酸系や抗ヒスタミン薬などがあります。

ネガティブなイメージがついた理由

1960年代にベンゾジアゼピン系睡眠薬が登場するまでは、睡眠薬は「バルビツール酸系」の薬が主流でした。副作用には耐性、依存性、呼吸抑制などがあったため、睡眠薬についてのネガティブなイメージがついてしまいました。

現在病院で処方されるのはベンゾジアゼピン系

現在は依存性が低く、比較的安全といわれる「ベンゾジアゼピン系」が主流です。安全性が高いとはいえ、急に中止すると不眠の症状が悪化する場合があります。ベンゾジアゼピン系睡眠薬は医師の処方のもとで使用が可能です。作用時間によって超短時間型から長時間型まであり、症状に合わせて処方されます。

市販の睡眠薬は主に抗ヒスタミン薬と漢方薬

ドラッグストア等で購入が可能な市販の睡眠薬には、抗ヒスタミン剤と漢方薬が多くみられます。アメリカでは使用が禁止されているブロモバレリル尿素を含む商品もありますが、依存を生じやすいため、あまりお勧めできません。

市販の睡眠薬の選び方と注意点

市販の睡眠薬を選ぶ際には、以下の種類から選びましょう

1.抗ヒスタミン薬

市販の睡眠薬で最も多いのが抗ヒスタミン薬です。くしゃみや鼻水をおさえるので鼻炎薬や総合感冒薬に含まれることが多いですが、脳の神経細胞が興奮・覚醒した状態を抑えて自然に近い眠気をもたらすために睡眠薬として使用されています。

抗ヒスタミン薬の睡眠薬が使用できない人

抗ヒスタミン薬の睡眠薬が使用できない人は以下の通りです。

・15歳未満の小児
・妊婦
・不眠の診断を受けている
・日常的に不眠症状がある
・飲酒をした
・他の風邪薬や鼻炎薬などを飲んでいる
・授乳中に使用した場合は、授乳をしないか避ける
・服用した場合は、危険な高所作業や車の運転などはしない
・薬の成分にアレルギーがある場合

また、前立腺肥大・緑内障の患者は症状が悪化する可能性があるため、医師に相談してください。

2.漢方薬

漢方薬は体質や症状で選びます。体質を改善しながら眠りを整えていきます。眠くなる成分は入っておらず、血流や自律神経を整えて体が整う結果、不眠が改善されます。

漢方薬が使用できない人

主に睡眠トラブルに用いる漢方薬の使用ができない人は以下の通りです。

・薬の成分にアレルギーがある場合
・大黄などの下剤が含まれる場合は、妊婦・授乳婦不可

漢方薬の種類によっては妊婦や授乳婦でも使用が可能です。一方、高所作業や車の運転など危険な作業を行う人も服用が可能です。子どもも使用が可能です。

まとめ

睡眠薬

眠れないと健康を害しかねません。睡眠薬は不眠による不調を食い止める役割があり、正しく使用すれば、睡眠薬も怖くありません。購入の際は薬剤師などに相談し、症状が続くようであれば医師の診察を受けてください。

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竹田由子

竹田由子

薬剤師、スポーツファーマシスト。2000年共立薬科大学(現:慶応大学)大学院臨床薬学専攻卒業後、病院で10年医薬品情報担当と病棟業務を兼任、その後家族の転勤で保険薬局や企業でも勤務し、医療安全に関わる。妊活を経て43歳・47歳で出産した2児のママ薬剤師でもあり、特に漢方薬剤師として記事監修や執筆、オンライン漢方提案に関わる。一方「生理の先生」としても活動開始し、妊活経験を合わせ女性の健康を支える養生サポートを行っている。



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