【薬の服用間隔】服用間隔が近いと良くない?決められた時間に飲めないとどうなる?薬剤師が解説
薬は服用のタイミング、1日の服用回数が決まっており、基本的には医師の指示通りに服用しなくてはなりません。 しかしながら、ライフスタイルによってなかなか決められた服用時間に飲めなかったり、飲み忘れてしまったりすることもありますよね。 「朝起きるのが遅くて朝食後と昼食後の薬の服用間隔が近いけど大丈夫?」 「飲み忘れに気づいたらどうしたらいい?次の服用までどのくらいあけたらいいの?」 薬剤師として勤務しているとこのような相談を受けることも多いです。 この記事では、薬を飲む間隔について解説します。
薬を飲む間隔が近いと副作用のリスクが高まる
飲み忘れやライフスタイルにより、薬を服用する間隔が短くなってしまうと、薬物の血中濃度が高くなり、副作用が出るリスクが高まります。
薬の服用回数は医師が適当に決めているのではなく、薬が開発される過程において、治療効果と副作用発現のリスクを考慮して決められています。
薬は血中濃度が一定以上にならないと、その効果を十分に発揮できません。そのため、薬を飲む間隔が長くなりすぎると薬が効きにくくなってしまいます。
一方で、血中濃度が高くなりすぎるのも適切ではありません。治療に適した血中濃度を超えると副作用発現のリスクが高まります。
つまり、薬の効果が発揮される血中濃度かつ重篤な副作用が出ない血中濃度になるようにコントロールしなくてはならないのです。
有効性と安全性を両立できる血中濃度を維持するために、適切な1回の服用量と服用間隔が薬ごとに定められています。
どのくらいの時間をあけたら薬を飲んでもいい?
薬を飲む間隔の目安は、薬の効果が持続する時間から考えます。
薬は服用すると吸収されて血液中に入り、やがて血中濃度が最大となります。その後、肝臓で分解されたり、尿中に排泄されたりすることによって、だんだんと血中濃度が下がっていくのです。
薬が体内に入り、血中濃度が最大となり、やがて体内からなくなっていく過程にかかる時間は薬剤ごとに異なっており、それにより1日の服用回数が決められています。
つまり、1日1回服用するタイプの薬は1日3回服用するタイプの薬よりも、高い血中濃度を長時間維持できるということです。
よって、最低でもどのくらいの間隔をあけあければならないのかという目安は、その薬の1日の服用回数から判断できます。
最低限あけなければならない服用間隔は明確に定められているわけではありませんが、一般的には1日3回の薬は4時間以上、1日2回の薬は6時間以上、1日1回の薬は8時間以上あければ問題ないと言われています。
薬を決められた時間に服用できなかった場合は、次の服用タイミングまで間隔があいていれば飲み忘れに気づいた時点で1回分を服用する、次の服用タイミングが近いときは服用をスキップしてください。
朝起きるのが遅くて朝と昼の服用間隔をあけるのが難しいなど、ライフスタイルにより決められた時間の服用ができない場合は、効果が長く続く薬剤に変更できることもあるため、主治医や薬剤師に相談してみましょう。
薬の服用時間はできるだけ守りましょう
この記事では、薬の服用間隔について解説しました。
薬の服用間隔は、有効性と安全性を両立できる血中濃度を維持できるように薬剤ごとに決められています。
よって、治療効果を最大にし、副作用のリスクを押さえるためには決められた用法・用量を守って使用することが大切です。
決められた服用時間に薬を飲めなかった場合は、この記事で紹介した服用間隔の目安を参考にして、飲み忘れた分を服用するかどうか判断してください。
なかなか指示通りに薬を服用できない場合は、ライフスタイルにあった薬剤への変更を検討することもあるため、医師や薬剤師に相談してみましょう。
参照サイト:
日医工株式会社「薬の正しい使い方」
島根県薬剤師会「おくすりQ&A」
AUTHOR
おくだりか
九州大学薬学部を卒業後、調剤薬局にて経験を積む。出産後、仕事と子育ての両立のために慢性期病院に転職。不妊治療をきっかけに漢方に興味をもち、東洋医学にもとづいた身体と心の整え方を学ぶ。薬剤師としての経験や東洋医学の知識を活かして、薬剤師として働きながらライターとしても活動している。
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